週刊ムー語教室/ナチス神秘主義思想の源「ヴリル協会」

文=ムー語講師・こざきゆう

UFO開発を実現した超エネルギー

知っているようで知らない〝ムー的用語=ムー語〟をわかりやすく解説する、「週刊ムー語教室(毎週火曜日)」。今週は、ヒトラーのナチス・ドイツに神秘主義思想をもたらした「ヴリル協会」を紹介します!

 

第36回:ヴリル協会

【必修!3ポイントでわかるヴリル協会】

1:「ヴリル協会」は、神秘主義思想に傾倒していたアドルフ・ヒトラーのナチス・ドイツに大きな影響を与えた神秘主義結社のひとつ

2:「ヴリル・パワー」は失われた古代文明の叡智であり、〝万能の力、無限のエネルギー〟。地政学者カール・ハウスホーファーは、この力が地底の楽園シャンバラにあると考えた

3:ナチスはヴリル・パワーを求めてチベット調査を行ったほか、その力を動力源とした円盤型飛行兵器「ヴリル」の試作を行っていた

 

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ナチスが開発した空飛ぶ円盤「ヴリル」。

 

第2次世界大戦において、ヨーロッパを蹂躙したアドルフ・ヒトラー率いるナチス・ドイツ。彼らの思想、行動の背景には、さまざまな神秘主義思想の影響があったことが知られています。なかでも、ヒトラーとナチス・ドイツを、〝超古代文明の失われた叡智〟の探求に駆り立てた神秘主義結社のひとつが、今回、紹介する「ヴリル協会」です。

協会の名である「ヴリル」とは、1871年にイギリス人作家ブルワー・リットンの『ヴリル:来るべき種族』というSF小説に由来します。この作品では、地球内部には天変地異で滅んだ種族(アトランティス人ともいわれる)の末裔「ヴリル・ヤ」が、未知の超エネルギー「ヴリル・パワー」を使って、地上の科学をはるかにしのぐ文明をもつ楽園を築いている、と描写しています。

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ブルワー・リットンの著書『ヴリル:来るべき種族』1871年版。

 

これは単なる空想の物語として読まれるのがふつうでしょう。しかし、リットンは神秘主義結社「英国薔薇十字協会」の幹部だったため、小説に描かれた内容に事実が含まれると考える人々も少なからずいたのです。

そのひとりが、ドイツの地政学者カール・ハウスホーファーです。彼は、1918年、ドイツのバイエルン州ベルヒスガーデンで、神秘主義思想を取り入れた学術団体ヴリル協会を設立しました。ハウスホーファーは、「かつてこの地球上から失われた古代文明の超エネルギー、ヴリル・パワーを自在に操っていた人々こそ、純血アーリア人の祖先であり、ゲルマン民族は、失われたこの力を再び取り戻さねばならない」と主張したのです。

そして、東洋的な叡智に造詣の深かったハウスホーファーは、リットンの描いたヴリル・ヤの地球内部の楽園こそ、アーリア人発祥の地であり、そこはシャンバラだと考えたのです。

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地政学者カール・ハウスホーファー。

 

ミュンヘン大学の教授を努めていたハウスホーファーは、教え子のルドルフ・へスを通じてヒトラーと出会いました。そこで〝万能の力、無限のエネルギー〟である、ヴリル・パワーを手に入れれば世界を制することができる、と説き、ヒトラーに感銘を与えました。ナチスが政権を握ってからは、ハウスホーファーはヒトラーの思想的な補佐として迎え入れられ、さらにヒトラーをはじめ、ナチスのナンバー2であるヘルマン・ゲーリングら高官の多くがヴリル協会に入会することとなったのです。

ナチス・ドイツとヴリル協会の深いつながりは、随所に見られます。たとえば、1926年から1942年にかけて、ナチスはチベット調査を行っています。チベットといえば、地底の楽園シャンバラへの入り口があると噂される場所。これはハウスホーファーの、ヴリル・ヤの文明世界がシャンバラだという考えによるもので、すなわち、ヴリル・パワーを手にするための秘境探査だったのです。

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ナチスはチベットを探索し、失われた超エネルギー、ヴリルを追い求めていた。

 

また、ナチス・ドイツは円盤型飛行兵器(いわゆるナチスUFO)を開発していたといわれていますが、その試作機には「ヴリル」というコードネームがつけられています。
この超兵器ヴリルの動力源には、ヴリル・パワーの原理が使われていたといわれています。ナチスがどこまで、この古代の叡智を解明していたのかはわかりませんが、その一端に触れていた可能性はゼロではありません。ナチスはこの超兵器を完成させ、火星に到達していたという都市伝説まであるのです。

しかし、ナチスとヴリル協会との良好な関係は、長くは続いていません。

ハウスホーファーは、地政学的にドイツはソ連(今のロシア)との同盟が必要と主張しましたが、ヒトラーはそれを聞かずにソ連に侵攻をしたのです。これで両者には深い亀裂が入ることとなりました。さらに、ナチスとヴリル協会の橋渡し役だったルドルフ・ヘスが、第2次世界大戦末期にイギリスとの和平工作を秘密裡に行いました。これがヒトラーの逆鱗に触れ、ナチスとヴリル協会は袂を分かったといわれています。

なお、ナチスにおいてヴリル協会は膨大な研究資料を残しているはずですが、実は行方がわかっていません。それどころか、ヴリル協会については、第2次世界大戦の敗戦でアメリカに亡命したロケット工学者ウィリー・レイの証言しかないのです。当事者ハウスホーファーですら、ヴリル協会についてコメントひとつ残していないのです。

はたして、ヴリル協会は本当に存在したのでしょうか? そして、その資料はどこに消えたのでしょうか。

 

文=ムー語講師・こざきゆう

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