人類学者が挑む「ビッグフット捕獲作戦」/ヒストリーチャンネル

文=宇佐和通

ベーリング海峡を渡った獣人

ビッグフット。サスカッチ。そしてかなり前の時代なら、アボミナブル・スノーマン。呼び方はいろいろあるが、すべて同じ生物を意味する言葉だ。大きな体全体を長い毛に覆われた、直立歩行型の類人猿型UMAである。

今回紹介する番組のタイトルは『Bigfoot Captured』。〝捕獲されたビッグフット〟という強い語感の表現だ。番組自体は、ビッグフットの出現を受けて11日間にわたる現地調査を繰り広げるタスクチームを追うドキュドラマといったフォーマットで進んでいく。ヒストリーチャンネルでは、かつてルイジアナ州の人狼型モンスター“ルーガールー”についても同じ方法で番組が作られていたことを思い出す。

ドラマ仕立てではあるが、盛り込まれる要素は事実ばかりだ。パターソン・ギムリン・フィルムを始め、これまで公開された写真やフッテージが豊富に紹介され、番組全体に立体感が生まれ、ある種の緊張感が持たされている。

bigfoot
パターソン・ギムリン・フィルムのビッグフット

ビッグフット型UMAは生息域がかなり広く、北米大陸からアジア圏まで目撃例が報告されているのは周知の通りだ。生息域がこれだけ広域である事実を説明する仮説の中に、アジア大陸に生息していた古代種の生物がベーリング陸橋を渡って北米大陸に達し、その末裔がいまだに生き残っているというものがある。同じ祖先を持つ生物が移住したのが事実なら、似たような生物が広い範囲にわたって生息し続けていてもおかしくはないだろう。

確かにアジア圏においても北米圏においても、目撃される生物の外見的特徴は酷似していて、相違点があるとすれば身長くらいだ。

いわゆるビッグフット型UMAが古代生物の生き残りであるなら、古生物学や生物学の研究対象となっても違和感はない。ただし、主流派科学の枠組みの中で、あえてそうした姿勢を見せる専門家は数えるほどしかいないのが事実だ。

その数少ないエキスパートの一人であるアイダホ州立大学人類学部教授ジェフリー・メルドラム博士が今回の番組に全面的に協力している。

 

学術的なビッグフット調査

そのメルドラム博士は、世界最古の一般向け科学雑誌『サイエンティフィック・アメリカン』への寄稿で次のように語っている。

――子どもの頃からビッグフットを追いかけてきた。兄と一緒にビッグフット研究家として有名だったポール・フリーマンを訪れて、足跡の石膏型を見せてもらったこともある。当時のフリーマンは評判があまりよくなかったが、彼が証拠といっているものを自分の目で見ればある程度判断できると思った――

子どもの頃から興味があったことを追い続け、結果として専門家になったメルドラム博士は現在、『ヒト型生物依存種に関する世界会議』の中核的メンバーとして、旧ソ連圏や中国、ネパールといった国々の専門家とのネットワークを構築している。この分野でも、国際的な協力体制が構築され、整いつつあるのだ。

こうした背景もあってのことなのだろう。番組では、調査チームの一員がネパールを訪れ、イエティの頭皮と手のミイラを目の当たりにするくだりは新鮮だ。このあたり、番組全体のベースとなるコンセプトとしてベーリング陸橋説を据えていることが伝わってくる。

『Bigfoot Captured』というタイトルは、11日間にわたる現地調査の過程でビッグフット捕獲作戦が展開されることにある。前述したように映像自体はフィクションではあるが、ソダーバーグ作品にも似たカメラワークや『ブレアウィッチプロジェクト』を思わせるカットなど、視聴者を楽しませようとする仕掛けを感じ取るのは筆者だけではないだろう。

捕獲作戦自体はどうなったのか。それは本編をご覧になって、ご自身でお確かめいただきたい。

 

(「ムー」2017年7月号より抜粋)

「謎のビッグフット捕獲作戦」は、6月27日(火)22:00~ほか、CS放送「ヒストリーチャンネル」にて放送。

文=宇佐和通

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