坂本龍馬 暗殺の真実 真犯人は土佐藩の……!?

文=古銀 剛

あの日、結局、何が起きたのか

坂本龍馬の暗殺犯は、いったい誰なのか?――

これは幕末史の、大きく、そして深い謎のひとつであろう。

新選組だ、いや京都見廻組(みまわりぐみ)だ、黒幕は西郷隆盛だ、いや〇〇だ……と、これまで、さまざまな説が取り沙汰されてきたが、そのどれもが決定打を欠き、やはり謎は謎のまま残されてきた。

そんなところへ、近年、このミステリーをめぐるまったく新たな見方が登場した。

驚天動地の真説を導き出したのは、歴史の闇と真相を暴く野心作を発表しつづけている、作家の加治将一氏。

加治氏によれば、龍馬暗殺の実行犯は、だれもが知っていて、それでいて――いや、それがゆえに――だれもが見落としていた、あの男だった……。

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映画『龍馬裁判』より。

そもそも、事件当夜の出来事は、今では世間一般によく知られているものだが、これとて、事件後に現場に駆けつけた人々の口伝や証言を寄せ集めて醸成されたもので、確たる史料をもとにしたものではないのだ。

つまり、龍馬暗殺事件については、まともな記録は存在しない。

結局、はっきりとわかっていることを書き並べれば、つぎのようにしかならない。

「慶応3年11月15日夜、京都の近江屋の2階に複数の男の姿があった。

しばらくして、惨劇が生じた。

坂本龍馬が死に、中岡慎太郎が瀕死の重傷を負った」

 

平和革命派と武力革命派

結局、犯人は誰なのか。

ここからは、加治氏の最新作『龍馬を守った新撰組』をなぞるかたちで論を進めさせていただこう。

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『龍馬を守った新撰組』(水王舎)。

ここでいったんマクロな視点に立ち、事件当時の政治情勢を一望してみよう。

幕末といえば、薩摩・長州は尊皇攘夷・討幕、幕府は開国・公武合体というイメージを抱きがちだが、それはステレオタイプで、それぞれの勢力は決して一枚岩ではなかった。薩長側は決して足並みがそろっていたわけではなく、幕府・朝廷の場合も攘夷派もいれば開国派もいるというのが実情だった。

そして、龍馬や中岡が属す土佐藩もまた、薩摩と結んで討幕をめざすことでは方向はかたまっていたが、やはり内部は一枚岩ではなかった。単純にいえば、大政奉還を主導した平和革命派と、薩摩・長州の立場に近い、武力討幕をめざす武力革命派に分かれていて、前者の親分が龍馬、後者の親分が中岡だった。

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中岡慎太郎。

つまり、盟友同士とされてきた龍馬と中岡は、実際には、対立関係にあったと考えられるのだ。

龍馬主導による大政奉還がなった直後、朝廷から薩長に対して「将軍慶喜を追討せよ」と命じる「討幕の密勅」が出されているが、これは薩長を核とする武力革命派の画策だった。だが、彼らの策謀はこれにとどまるものではなかった。武力革命派は、討幕のための驚愕の秘策を用意していた。

その秘策というのが、「天皇すり替え」であった。

長州が囲っていた、南朝天皇の子孫と伝えられる大室寅之祐(おおむろとらのすけ)を、討幕挙兵の混乱に乗じて、孝明天皇の息子である睦仁(むつひと)とすり替え、大室少年を明治天皇にして完全に天下をとる。――これが、武力革命派の最終計画であり、野望であった。

ところが、そんな向こう見ずの過激派の前に、厚い障壁として立ちはだかっていたのが、平和革命派のリーダー、坂本龍馬だったのである。

 

実行犯は慎太郎、黒幕はイギリス

慶応3年11月15日、夜。

近江屋の2階では、龍馬と中岡が対峙していた。

2人の他に、谷干城ら、武力討幕派の志士が数名そこに同席していた。

薩摩の武闘派と通じていた中岡は、なんとか龍馬を説得して、彼を過激派に引き入れようとした。

「大政奉還では甘い。武力革命でなければ、幕藩体制は崩れないのだ」

だが、龍馬はてんで相手にしない。

激論のすえ、切羽詰まった中岡はついに秘策「天皇すり替え」の実行計画を明かした。

だが、龍馬の反応は相変わらずだった。

「そんなことをしてもバレる。やめた方がいい。日本が真っ二つに分裂するきに」

会談はついに決裂した。

しかし、中岡にしてみれば、このまま大人しく帰るわけにはいかない。「天皇すり替え」を知った者、それに従わない者は、生かしておくわけにはいかないのだ。

中岡はついに刀を抜いた。

そして、鯉口を切る龍馬――。

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映画『龍馬裁判』より。

慶応4年1月、龍馬の死から2か月もたたないうちに、鳥羽・伏見で薩長を主力とする新政府軍と旧幕府軍が衝突、戊辰戦争がはじまった。そして約1年半に及ぶ断続的な戦闘の末、旧幕府勢力は殲滅。平和的革命による新国家樹立という龍馬の宿願は、夢のままに終わった。

加治氏によれば、武力革命派による龍馬暗殺事件の背後には、工作員アーネスト・サトウ、外交官パークスらイギリス勢力が浮かび上がってくるという。さらにいえば、討幕・維新のグランド・デザインを描いたのは彼らであったという。

いわば、中岡慎太郎は操られた実行犯であり、内ゲバを仕組んだイギリスこそが龍馬暗殺の真犯人だったと呼べるかもしれない。

 

そんな幕末・維新の禁断の真実を知りたいという読者は、ぜひ『龍馬を守った新撰組』を手にとってひもといていただきたい。

また、本書を原作とする加治氏監督の映画『龍馬裁判』も、各地で随時公開の予定なので、あわせてご覧いただきたい。

「真実は虚偽となり、虚偽は容易に真実となる。この世に歴史はない」(加治将一『龍馬の黒幕』)

 

(ムー2017年12月号 「坂本龍馬 暗殺の真実」より抜粋)

 

映画『龍馬裁判』のディレクターズカット版DVD(3000円・税込)と、オリジナルブックマーカー(1000円・税込)が発売中。

購入希望の方は、こちらのメール(info@totalself.net)へ。

映画『龍馬裁判』実行委員会/企画・制作著作:有限会社トータルセルフ

 

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監督・脚本を務めた加治将一氏。幸英現場にて。

文=古銀 剛

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