国家は霊能者に動かされている!! 現在進行形のオカルト政治

文=中村友紀

降霊術に操られた韓国大統領

2016年、パク・クネ(朴槿恵)大統領をめぐり、大きなスキャンダルが韓国で巻き起こった。今もなお続く事件の発端をごく簡単にいえば、「大統領府の内部資料を友人であるチェ・スンシル(崔順実)に渡していたことから、文書管理に関する法律に違反した可能性が高い」ということだった。

今回の事件が発覚したとき、パク・クネ大統領は彼女との関係を「チェ・スンシル氏は、かつて私が困難なときに助けてくれた人です」と説明した。

パク・クネ大統領の父親、パク・チョンヒ(朴正煕)大統領(1963年)。
パク・クネ大統領の父親、パク・チョンヒ(朴正煕)大統領(1963年)。

ふたりが出会うきっかけは、1974年8月15日。パク・クネ大統領の父親であるパク・チョンヒ(朴正煕)大統領の暗殺未遂事件が起こり、母親のユク・ヨンス(陸英修)が暗殺されたことにある。

この痛ましい事件の後、チェ・テミン(崔太敏)なる人物がパク父娘の前に現れ、一通の手紙を渡した。それによると母親であるユク・ヨンスの霊がチェ・テミンの前に現れ、「うちの娘はいずれ国の母になる。娘に力を貸してやってほしい」と懇願したというのである。

パク・クネはこの「母親の言葉」に気絶するほどの衝撃を受けたという。それだけではない。自分の夢に出てきた母親からも、「チェ・テミンさんはお前を助けてくれるから……」といわれたというのだ。

かくしてパク・クネは、チェ・テミンを完全に信用するようになった。

チェ・テミンは、新興宗教の創始者であり、シャーマンでもあった。もうおわかりだろうが、今回の事件で登場したチェ・スンシルは、チェ・テミンの娘である。

チェ・テミンの死後、パク・クネとチェ・スンシルの関係はより親密になっていく。パク・クネは2004年には国会議員に当選するが、このときの秘書室長もチェ・スンシルの夫であるチョン・ユネ(鄭允会)だった。

政界に打って出たときの演説も、2012年に大統領選挙で勝利したときの振る舞いも、彼女はチェ・スンシルのアドバイスを全面的に受けていたといわれている。

 

占い師に導かれた明治時代

この事件をもって、韓国の政治家が前近代的だとか、政治意識が低いという指摘は、完全な誤りだ。そもそも政治と呪術は、昔から切っても切れない深い関係である。

政治を日本では、政といった。「まつりごと」である。古代は祭政一致が原則で、政治を握った武家の側にはつねに呪術を操る者がいた。

こうしたスタイルは、明治以降になってもあまり変わっていない。明治維新によって日本は「文明開化」を迎えたが、政の本質は変わりようがないからだ。

その代表が、明治政府の立役者である伊藤博文だ。

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日本国の初代総理大臣として知られる伊藤には、高島嘉右衛門という呪術的ブレーンがいた。「高島暦」という易をご存じだろう。その創始者である。たとえば日清戦争開戦は、高島の勧めによって伊藤が決断したといわれている。また、日露戦争直前には、政治家たちが高島のもとを訪れ、勝敗の鍵となる連合艦隊の司令長官をだれにすべきか、相談している。そして最終的には高島の易で、人事が決められたのだ。ちなみにこのとき、高島が推したのが東郷平八郎だった。彼が日本海海戦でロシア艦隊を撃破したことは、説明の必要もないだろう。

ちなみに高島は、伊藤博文の暗殺も「予言」したといわれている。

伊藤が満州のハルピンを訪れる直前、伊藤に「急病になるように」進言したというのだ。国のためならこの身を捧げてもいいといって旅だった伊藤に高島は、「艮」や「山」といった文字が入った名前の人物は、決して近づけないようにと助言した。

伊藤はこの旅で、暗殺される。犯人は安重根。まさしく「艮」を名前に持つ人物の凶行だった。

現代社会になっても、政治家と呪術師の関係はきわめて密接だ。昭和30~40年代にかけては、藤田小女姫という霊感占い師が、総理大臣の岸信介、福田赳夫、パナソニックの創業者である松下幸之助らを顧客として、財をなしたといわれている。

 

(「ムー」2017年3月号「実録 オカルト政治事件」特集より抜粋)

文=中村友紀

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