苦しみを取り除く!? 宮城県の「縛り地蔵」

文=並木伸一郎

川を守護する縄で縛られた地蔵

宮城県仙台市の中央部を流れる「広瀬川」は、水死者が少ないことで知られている。

地元の方の話では、自身が若い女性が何度か身投げしたのを見たことがあるそうだが、不思議なことに浅瀬の川原に押し流されたり、木の枝に着物が引っ掛かって死なずに助けられたりするなど、その方が知っているだけでも30人以上が奇跡的に命を取り留めているという。

なぜ、このような奇跡が起きるのか?

それは、広瀬川の上流にある仙台市米ヶ袋地区の小さな公園の中にひっそりとたたずむ「縛り地蔵」のおかげだという。だが、この地蔵には曰く因縁がある。

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実は地蔵の建立には、万治3年(1680年)に起こった「伊達騒動」が絡んでいる。

「伊達騒動」といえば、伊達忠宗のあとを継いだ3代目藩主・綱宗のお家相続を不満とする伊達兵部の本家乗っ取りが原因で起こったとされる。その際にこの兵部の権勢に不満を示した伊達安芸だった。そして安芸の忠臣だった伊藤七十郎が兵部の命を狙ったが捕えられ処刑されてしまった。

処刑の直前、七十郎は首切り役人の万衛門に、

「伊達兵部は3年のうちに亡きものになるはず。あるいは必ず島流しになろうぞ。わが主君の恨み、晴らさずおくものか」

と恨みの言葉を吐いた。すると、その日の夜から七十郎の亡霊が万衛門の前に現れ、万衛門を悩ませた。さらに、七十郎の予言通り、伊達兵部は流刑となった。恐れをなした万衛門は、七十郎を供養するため、出家して広瀬川のほとりに、この地蔵を建てたのだという。

また、この地蔵の身体を縄で縛ってから願掛けすると、人間に降りかかる、あらゆる苦しみを取り除いてくれるといわれ、「縛り地蔵」と名づけられた。

この「縛り地蔵」が建てられて300年以上が経過しているが、建立されてから広瀬川からはひとりとして水死者が出ていないという。

だが、先述した「お家騒動」の話から考えると、この地蔵は”呪い”や”祟り”を鎮めるために建てられたはずだ。なぜこのようなご利益をもたらすのかはわからない。

文=並木伸一郎

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