ニューメキシコにUFOが墜落――今明かされるアズテック事件の謎

文=南山宏

ふたつの墜落UFO事件

かのロズウェル事件からわずか8か月後の1948年3月25日、同じニューメキシコ州内だが、ロズウェルからは北西方向に直線距離で400キロほど離れたアズテックの郊外に、1機のUFOが墜落していた。その残骸が複数の乗員死体もろとも米空軍の特殊部隊に密かに回収されたという、もうひとつのロズウェル事件・が起きていたという事実は、今では専門研究者でもなければ知らないのが現実だ。

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ニューメキシコ州アズテックのUFO墜落事件現場全景。

このアズテック事件は、事件が発生してから1年後の1949年、アメリカの報道ジャーナリスト兼芸能コラムニストのフランク・スカリーが、エンターテインメント業界で当時も今もトップを張る芸能専門誌「ヴァラエティ」にいち早く、取材結果を連載記事の形で発表した。

それだけでなく、翌1950年、それを大きく加筆して、ニューヨークのヘンリー・ホルトという大手出版社から刊行した『空飛ぶ円盤の背後で』が大ベストセラーとなって、UFO問題に対する一般大衆の関心が一挙に高まったのだ。

高まった理由のひとつには、ロズウェル事件の1週間ほど前、1947年6月24日のケネス・アーノルド事件以来、全米各地でUFOを見たという報告が急増して、すでにUFOブームの様相を呈していたからでもある。

スカリーの主張によれば、アズテック市の北東約20キロ地点のハートキャニオンに不時着した円盤型物体は、直径が約30メートルとかなり巨大だった。

その機体の残骸の内部からは、身長91センチから110センチにも満たない、小柄な体のわりには頭が大きく、手足が細く華奢で、黒く大きな吊り上がり気味の両目をした人間型乗員の死体が、ぞろぞろと16体も見つかったという。彼らの死因は、円盤が不時着の衝撃によって破損し、機体内部の急激な減圧に耐えられなかったからではないかとも憶測された。

スカリーは自著の中で、主要な取材情報源として、地元のラジオ修理店主サイラス・M・ニュートンと、フリーの埋蔵油田探査業者で発明家でもあるドクターG・ことレオ・A・ゲバウアーのふたりの名前を挙げた。

しかし一方では、1950年代が深まるにつれ、『空飛ぶ円盤の背後で』の内容はほとんどがデタラメだ、と告発する新聞ジャーナリストも現われた。

「サンフランシスコ・クロニクル」紙のジョン・フィリップ・カーン記者が主張するところでは、著者のスカリーは、情報提供者として彼が信頼したニュートンとドクターGのインチキ話にすっかり騙されたのだという。ニュートンもゲバウアーもその正体は「墜落円盤の残骸から入手した地球外技術を使った製品だから、石油でも天然ガスでも金や銀の鉱脈でも簡単に発見できる」というふれこみの怪しげな・万能探知機・を売りつけて回った、タチの悪い詐欺師コンビというのだ。

とどのつまりは、ロズウェル事件とはまったく異なる形だが、アズテック事件もまた、このようにデッチアゲられたインチキ事件とされて、事実上完全に否定される結果となった。

まだ草創期にあった1950年代のUFO研究界では、軍にもみ消されたロズウェル事件についてはほとんど知る者もなく、当然ながらアズテック事件のほうも、真実の事件と見なす肯定論者より否定論者のほうが圧倒的に優勢だったのだ。

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フランク・スカリー著『空飛ぶ円盤の背後で』初版本。

 

続々と明るみに出る有力情報

事件から30年近くたった1970年代後半、アメリカだけでなく世界中で報告されるUFO墜落事件や着陸事件と、それに伴う搭乗者(乗員)目撃事件ないし乗員死体回収事件を綿密に調査する肯定派陣営のUFO学者たちによって、事件は再び前向きにとらえられるようになる。

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FBI公式サイト「重要書類保管庫」ではロズウェル事件に関する解禁文書も閲覧できる。

さらに2011年4月、情報自由化法のおかげで自由に閲覧できるインターネットのFBI(連邦捜査局)記録文書サイト「重要書類保管庫」の中から、UFOウォッチャーたちによって通称ホッテル・メモが捜しだされた。

FBIワシントンDC本部の主任特別捜査官だったガイ・ホッテルが、FBI長官宛てに出した「空飛ぶ円盤の件」と題する1950年3月22日付のメモには、こう記されている。

「空軍調査官の某いわく、ニューメキシコ州内でいわゆる墜落円盤が3機も回収された。原因は政府が当該地域に設置したきわめて強力な性能のレーダー機器が、円盤機の操縦メカニズムを狂わせたためではないかと取り沙汰されている」

当然ながらUFOウォッチャーたちは、突然出現したこの重要な意義をはらむ60年以上も昔のごくごく短い証拠文献を発見して、鬼の首でも取ったように喜んだ。

だが、公式見解上はあくまでもUFO否定の姿勢をかたくなに守る米政府の情報機関であるFBIは、このホッテル・メモの存在はしぶしぶ認めながらも、2013年3月25日にメディア向けに発表したプレスリリースで、大要をこう強調したものだ。

「結局のところ、ホッテル・メモは決してUFOの実在を証明するものではない。このメモは単に、FBIが調査をしないまま2次や3次の情報を書き記したものにすぎない」

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ホッテル・メモ。

しかし、このホッテル・メモなどはるかに足元にも及ばない墜落円盤に直接関連する超弩級的1次資料というべき極秘文書が、直近の本年(2017年)半ば、突如として陽の当たる場所に姿を現わした。

すでにこの世にないスカリーはもちろん、詐欺師扱いされたまま世を去ったニュートンもゲバウアーも、おそらく草葉の陰で喜ぶにちがいない驚愕的ディスクロージャー(内部告発)を、ふたりの匿名の元DIA(国防情報局)職員がやってのけたのだ。

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(ムー2018年1月号 特集「UFO墜落アズテック事件の謎」より抜粋)

文=南山宏

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