週刊ムー語教室/神に近づく技「錬金術」の謎

文=ムー語講師・こざきゆう

錬金術の鍵を握った「賢者の石」

知っているようで知らない〝ムー的用語=ムー語〟をわかりやすく解説する、「週刊ムー語教室(毎週火曜日)」。今週のテーマは「錬金術」。黄金を生成する「錬金術」とはいったいどのように、そして何のために追い求められたのか? 錬金術師たちの真の目的と理念に迫る!

 

第31回:錬金術

【必修!3ポイントでわかる錬金術】

1:錬金術は卑金属を黄金に変成させ、人間を不老不死にさせるような「不完全なものを完全なものに変える」、神に近づくための究極の技術

2:錬金術師たちは、完全なものに導くために必要な「賢者の石」の精製を目的としていた

3:近代科学の父アイザック・ニュートンは、錬金術最後の時代の錬金術師のひとりだった

 

錬金術といえば、銅や鉄などの卑金属を、黄金に変成させる技術というイメージがあるでしょう。しかし、その目的は、黄金を生みだすことで巨万の富を得る……という即物的なものではありません。端的にいえば、「不完全なものを完全なものに変える」ことなのです。 alchemy2_web(↑16世紀の錬金術師の実験室を描いた「錬金術師」/ピーテル・ブリューゲル作)

なぜ黄金に変えることを目指したのか。それは、昔から黄金は完全な金属と考えられており、不完全な卑金属を黄金に変えることは完全を求めることと同義だったからです。

同様に、人間は病に冒されたり死ぬという、不完全な状態にあります。そこで、錬金術によって病や死を超越した不老不死の完全な人間となることを求めたのです。つまり、神に近づくための究極の技術こそが、錬金術だったのです。
では、どうすれば「不完全なものを完全なものに変える」ことができるのでしょう。そのために錬金術師たちが作りだすことを追い求めた物質があります。「賢者の石」です。

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(↑「賢者の石を求める錬金術師」/ジョセフ・ライト作)

これは、映画や小説などでも究極のアイテムとして描かれていますが、まさに万能の物質です。卑金属を黄金に変えることができ、あらゆる病気を治療できる万能薬であり、人間を肉体から解放し、不老不死に導く物質です。さらには天使との対話を可能にし、神の叡智を授かることも可能となるといいます。

この世界のあらゆるものは、「火」「気」「水」「土」の四大元素の組み合わせによって構成されていると考えられていました。そして、四大元素には「第5の元素」とされるものが内包されており、これを取り出だせれば、四大元素の特性を自由に変換できるようになるとされました。卑金属も黄金に変換ができるようになります。その第5の元素こそが、賢者の石なのです。

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(↑錬金術師ニコラ・フラメル)

賢者の石は、かつて、ニコラ・フラメルなど何人かの錬金術師が精製に成功したという記録が残されています。作り方を記した書物も現在まで伝えられています。
ただし、賢者の石はだれにでも作りだすことができるようなものではありません。精製法の記された書物は、いわば「神の知恵」です。限られた者しか読み取ることができないほど難解で抽象的であり、意味を解き明かすことも困難です。また、精製には宇宙の運行が影響するため、占星術などの知識が要求されます。さらには、賢者の石には錬金術師自身の精神が影響を与えるため、即物的な欲望に満ちていたり、好奇心だけでは精製することはできないといいます。

それゆえに、賢者の石は究極の物質と呼ばれるのです。

 

この錬金術が始まったのは、今から4000年以上前の古代エジプトとされます。

以後、錬金術は古代の化学技術や神秘思想と結びつくと、ギリシアやローマに広がり、12世紀半ばにヨーロッパにもたらされました。このころから錬金術は「古代の叡智の神秘術」として研究されはじめ、18世紀ごろに近代の自然科学に取り込まれるまで、隆盛を極めたのです。

masonmenber4_web(↑アイザック・ニュートン)

なお、近代科学の父とも称されるアイザック・ニュートンもまた、そのようなヨーロッパの錬金術師のひとりでした。ニュートンが亡くなって100年以上たったころに、彼の直筆研究資料が発見されたなかに、錬金術についての研究も数多く含まれていたことがわかったのです。

ただし、これは意外なことではありません。というのも、近代の科学は錬金術や魔術の研究から発見されたことが基礎にある面も多いからです。つまり、錬金術や魔術が、科学に置き換わっていったともいえ、また、ニュートンは錬金術最後の時代の錬金術師だったといえるかもしれません。

 

文=ムー語講師・こざきゆう

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