稀代のクリスタル・ゲイザー ジョン・ディー /世界の超人・怪人・奇人

文=並木伸一郎

ジョン・ディー 稀代のクリスタル・ゲイザー

 

エリザベス朝最大の魔術師と呼ばれるジョン・ディーは、イギリス王室で働く下級官僚の子として生まれた。幼少から俊英で、21歳でケンブリッジ大学の修士号を取得。ルーヴァン大学へ留学し、数学者や地理学者とも交流。研究分野を広げるうちに錬金術やカバラと出会い、魔術的な世界へ踏み込んでいく。

 

ジョン・ディー(John Dee、1527~1608年)。イギリス、ロンドン出身。奥には、ディーの霊媒として協力したエドワード・ケリーがいる。この絵は墓地で死者を呼び出しているところ。
ジョン・ディー(John Dee、1527~1608年)。イギリス、ロンドン出身。奥には、ディーの霊媒として協力したエドワード・ケリーがいる。この絵は墓地で死者を呼び出しているところ。

 

 

イギリス帰国後はエドワード6世に招かれて、宮廷学者、宮廷占星術師となる。メアリ1世が即位した際には、魔術師の嫌疑で投獄される。メアリ1世が短命で、妹のエリザベスが王位を継ぐであろうと予言したからだという。その予言通りに、メアリ1世は崩御し、妹がエリザベス1世として即位することになった。この一件以来、エリザベス1世はディーを寵愛するようになり、彼は恵まれた環境で魔術研究に没頭していく。
彼が魔術師として突出した活動をはじめたのは、1580年ごろのこと。水晶玉観照による心霊研究を進め、四大天使のひとり「ウリエル」との交感を実施したのだ。大天使の意思疎通は神秘言語「エノク語」を用い、ケリーという若者を霊媒として行われた。この交霊実験と魔術は評判となり、ふたりはポーランドやボヘミアなど各国の王宮で召喚魔術実験を披露したという。だが、ケリーの託宣には次第に疑わしい内容が増えてくる。前科があることも災いし、ついに、ケリーは投獄され、脱獄にも失敗して死亡してしまう。
こうしてディーは単身イギリスに帰国。そんな彼をエリザベス1世はリッチモンドで自ら出迎え、マンチェスターにあるキリスト教大学校長の椅子を用意した。だが、彼の幸運はここまでだった。エリザベス1世が69歳でこの世を去り、魔術を嫌う新王ジェームズ1世が即位すると、ディーは引退を余儀なくされる。

 

だが後に、メイザースやクロウリーによって、彼の功績が見直された。近年での再評価は、不遇な彼に対する最大のたむけだろう。

 

 ディーが天使からエノク語で得た指示にもとづき、ケリーが作った蝋製のアエメトの大印章。

ディーが天使からエノク語で得た指示にもとづき、ケリーが作った蝋製のアエメトの大印章。

 

(「世界の超人・怪人・奇人」より掲載)

文=並木伸一郎

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