瞬きするミイラ “ロザリア・ランバルド”

文=並木伸一郎

世界一美しいといわれるミイラが瞬きをした!?

イタリア、シチリア島の教会に「世界一美しいミイラ」が存在する。
ミイラは、同島にある「カプチン・フランシスコ教会」の地下墓地(納骨堂)に眠っている。その名は“ロザリア・ランバルド”。1920年12月6日、急性肺炎でこの世を去った、わずか2歳の少女の遺体である。

P10-13-3(世界一美しいと称されるロザリア・ランバルドのミイラ)
ちなみに、この少女の遺体が「世界一美しい」といわれるのはその外見にある。
ロザリアが亡くなったとき、悲嘆した両親が、当時、著名人などのエンバーミング(遺体防腐処理)をしていた著名な医師アルフレッド・サラフィアに遺体の保存を依頼。彼は“魔法の材料”を用いてロザリアに防腐処理を施し、生前と変わらない姿のまま保存することに成功したのだ。
2009年、生物分類学者ダリオ・ピオンビーノ・マスカリが、サラフィアの子孫から直接話を聞いて、使用されたと思われる“魔法の材料”の再現を試みた。
その薬剤はホルマリンと亜鉛塩、サリチル酸とグリセリンの混合物で、グリセリンがミイラ化を促進し、サリチル酸がカビの発生を防いだと考えられ、遺体全体を硬直させ、蝋化させたのは亜鉛だった、という主張がなされている。
そのロザリアの遺体だが、あまりにも完全なため、蝋人形とすり替えられたのではないかという疑念もまた絶えなかった。ところが2009年、ナショナル・ジェオグラフィックのドキュメンタリー番組でMRI検査が行われ、ロザリアの遺体の全身3D画像が初公開された。その際、内臓にまったく損傷がないことが確認され、両腕の位置も明らかになり、ミイラが「本物」であることが証明されている。
なんと、この「世界一美しいミイラ」が、死後約90年たった今、再び命を宿したかのように「瞬きする」という奇怪な現象を起こした!
事件が報じられたのは2014年6月、世界各国のニュースサイトが、この驚愕の事件をこぞって報じ、物議を醸したのである。
イタリアの研究者らが、ロザリアを撮影した映像を確認しているときに発覚。実は、この研究者たちは2~3年前から、ロザリアの遺体を調べており、改めて撮りためた映像を研究室で確認していたところ、1日に数回、彼女の瞼が開閉していることが判明。件の映像を見るとゆっくりと瞼がゆっくりと開き、その後、ゆっくりと閉じていく様子が映っている。

P10-13-1P10-13-2(カメラが撮影したロザリアが瞬きした映像)
地下墓地の管理人ダリオ・ピオビノーマスカリは、「側面の窓から射し込む光が生みだす光学上の錯覚」と指摘しているが、映像からロザリアの「青い瞳」が確認できることから、研究者たちはそれを否定している。また、ロザリアの棺が安置されている室温変化によって瞬きが生じるとする指摘もあるが、死後硬直した遺体に、高技術の防腐処理を施されたミイラが、室温の変化で瞬きするとはとても思えない。なぜこのような現象が起きるのか。
考えられるのは、地下墓地に葬られた人物の霊がロザリアの体に宿ってしまったのではないか、ということだ。実は、この地下墓地には約8000体もの遺体が葬られている。つまり、成仏していない人物の霊が、彼女の体に宿ってしまっても何ら不思議ではないのだ。ちなみに、地元の人々は「ロザリアの魂が再び自身の体に戻っている」と信じてやまない。今も、この怪異の原因について専門家が調査を進めている。

文=並木伸一郎

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