「見えない侵入者」/外国人の実話怪談 episode10

文=MASK校長

ハワイで起きた怪奇現象

< アメリカ・ハワイ州 > トムさん(仮名)・先住ハワイアン男性30代

日本でも話題となった海外ドラマ「LOST」の撮影ロケ地としても知られるハワイは、多くのミステリーにも満ちた島だ。常夏の観光地として大人気の同島であるが、ハワイは昔からポルターガイストやUFO関連の話も多く、その類の情報も当然のように現地住民から筆者の元へ寄せられている。今回は寄稿された話の中からジリジリ迫る恐怖感のあるものを紹介してみようと思う。

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見えない敵が迫る恐怖を映画やゲームの世界で疑似体験したことがある人もいることだろう。「正体不明」という要素は時として人を最も怖れさせるものだ。

ハワイ州にマイホームを所有するトム(仮名)は、とても陽気なナイスガイだ。スポーツだけでなく読書の趣味も持ち、また地域のボランティア活動にも積極的に参加している公務員である。そんな心身ともに健全な彼だが、「LOST」の不思議現象に劣らない奇妙な出来事を体験したことがある。これは2014年にトムの自宅で実際に起こった話である。

その前にハワイの治安について少し触れておかなくてはならない。観光でハワイを訪れる日本人はおそらく「ハワイは安全」と思っている方が多いかと思う。旅行チケットを購入する際に旅行会社にも念のため聞いている人もいるだろう。「ハワイは安全ですか?」と。返ってくる答えはイエスかもしれない。複数回ハワイ旅行に行き、何もなかった人も当然いるだろう。しかし現地のニュースというのはほとんど日本に入ってこない。実際には日本よりもずっと危険なのである。

こうした背景から、自宅に感知器(=センサー)を配備する意識は日本人よりも高いと思われる。オアフ島にマイホームを所有するトムも防犯のため自宅の内部にモーションセンサーを配置している。モーションセンサーとは物理的な動きを感知するセンサーのことで、何者かが住居に不法侵入すると近くに仕掛けてあるモーションセンサーが感知して警告音や警告灯を発するしくみだ。

トムは自宅内部に4つのモーションセンサーを配置している。玄関にひとつと廊下に3つ。彼の家は玄関から入るとまっすぐ廊下が走っており、中央の廊下から各部屋に入れる間取りとなっている。ある部屋から別の部屋に行くには必ず廊下を通らなければならない。奇妙な出来事が起こったその日、トムは自宅にひとりでいた。

トムの部屋は廊下の突き当りで一番奥の部屋となっている。夕暮れ時、彼はベッドに横たわりながら本を読んでいた。部屋の窓からは少し赤焼けし始めた積乱雲が見える。とても静かな夕暮れ時……部屋のドアを開けっ放しにしていて開放感がある。ベッド上に伸ばした足は玄関の方を向いており、読書をしている目線を少し上げれば玄関が見える。辺りはまだ暗くなっておらず、玄関窓から指す光で玄関も明るい。トムはだれにも邪魔されず気持ちのよい読書をしていた。

 

パッ……玄関の方で明かりが付いた。トムは読書をしている目線を上げて玄関を見た。

「……?」

玄関にお客さんらしき人影はいない。妻が帰ってきたような音も聞こえなかった。しかしトムは猫を飼っていた。彼は猫がセンサーに触れたのかもしれないと思い目線を本へと戻した。

再び読書を始めるとほぼ同時にパッと視界の隅で明かりが付いた。トムが目線を上げると2つ目の警告灯が付いている。

「……故障したかな?」

玄関に設置してある警告灯が付き、その数秒後に廊下に設置してある警告灯が付いた。通路にはだれもいない。ネコの姿も見えない。するとトムは機器の故障を疑った。センサー部分が劣化して誤作動でもしたのだろうか……? どうやら買い替えしなければならないのかと、トムはせっかくの読書に水を差されたような残念な気持ちになってしまった。

 

(トム)

「この時僕はまったく心配していなかったよ。だってマイキャットじゃなければ故障しかないんだよ。ふたつ目の明かりが付いた時にはしっかりと通路を見たんだけど、だれもいなかったからね」

トムはふたつの警告灯をオフにしに行かず、読書を続ける。そのわずか数秒後、視界の隅でまた明かりが付いたのを感じた。目線を上げる、……すると今度は廊下の真ん中の警告灯が付いている。3つ目のモーションセンサーが反応したのだ。最初に玄関、次に廊下の端、そして廊下の真ん中にある動体検知器が反応したことになる。ドアは開けっ放しにして通路は見通せるが、何か動いているような物体は目視できない。

トムいわく、「見えない何かが歩くようなスピードで近づいてきているようだった。何がモーションセンサーに反応したのか見当もつかない」という。

筆者はトムに何らかの湯気や気体のようなものは見えなかったかと聞いたが、彼は気になるようなものはいっさいなかったといった。

4つ目のセンサーは廊下の一番奥、つまりトムの部屋のすぐ前に設置してある。もしこの最後のセンサーが反応すれば、「見えない何か」はトムを目指して近づいてきていることを意味する。トムはもう読書をしていない。ベッド上で廊下の方を見たままだ。3つ目までの警告灯はいずれもトムが廊下を見ていない時に付いた。廊下を見ていれば付かないのではないか‥そんな期待と不安の中、開けっ放しのドアが不気味な光に照らされた。4つ目のセンサーが反応したのだ。

 

「ウアァァッ!!」

トムの全身に悪寒が走り、トムはベッドから飛び起きてドアを思い切り閉めた。

奇妙な報告はここで終わっている。

トムは心身ともに健全で霊感はなく、不思議な体験もこれ一度きりである。霊は動体検知器に反応することもあり、そういった体験談も複数寄せられているが、実際にこれが霊だったかどうかは分からない。一定の歩行スピードを保ち、センサーを正確に反応させて進んでくる透明な物体とは一体……。

文=MASK校長

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