連載400回! 南山宏のちょっと不思議な話特別編「動物奇談」

文=南山宏

世界で起こりつづける奇妙な出来事

世界では、毎日のように奇妙な物語が起きている。そんな奇想天外な“実話”を1984年から紹介しつづけて33年。「ムー」での連載はついに400回! 今回は特別に「動物奇談」を出張掲載しよう。

 

リス王

2013年6月半ば、カナダ・サスカチュワン州レジャイナの動物クリニックに、文字どおりひと固まりになった6匹の可愛いリスたちが持ち込まれた。

だが、獣医師のイーサン・キャンベル氏は、リスたちが異常な状態にあるのをすぐ見てとった。リスの6本の尾が、マツヤニでべったり絡み合ってしまい、動こうにも動けなくなっていたのだ。

持ち込んだ市役所職員の説明では、松の木の根方でぐったり動けずにいたところを、たまたま通りかかって助けだしたという。

「幸い、健康状態はよかったので、マツヤニを拭き取り、毛を剃ったりして、もつれた尻尾をほどき、別々に引き離して、元いた松の根方あたりに放してやりました」

キャンベル獣医師は、動物愛護協会機関紙の記者にそう答えた。

この種の異常な動物現象は、これまでもときたま報告があり、専門家の間では〝リス王(スキレル・キング)〟という分類名で知られる。

同じような現象はネズミでも目撃され、この場合は〝ネズミ王(ラット・キング)〟と呼ばれている。

 

ヒツジの恩返し

1頭のヒツジが、悪性腫瘍を嗅ぎつけて、飼い主の命を救った。

英ウィルトシャー州ウートンバセットの牧場で働くエマ・ターナーさん(35歳)が、ヒツジのアルフィーに動物用のサプリメントを与えようとすると、アルフィーはイヤイヤをするように、彼女の胸のあたりを何度も頭突きにした。

この5歳のコッツウォルド種はいつもはとても温和だが、この時ばかりはエマと男ふたりがかりで抑えつけなければならなかった。

だが、エマが胸にできた赤あざを病院の医師に診てもらうと、意外な事実が判明した。そこに初期段階の乳ガンが見つかったのだ。

「もしアルフィーがあんな真似をしなかったら、あと何年かたってガンがもっと大きくなるまで見つからなかっただろうって、先生がたはおっしゃってたわ」

「メトロ」紙2011年6月14日付の記事で、エマは語った。

「病院の人はみんな、口を揃えていうのよ。お前が助かったのは、アルフィーのおかげだよって」

エマは4か月間の化学療法を経て、乳腺切除手術に踏み切り、ガンをきれいに取ってもらった。

アルフィーは生まれるときに難産で、母親のヒツジはわが子が生まれる前に死んでしまったが、エマがそのお腹の中から救いだした。

きっとアルフィーはその恩に報いたのにちがいないと、周囲の人たちの間では噂されている。

 

子猫センサー

生まれてまだ10か月の赤ちゃんネコのフィッジは、飼い主の女性が毎晩、居間のソファに寝そべってテレビを観ていると、いつもきまってその右胸の上に跳び上がっては、そこに座り込む奇妙な行為を、2週間ぶっ通しで続けた。

「デイリーエクスプレス」紙2012年1月24日付によると、英ウィルトシャー州ロートンのウェンディ・ハンフリーさん(52歳)は、右乳房にできた赤あざをかかりつけの医師に見せると、豆粒大のガン性腫瘍が発見された。

医師の話では、知らずにいたら悪化して、命に関わる結果を招きかねないところだったそうだ。

ウェンディは化学療法に続いて乳腺切除手術を受け、数日後には元気な体になって退院した。

専門家の仮説では、腫瘍の部分がほんの少しだがほかより体温が高いため、子猫が惹きつけられたのではないかとされている。

 

クンクン犬

ドイツ・ゲルリンゲンのシラーヘーエ総合病院の研究チームは、〝クンクン犬〟(嗅覚探知犬(スニファー・ドッグ))が呼気サンプルを嗅いだだけで、肺ガン患者を見分けられることを立証した。

2011年8月18日付ロイター電によれば、特別に訓練されたイヌたちに、肺ガンや慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者並びに肺に非健康的問題のないボランティアを含む220人の呼気サンプルを嗅がせたところ、100例中から肺ガン患者の呼気71例をすべて首尾よく捜し当てた。

また400例中から、肺ガン患者ではない呼気サンプル372例を、やはり正しく選び出した。

さらにまた、同じイヌたちは肺ガン患者の呼気サンプルを、COPD患者とただのタバコの煙のサンプルから正しく識別した。

おそらくイヌたちが検知するのは、肺ガン細胞が作りだす何らかの揮発性有機化合物ではないかとされるが、どんな有機化合物なのかはまだ特定されていない。

この研究を率いて「ヨーロッパ呼吸器ジャーナル」誌2011年8月号に発表したシラーヘーエ総合病院のトルステン・ヴァレス医師は、次のように慨嘆する。

「この実験に協力してくれたイヌたちが、肺ガンの臭いに関する生化学的特性をわれわれに教えられないのは、実に残念なことだ。もし彼らが口さえ利けたら――」

 

最高級臭気探知機

アメリカのフロリダ州立大学感覚調査研究所の所長ジェームズ・ウォーカー博士によれば、イヌの嗅覚は一般的に、われわれヒトの嗅覚に比べて、1万倍から10万倍以上も秀れているそうだ。

イヌの脳はヒトの脳より、嗅覚機能に使われる部分の占める容積が、はるかに大きいのだ。

イヌはまた、嗅覚に関連するニューロン(神経細胞)が、鼻から脳にかけて、ヒトよりはるかに大量に集中しているという。

イヌの病気探知能力研究の先駆者、カリフォルニア大のマイケル・マカロック博士は強調する。

「イヌの脳と鼻のハードウェアは現在のところ、地球上最高の精密臭気探知機にちがいない」 201708nis

 

(ムー2017年8月号特集「南山宏のちょっと不思議な話400回SPECIAL」より抜粋)

 

 

文=南山宏

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