週刊ムー語教室/ヒンドゥー三神の一柱「シヴァ」

文=こざきゆう

破壊を司る神

知っているようで知らない〝ムー的用語=ムー語〟をわかりやすく解説する、「ムー語教室」。今回は、ヒンドゥー教の三神の中でも破壊神として知られる「シヴァ」です。

 

第62回:「シヴァ」

  1. ヒンドゥー教三神の一柱。
  2. ブラフマーやヴィシュヌを生んだ最高神とする宗派もある。
  3. 仏教では大自在天や大黒天として取り入れられている。

インド、ヒンドゥー教には、世界の創造を司るブラフマー、世界の維持を任されるヴィシュヌ、そして破壊を担うシヴァという最高神がいます。最高神たちは三神一体とされ、究極的には同じものであり、はるか太古の時代に同一だった神が、三神に分かれたとされています。

インド、マーウードシュワーラのシヴァ像。
インド、マーウードシュワーラのシヴァ像。

今回の「ムー語教室」では、この三神のひとりで、三神のなかでも最高の格をもつとされる破壊神シヴァについてみてみましょう。

シヴァの偶像は多くの場合、青白い裸体で、腰に虎の皮をまとい、首には蛇を巻きつけ、手には三つ又の武器を持ち、長い髪の毛を頭の上で結い上げた苦行者のように描かれます。額には3本の横線が引かれ、そこに、あらゆるものを焼きつくす火炎を発する「第三の目」が開かれています。

破壊神という位置づけではありますが、破壊だけではなく、さまざまな広い神格をもちます。それを示すのが、あまりにも多いシヴァの別名。「恐怖の殺戮者」という意味のバイラヴァ、「家畜の王」という意味のパシュパティ、「舞踏神」という意味のナタラージャ……さらに、破壊とは正反対とも思える「生産や生殖、幸せを与える神」というシャンカラという名などがあります。

実は、このシャンカラという名から、シヴァの象徴は「リンガ(男根)」とされるようになったともいわれています。

シヴァとその象徴のリンガについては、次のような神話が伝えられています。

インド神話では、人間の生きる世界の創造から終焉までは、43億2000万年あるといいます。終焉を迎えると、また新たな世界が再生されます。このひとつの世界が終わって、また新たな世界が始まるときのこと――三神のひとり、ブラフマーが大海を漂っていると、そこにヴィシュヌが現れました。お互いに、「われこそが新たな世界の創造者である」と譲らず、いい争いになりました。

そのとき、すさまじい火炎を放つ巨大なリンガが出現。天にそびえる先端は見えません。逆側も海の底に沈み確認できません。

シヴァのリンガ。
シヴァのリンガ。

そこで、ふたりの神は、リンガの果てを見定めた方を、偉大な神とすることにしました。ブラフマーは白鳥に姿を変えて天へ昇り、ヴィシュヌは猪に変身して海に潜りました。しかし、どこまで行っても、果てにはたどり着けません。ふたりが諦めると、そこに大火炎とともにシヴァが出現。

「ブラフマーは私の右の腰から、ヴィシュヌは左の腰から生まれた。われわれははるかな昔、同一神だった」と語りました。これを聞いたブラフマーとヴィシュヌは、リンガとシヴァの偉大さを讃えたのでした。

これが、シヴァが三神のなかでも最高神とされる理由でもあります。

ただし、この神話はヒンドゥー教の2派のひとつ、シヴァ派に伝わるものです。そのためシヴァからふたりの神が生まれたというように、その威光が強く打ち出されています。

一方のヴィシュヌ派では、闇に包まれていた宇宙で眠るヴィシュヌのへそからブラフマーが、額からシヴァが生まれたという話が伝えられています。

いずれの派にしても、お互いに認め合う部分があり、三神一体という面では同じです。

なお、シヴァは仏教にも取り入れられ、大自在天や、七福神として知られる大黒天などの名が与えられています。

文=こざきゆう

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