韓国史上最高の祈禱師が生んだ神具「千願福」

文=山崎貴志

5年に1度の神事で降ろされる

 

韓国史上最高の「巫」。そう呼ばれる男性がいる。同国の南東部に位置する密陽市で、道岩堂を主宰する姜相龍師だ。

姜師は幼少時に、聖山として崇められる天羽山で神霊に出会った。それ以来、多くの神々から啓示を受け、並外れた神通力を発揮するようになった。

修行を積んで巫になったのちは、年間3000人を超す相談者を受け入れ、あらゆる悩みを解消へと導いている。海外からの相談者も多い。

 

祭壇の前で祈りを捧げる姜師。
祭壇の前で祈りを捧げる姜師。

 

じつは数年前に、姜師は大きな神事を行った。5年に1度だけ斎行する「大霊密儀」だ。この神事の際、姜師は神霊と交信し、トランス状態の中でひとつの神具を授かる。それは、人々の苦悩を除き、財や運をもたらすもので、大霊密儀が行われるごとに製法が降ろされるのだ。神霊から降ろされた製法にもとづいて神具を謹製するには、わずかな食べ物と水だけで7日間、祠堂にこもり、日に1000回の呪文を唱えるという行がともなう。それでようやく、ひとり分の神具が完成するのだ。

 

今回の神具は、「千願福」という小さな杖だ。願神霊と呼ばれる神霊の力を封じたもので、ある呪文を唱えた後、この杖で空中に願いを書くと実現するという。まさに千の願いをかなえ、福を運ぶ杖なのである。

 

千願杖。
千願杖。

 

杖を使った数日後に300万円!

 

幸いなことに、「千願福」を授かった得た人から話を聞くことができた。

それは、光州に住む44 歳の女性、聖さんだ。20代で結婚したが、息子が1歳のときに夫が死亡。身よりがなく、家計の不安もあったため、夫の実家で同居をはじめたが、義父母との関係がうまくいかない。結局、息子の高校進学を待って、母子ふたりの生活を始めたという。

女手ひとつで生計を立てるのは大変だったが、よい大学へ進学させようと懸命に働いた。だが、なかなか学資が貯まらないうえ、義父母に甘やかされて育った息子は、大の勉強嫌い。どうしたらよいかといろいろな人に相談するなかで、姜師が謹製する不思議な杖の噂を聞きつけた。

聖さんの話を聞いた姜師は、快く千願福を授けた。聖さんは、帰宅するや呪文を唱え、「息子の大学進学に必要なお金がすぐに舞い込みますように」と、千願福で空中に願いを書いた。

数日後、美しい白猫がベランダに迷い込んできた。足にケガをしていたので、ひとまず保護すると、高校から戻った息子がその猫を見て、目を丸くした。地元で評判の大富豪の飼い猫だったのだ。「迷い猫、見つけたら300万円」というチラシが配られていたという!

こうして300万円を手にした聖さんは、千願福の力を痛感し、今度は息子の学力向上と大学合格を願った。すると、優秀な家庭教師が見つかり、無事に志望校へ入学できた。さらに聖さんは、その家庭教師と結婚することになったそうだ。

空中に描いた願いが叶う――。神秘の杖の奇跡は、今後も世界を驚かせてくれそうだ。

 

棚に並ぶ白い像は、悩みが消え、願いがかなった人からお礼として奉納されたものだ。
棚に並ぶ白い像は、悩みが消え、願いがかなった人からお礼として奉納されたものだ。

 

(ムー2018年1月号より抜粋)

文=山崎貴志

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