真の魔術の伝道者  アブラメリン/世界の超人・怪人・奇人

文=並木伸一郎

アブラメリン 真の魔術の伝道者

天使の加護を受け、悪霊を召喚、使役することができる「真正魔術」。成功すれば数多の願いを叶えられるが、失敗すれば命を落としかねない最強にして最凶の魔術である。この強力な魔術を世に送り出したのが、14世紀から15世紀にかけて、エジプトのナイル河畔に住んでいたというアブラメリンだ。

 

アブラメリン(Abla-Melin、14~15世紀)自身は出身地不明の謎の人物。写真は、アブラハムが著した『術士アブラメリンの聖なる魔術の書』。
アブラメリン(Abla-Melin、14~15世紀)自身は出身地不明の謎の人物。写真は、アブラハムが著した『術士アブラメリンの聖なる魔術の書』。

 

彼の魔術をヨーロッパにもちこんだのは、ドイツに住んでいたユダヤ人、ヴォルムスのアブラハムという魔術師。真の魔術を求めてヨーロッパから中東まで何年もの旅をしていた彼は、エジプトの荒野で老賢者アブラメリンと出会った。老賢者を師としたアブラハムは、聖なる学問と真正魔術を授けられたという。

この真正魔術について、西洋魔術の源流にあるカバラと同源異流の宗派とする説があるが、残念ながら詳細はわからない。秘術を会得し、実行するためには、26歳以上55歳以下の健康な肉体を持ち、いっさいの物事から邪魔されない場所で6か月間の隠棲生活を送るなど厳しい条件が重なるうえ、守護天使の加護を得なければ悪魔を使役するどころか、とてつもなく危険な目にあうという凶悪な術である。

故郷に帰ったアブラハムはこの魔術を実行し、見事成功したという。だが、彼以外の人間が成功したという話はいまのところない。数多の人間が実行を試みているが、例外なく危険な目に遭っているのだ。魔術師アレイスター・クロウリーが術を試みたときは111匹の悪霊の群れに取り囲まれたという。

真正魔術を世に出したアブラメリンとは、いったい何者なのか? この老賢者の姿は、アブラハムの著書『術士アブラメリンの聖なる魔術の書』に記されている。同書はアブラハムが師のアブラメリンから学んだ秘術を次男ラメクに伝えるために書き残したもので、それゆえにアブラメリンの実在を疑う声もある。

だが、同書にある真正魔術は、実践(失敗と恐怖)を通じて、多くの魔術師、魔術研究家が認めるものだ。

 

(「世界の超人・怪人・奇人」より掲載)

文=並木伸一郎

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