近代魔術復興の象徴  エリファス・レヴィ/世界の超人・怪人・奇人

文=並木伸一郎

エリファス・レヴィ 近代魔術復興の象徴

 

隠秘学思想家として知られるエリファス・レヴィ、本名アルフォンス・ルイ・コンスタンは、15歳から神学校で学ぶ秀才だった。25歳の若さで助祭に任命され、教会の伝道師となる。

 

1世紀の賢人アポロニウス(手前)の霊を呼 び出したエリファス・レヴィ(奥)。
1世紀の賢人アポロニウス(手前)の霊を呼び出したエリファス・レヴィ(奥)。

 

しかし、その翌年にひとりの娘に恋をしたことで、神学校を脱退。この還俗は彼の母親を失望させ、自殺へと追い込む悲劇を招く。このころから、彼の人生は大きく変わりはじめた。社会主義思想にのめりこみ、小ロマン派の文学サークルで作家としても活動を開始。だが、2作目の著書『自由の聖書』が「聖書の教えを不法に誤って伝えた」として投獄されてしまう。その獄中で、スウェデンボルグをはじめとする隠秘学者の著作と出会うのだから、運命的といえるだろう。

 

出所後に教会から退去させられた彼は、1848年の二月革命をきっかけに社会主義的思想に基づく文学作品からは遠ざかるようになる。1853年にはエリファス・レヴィと名を変えると、同志と隠秘学の雑誌『進歩的評論』を刊行。イギリスで小説家エドワード・ブルワー・リットンと交流し、薔薇十字団にも加入している。このとき訪れたロンドンで、彼は降霊魔術実験を行っており、古代ローマの大魔術師アポロニウスの霊を呼びだすことに成功したといわれている。以来、彼は魔術研究をさらに深めていくことになり、帰国後はフランスで薔薇十字団を再建している。

 

彼は、魔術は理性に基づく合理的科学であるという理念のもとに終生研究をつづけ、古代の密儀、タロット、儀式魔術などのさまざまな伝統を〝魔術〞の名のもとに総括しようとした。その成果は『高等魔術の教理と儀式』や『秘教哲学全集』といった隠秘学の著作として形をなし、後進の神智学協会や黄金の夜明け団によって引き継がれていく。

 

五芒星に魔術シンボルを加えた図。エリファス・レヴィがデザインしたもの。
五芒星に魔術シンボルを加えた図。エリファス・レヴィがデザインしたもの。

 

魔術復興の象徴となったレヴィの功績は、ボードレールやランボー、ブルトン、バタイユなどの文豪、詩人たちにも及び、近代ヨーロッパの知の礎となった。

 

(「世界の超人・怪人・奇人」より掲載)

文=並木伸一郎

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