1989年「ツチノコ共和国」建国!/戦後日本オカルト事件

編=オカルト雑学探究倶楽部

日本全国でツチノコが指名手配に

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西武百貨店のツチノコの賞金つき手配書(1973年)。

 

1989年4月22日は、奈良県吉野郡下北山村が「ツチノコ共和国」の建国宣言を行っ
た記念すべき日だ。古くからツチノコの目撃報告が多発していた下北山村では、その前年に生け捕り賞金百万円を懸けてツチノコ探検イベントを開催している。ツチノコ共和国建国は、その勢いをかってのものだった。

それにならうかのように、日本各地でツチノコに生け捕り賞金を懸ける自治体が続出。なかでも兵庫県千種町では、なんと2億円という超高額賞金が懸けられている(当時)。もちろんそこには、町おこし・村おこしという切実な問題があったし、ツチノコという幻の生物発見に対する人々の夢の値段が上乗せされているわけだが……。

では、そもそもツチノコとはどのような生物なのか。
ツチノコは北海道と奄美、沖縄を除く日本列島のほぼ全域で目撃されているが、共通するのは、なんといっても独特の形状だ。

体長は30~80センチと、これはまあふつうのヘビといっていい。だが、胴の直径は7~15センチとかなり扁平で、頭は三角形。首の部分がくびれている。また、尾は胴体に比べてかなり細くて短く、胴体の先からちょろっと飛びでている感じだ。おわかりのように、とても、ヘビの姿ではない。色は黒、焦げ茶、灰色……背には大きな斑紋があり、腹は蛇腹になっているから、こちらはヘビの特徴を備えている。

そもそもツチノコというのは「槌の子」であって、その形状が藁を打つ槌に似ているところから来ているといわれている。これは京都市北部、鈴鹿山脈、吉野・熊野、四国北部などの方言による呼び方で、ほかの地方ではノヅチ=野槌(秋田、宮城、岐阜北部)、ツチヘビ=槌蛇(岐阜南部、大阪)、ツチ=槌(大阪、兵庫北部)、ツチンコ=槌ん子(吉野)、トックリヘビ=徳利蛇(滋賀)、さらにはバチヘビ(秋田)、ツツマムシ(新潟)、コロガリ(福岡)といった名前もある。

いずれも、ツチノコの形状および行動特性をそのまま表現したものだ。逆にいえばそれほど全国で共通する異様な姿のヘビが、目撃・認識されてきたという証拠でもあるわけだ。

きっかけはNHK?

それだけに、ツチノコ目撃の歴史は古い。なかには、縄文土器の装飾につけられた「動物」が、ツチノコにそっくりだという指摘もあるくらいだ。
また『古事記』にも「ノヅチ」という名で、ツチノコらしき神が登場する。この「ノヅチ」は、時代が下った鎌倉時代の仏教説話集『沙石集』や、江戸時代中期の『和漢山才
図会』などにも出てくるので、かなり広く認識されていたことがわかる。さらに明治期
には、民俗学者の柳田國男や奇才・南方熊楠もツチノコもしくはノヅチに関する論文を発表しているほどだ。

と、これほどメジャーな日本のUMA(未確認動物)であるにもかかわらず、一般に広く知られるようになったのは、昭和40年代と比較的新しい。とくに1972年、作家の田辺聖子が朝日新聞に、小説『すべってころんで』を執筆したのが、最初にメディアで取りあげられたケースだとされる。

この小説は翌年、NHKでテレビドラマ化されるのだが、なんと物語中に発生する大きな出来事が、主人公によるツチノコ捜しなのだ。こうして全国的な知名度を得たせいか、その翌年になると今度は西武百貨店が、ツチノコの賞金付き手配書を作成(もちろん広告なのだが)。ちなみにこのときのツチノコ生け捕り賞金は、30万円だった。

こうしてじわじわとツチノコの認知度が上がっていくなかで、1974年になるとマンガ家の矢口高雄が「週刊少年マガジン」に『幻の怪蛇・バチヘビ』の連載を開始する。それをきっかけに子どもたちの間でもバチヘビ=ツチノコブームが起こり、一挙に日本全国で認知されるようになったのである。冒頭のツチノコ共和国建国が、こうした流れの延長線上にあることはいうまでもない。

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2009年に山形県で見つかったツチノコとされる生物の死骸(写真=山口直樹)。

 

近年では、2007年に山形県最上郡大蔵村の牧場の干草のなかから、ツチノコと思われるヘビの死骸が発見されていることから見ても、ツチノコに対する人々の興味が失われることはないだろう。もちろん、発見の可能性もまだ残されている。

 

出典=「ムーSPECIAL 戦後日本オカルト事件FILE」(学研プラス)

編=オカルト雑学探究倶楽部

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