世界統一政府を目論む!? 秘密結社フリーメーソンの基礎知識

文=藤島啓章

謎の秘密結社の起源と歴史とは?

今や陰謀論の総本山といった感のある「フリーメーソン」。多数の世界的指導者や著名人を輩出しながら、一方では、超古代の叡智と秘儀を継承し、世界統一政府の樹立を企んでいると囁かれるなど、歴史や実態には謎の部分が多い世界最大の国際秘密結社だ(厳密には各個人会員を「フリーメーソン」、団体名を「フリーメーソンリー」というが、日本では混用されているので本稿でも区別しない)。

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直訳すれば「自由な石工」。ただし起源は判然とせず、いくつかの説が唱えられている。

①古代エジプトの大ピラミッドを建造した石工集団説=謎多きギザの大ピラミッドを建造した石工集団を起源とする。

②ソロモン神殿の建築に携わった石工集団説=ユダヤのソロモン王の神殿(紀元前958年に着工し7年半後に完成)の建設責任者だったヒラム・アビフが組織した石工職人の集団を起源とする。

③テンプル騎士団説=聖地エルサレムへの巡礼者を保護するためにフランスで結成されたテンプル騎士団が、14世紀にフランス王フィリップ4世によって潰滅状態に追い込まれたおり、スコットランドに逃れた騎士たちが新たに創設した組織を起源とする。

④中世イギリスの石工職人組合(ギルド)説=1360年、ウィンザー宮殿建造の際に徴用された568人の石工職人が、自分たちの技術や知識を門外不出とすべく結成した組合を起源とする。

いずれの説が的を射ているかは定かでないが、フリーメーソンが歴史上にその姿を明確に現したのは1717年6月24日(聖ヨハネの日)、イギリスのロンドンにおいてだった。当時、ロンドンにすでに存在していたフリーメーソン組織の4ロッジ(集会所)の代表者が「グース・アンド・グリドアイアン」という居酒屋に集まり、4ロッジを統括する「イングランド・グランドロッジ」を結成、アンソニー・セイヤーを初代グランドマスターに選出し、近代フリーメーソンのスタートは切られるのである。

中世ヨーロッパにおいては、あらゆる分野の技術に精通する必要があった建築家の社会的地位は高く、技術の伝承には厳しい掟が定められていた。ために、近代フリーメーソンには建築と無関係の王侯や貴族、知識人などが相次いで加入し、職人団体とはまったく別の組織へと変貌。イギリスからヨーロッパ諸国、ロシア、アメリカ大陸、さらに西欧諸国が植民地化したアフリカやアジアへと広まり、会員数600万超という世界最大の国際秘密結社へと成長していったのである。

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ただし石工団体の名残りとして、彼らの必需道具だった直角定規とコンパスをシンボルマークにしている。両道具と同時に描かれることが多い「G」は、「神(God)」「幾何学(Geometry)」「栄光(Glory)」「寛容(Grandeur)」「グノーシス(Gnosis)」などを意味する。

ピラミッドに左目を配した「ピラミッド・アイ」も有名なシンボルのひとつだ。これは「プロビデンス(摂理)の目」「神の全能の目」「万物を見通す目」などとも呼ばれ、古代エジプトで信仰されたホルス神の左目に由来するとする説がある。ちなみに、フリーメーソンの起源が大ピラミッドを建造した石工集団にある、と主張しているのはこの説の支持者たちだ。

儀式や集会において、エプロン(前垂れ)や手袋、コテ、槌などを用いるのも、石工団体時代の名残りである。また、フリーメーソン内の位階制度にも、石工団体時代の「親方(棟梁)」「職人」「徒弟」という呼称が残されているが、王侯や貴族、知識人らの加入によって組織が拡大するに伴い、上部位階がピラミッド形に積み重ねられていった。たとえば、最も有名なスコテッィシュ・ライト(儀礼)では第33位階の「最高大総監」、ヨーク・ライトでは第13位階の「聖堂騎士」、スウェーデン・ライトでは第12位階の「ソロモンの代理者」が最高位になっている。

アメリカ建国に深く関与していた!?

これらの基本情報はかなり広範に知られているが、フリーメーソンの実相や活動内容は深い謎の中にある。フリーメーソン側では「自由・平等・友愛・寛容・人道の5つの基本理念のもと、会員相互の特性と人格の向上を図り、良き人々をさらに良くすることを目的とした友愛団体」と説明し、世界各地に堂々とロッジを設けている。

しかし、陰謀史観論者の見解は違う。世界史に極太の字で記されるような数々の大事件のほとんどすべてにフリーメーソンは深く関与してきた、と主張するのである。
いくつか事例をあげよう。まずは、フリーメーソン暗躍のきわめて明白な証拠が残っているアメリカの独立だ。

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アメリカ合衆国の「独立宣言」が採択されたのは1776年7月4日。起草の中心人物はフリーメーソンのトーマス・ジェファーソンで、ベンジャミン・フランクリン(ペンシルベニア州フィラデルフィアのセント・ジョーンズ・ロッジのグランドマスター)が協力した。しかも独立宣言に署名した「建国の父」56名のうちのじつに53名がフリーメーソンだった。

独立戦争が終結したのは1781年で、1787年に合衆国憲法が制定され、1789年にジョージ・ワシントン(ニューヨーク・グランドロッジのグランドマスター)が初代大統領に就任した。
直後、ワシントンは政府の重要機構を整備し、国務長官に前記のジェファーソン、財務長官にアレクサンダー・ハミルトン、陸軍長官にヘンリー・ノックス、司法長官にエドモンド・ランドル、副大統領にジョン・アダムスを任命した。その全員がフリーメーソンなのである。

アメリカ大統領はオバマ・バラクが第44代になるが、歴代大統領のうち初代のワシントンを含めて少なくとも19名、しかも第3代のジェファーソン、第4代のジェームズ・マディソン、第5代のジェームズ・モンロー、第7代のアンドリュー・ジャクソン、第11代のジェームズ・K・ポーク、第12代のザカリー・テーラー、第13代のミラード・フィルモア、第15代のジェームズ・ブキャナン……と初期の大統領の大半がフリーメーソンだった。

建国へのフリーメーソンの深い関与は国璽からも証明できる。アメリカ合衆国の国家の印たる国璽に、なんとフリーメーソンのシンボルのひとつである「ピラミッド・アイ」が描かれているのだ。同じシンボルは1ドル紙幣の裏側にもデザインされているので、実際に目にしたことがある読者もいるだろう。

ニューヨーク湾リバティ島に立つ自由の女神像もしかり。アメリカ独立100周年を記念してフランスから贈呈されたとされているが、正確にはフランスのフリーメーソンからアメリカのフリーメーソンに贈られたもので、台座には直角定規とコンパス、Gをデザインしたフリーメーソンのシンボルマークがくっきりと浮き彫りにされている。

大統領官邸「ホワイトハウス」の設計者ジェームズ・ホーバンもフリーメーソン。国家『星条旗』の作詞者フランシス・スコット・キー、作曲者ジョン・スタフォード・スミスもフリーメーソン。行進曲『星条旗よ永遠なれ』の作曲者ジョン・フィリップ・スーザもフリーメーソンである。

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