疑惑の錬金術師  カリオストロ伯爵/世界の超人・怪人・奇人

文=並木伸一郎

カリオストロ伯爵 疑惑の錬金術師

18世紀のヨーロッパでは、医師、錬金術師、占星術師などの肩書を騙って上流階級のなかに紛れ込み、一花咲かせようと目論む者がたくさんいた。詐欺師まがいの彼らは、「山師(アヴァンチェリエ)」と呼ばれていた。アレッサンドロ・ディ・カリオストロ、通称・カリオストロ伯爵も、そのひとりだ。

 

神秘的な人望によって、貴族や上流階級の面々から予言や助言を求められていたカリオストロ。
神秘的な人望によって、貴族や上流階級の面々から予言や助言を求められていたカリオストロ。

 

彼自身は「アラビアのメディナで生まれた貴族の王子」だと語るが、シチリア島パレルモ生まれといわれている。少年時代に修道院を追放された彼は、ギリシア人の錬金術師アルトタスのもとで神秘の力を身につけたという。これもカリオストロ自身の回想録によるもので、アルトタスが実在の人物かも不明だが……。

怪しげな噂の多い彼だが、時間旅行者サン・ジェルマンが所持していた秘伝書『La Très Sante Trinosophie』の著者といわれ、錬金術や魔術を操っていたのは事実のようだ。ヨーロッパ各地を旅したカリオストロは、医師も匙を投げた患者を治癒し、ダイヤモンドや金、真珠を生みだして上流階級の人々を魅了。マリー・アントワネット王妃が男児を出産することを予言したことが決定的となって名声を確かなものにした。

だが結局、ロシア宮廷でのスキャンダルや詐欺事件「首飾り事件」の共謀者として告発されて失脚。再び、ヨーロッパを転々とする。1777年に、カリオストロはフリーメーソンの会員となっていたのだが、漂泊の生活に逆戻りした彼はフリーメーソンの〝エジプト起源説〞を提唱。ローマの地でエジプト・メーソンリーを設立する。だが、それがローマ教皇庁からの嫌疑を招き、1789年、異端の疑いで逮捕されて宗教裁判にかけられる。その嫌疑は晴れることなく、終身刑をいい渡された彼は、その数年後に獄中死した。

疑惑に満ちた生涯を送ったカリオストロだが、その死後、生きて地上を漂泊している彼の姿が噂されるようになる。稀代の山師が最後に実行した魔術だったのかもしれない。

 

(「世界の超人・怪人・奇人」より掲載)

文=並木伸一郎

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