東北最大の怪奇ゾーン 「田代峠」の謎

文=並木伸一郎

怪奇現象が多発する日本屈指のミステリーゾーン

山形県北東部、宮城県との県境にある「田代峠」――。地元の古老によれば、周辺には、一度足を踏み入れたら2度と元へは戻れない「禁断の地」や、磁石の針がグルグル回るほどの磁気異常地帯が存在するという。1965年には自衛隊機が、まるで「見えない手」でつかまれたかのように垂直に墜落する謎めいた事件やUFOの目撃など、不思議な事件が多発する東北最大の「超怪奇ゾーン」である。

田代峠のミステリーを象徴する事件は、1978年5月10日に起こった高橋邦泰さんの体験だ。当時、山菜を取るため田代峠の奥に入った彼は突然、緑色のガスに身を包まれ、体が2メートルくらい宙に浮き、地上に降りた。見上げると小高い山の中腹に洞くつがあった。するとまた体が宙に浮き洞窟の中に吸い込まれた。岩肌は磁性を帯びているのか、雑多な金属が貼りつき、そのひとつに『金星発動機五十二年型昭和十九年三菱航空機株式会社』と刻まれてあった。奥に工場があるらしかったが、急に気味が悪くなり、外に飛び出した。その直後、強烈な緑色の光線を浴びて失神。気づくと最初の地点にいた。急いで山を下りた高橋さんだったが、4日間も消息を絶っていたこと、その間の記憶が欠落していたことを知った。彼は、この異様な体験を手記に残したが、その後、突然他界してしまった。

怪事件が多発する田代峠の周辺には、由来不明の洞窟群があり、そのほとんどが人工的に造られたものである。その後、高橋さんが吸い込まれたと思われる洞窟へ迷い込んだという人物が現れた。フリーのルポライター、塩野智康さんだ。

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(筆者が取材で訪れた際に撮影した田代峠の洞窟)

彼は1985年9月25日、謎の洞窟があるとされるミミズク山方向の山林に分け入ったとき、突然、霧が発生し、円形の発光体に追われた。逃げ惑っているうち洞窟の前に出た。内部に侵入すると、壁にびっしりと張り付いた金属板のなかに高橋さんが見たという「三菱航空機格式会社」と刻まれたプレートもあった。3か所に伸びる洞窟のひとつに侵入していくと、その先に大ホールがあり、そこには垂直、水平尾翼の無い銀色の飛行物体とロケット戦闘機に似た機体があったという。当時、彼の奇怪な体験は雑誌に掲載されて間もなく、突然、彼は消息を絶っている。

幻の戦闘機「秋水」か!?

筆者は仲間たちと十数年来調査を続けて、高橋さんと塩野さんが目撃したプレートに関連する情報を得た。太平洋戦争末期、日本軍は三菱重工に命じ、国産初のロケット戦闘機『秋水』を開発。エンジンは日本飛行機の山形工場で作られていたのだ。完成した『秋水』は5機。1号機はテスト飛行で大破。戦後、米軍によって3機が没収された。残りの1機――それは今もなお、日本のどこかに隠されているのだ。

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(塩野智康さんが書いたイラスト。当時体験し見た光景が鮮明に描かれている)

田代峠にはかつて、日本軍が駐屯していた。終戦間際には地下の秘密工場で、戦闘機を製造していたとの情報もある。高橋さんと塩野さんが迷い込んだ洞くつこそ、旧日本軍の、秘密工場で、そこに『秋水』が秘匿されているのではないか。だとすれば、これはまさしく、日本の『X-ファイル』である。

筆者は今でも、田代峠の夢を見る。緑色のガスに導かれ、洞窟の奥に入るとそこに、『秋水』の神々しい姿があるのだ。それが一日も早く、正夢となることを願ってやまない。

文=並木伸一郎

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