週刊ムー語教室/駆逐艦が時空を移動!?「フィラデルフィア実験」

文=こざきゆう

透明化実験から時空移動へ

知っているようで知らない〝ムー的用語=ムー語〟をわかりやすく解説する、「ムー語教室」。今回は、アメリカが極秘に行い、予想外の成果につながった「フィラデルフィア実験」です。

 

第60回:「フィラデルフィア実験」

  1. 1 1930年代に計画されたアメリカ海軍の「レインボー・プロジェクト」は、軍艦を強力な磁場で透明化させるというものだった。
  2. 2 無人船による数々の透明化実験を経て、1943年に行われたのが「フィラデルフィア実験」。
  3. 3 実験に使われた軍艦エルドリッジ号は470キロの距離を瞬間移動。乗員には異常な状況による悲劇がもたらされた。
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実験に使用された駆逐艦エルドリッジの同型艦。

巨大軍艦を“透明化させる”という前代未聞の極秘実験が行われたことがあります。その結果は、だれもが想像しえなかった現象と、そして取り返しのつかない悲劇をもたらしました。今回は、「フィラデルフィア実験」と呼ばれたこの実験についての概要をみていきましょう。

1930年代、アメリカ海軍は、新兵器開発の一環として、軍艦の周りに強力な磁場を発生させることで、レーダーはもとより、肉眼でも捉えられないようにする=透明化させるという「レインボー・プロジェクト」を開始しました。プロジェクトには当時のアメリカを代表する科学者らが集結。異端の天才的な科学者ニコラ・テスラが実験の総指揮をとることになりました。

1936年、テスラは、発電機と変圧器を組み合わせた特殊な「テスラ・コイル」を使って、無人の船で実験を開始。船の一部を透明化させることに成功したのです。そして1940年、レインボー・プロジェクトは本格化し、無人の船の透明化は満足のいく成果を残すことができました。その後も安全性を考慮した実験が続けられるはずでしたが……。

激しさを増す第2次世界大戦を、強力な軍事力をもって終わらせるため、アメリカ海軍は実験の実用化を急ぎました。そこで1942年に、強力な高電圧装置を使って有人の軍艦の透明化実験を強行します。テスラは「人体への影響が危惧され、時期尚早」と反対しましたが、政府は彼をプロジェクトから追放し、積極的な推進派だったフォン・ノイマンが引き継ぎました。

1943年7月20日、人が乗船しての初の実験が行われ、高電圧で船を覆ったところ、その姿は視覚的にもレーダー上からも消えました。しかし! 強力な磁場の中、乗員らはすぐに体調を崩したため、実験はすぐに中止。ノイマンはこの時点でようやく、人体実験の危険性を理解しましたが、動きだした計画を止めることはできませんでした。

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フィラデルフィアの海軍工廠。

そして、同年10月28日、ペンシルバニア州フィラデルフィアの海軍工廠において、巨大軍艦エルドリッジ号に乗員を乗せての大規模な実験が開始されたのです。

強力な磁場をエルドリッジ号の周りに発生させると、すぐに奇妙な緑色の霧のようなものが湧きだしました。そして、軍艦がその霧に完全に覆われた瞬間、固唾を飲んで様子を見守るノイマンらスタッフの前から、消えたのです。レーダー上にもその姿は捉えられていません。心配していた実験は大成功、スタッフらは歓声を上げました。

ところが……このときエルドリッジ号の乗員は、戦慄すべき事態に襲われていたのです! 強い磁場に包まれた乗員は透明化し、お互いの姿が見えなくなりました。

不安に苛まれた乗員は、さらに驚愕します。船上から見えていた光景が、フィラデルフィアの海軍工廠ではなく、なんと、そこから直線距離で470キロ離れたバージニア州ノーフォーク軍港に変わっていたのです。

――すなわち、エルドリッジ号は一瞬にして瞬間移動したのです。この信じられない現象を裏づけるように、当時、ノーフォーク軍港の輸送船や貨物船の乗員も、突然現れたエルドリッジ号の姿を目撃したと報告しています。

異常事態は、それだけにとどまりません。乗員のある者は全身を炎に焼かれ、ある者は凍りつき、さらに消滅した者、鋼鉄のデッキに溶け込み一体化した者が続出。結果、16名が死亡、乗員の大半は精神錯乱をきたしてしまったのです。

再びフィラデルフィアに舞い戻ったエルドリッジ号船上の悲劇に震撼した海軍上層部は、実験の継続を断念。この実験の詳細は封印されましたが、事実を完全に封じることはできなかったため、1950年代から暴露されはじめたのです。

ただし、エルドリッジ号が瞬間移動した原理や、乗員に起きた異常事態の原因は、いまだ解明されていません。

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ニコラ・テスラ。フィラデルフィア実験の初期の指揮をとった。

文=こざきゆう

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