現役メイソンが語る世界最大の秘密結社の正体 「フリーメイソン 真実の歴史」

文=クリストファー・アーンショー

フリーメイソンとは何か?

 

フリーメイソン 真実の歴史」 クリストファー・アーンショー(著)/本体1900円/学研プラス
フリーメイソン 真実の歴史」
クリストファー・アーンショー(著)/本体1900円/学研プラス

 

「フリーメイソン」とは厳密には個人会員のことであり、彼らが集まった組織や団体を「フリーメイソンリー」と呼びます。

フリーメイソンリーはまた、3つの階級を与える組織でもあります。

悲しいことに、多くの人々はフリーメイソンリーを「世界を制するユダヤの闇の組織」だと思っています。しかし、これらの考えには裏づける証拠もなく、信用できない情報源を読んだためだと私にはわかります。私が知っているフリーメイソンリーは道徳教育や慈善活動を行っている友愛団体であり、一般社団法人でもあります。だからこそ私自身も研究してみようと思い立ったのです。

ですから、本書を執筆したきっかけは、「フリーメイソンリーとは、いったい何か?」という人々からの問いに答えることでした。私は、自分がこの問いについてすべて答えられるとは思っていません。というのも、この命題は多面性を含んでいるからです。

そこで、会員自らが研究すべきであり、興味を抱く人たちが知りたいと思うに違いない、多くの重要な課題をここに提起することにしました。

 

フリーメイソンリーとその単位

 

ごくごく端的にいってしまえば、フリーメイソンリーの最も重要な単位は「ブルー・ロッジ」です。これは、基本的に最小3階級のフリーメイソンたちの集まりで構成されています。これらの人々が集まる施設で会議や講演、入会儀式が行われるのです。

ブルー・ロッジは日本には21か所、けれどもアメリカには5000か所ほどあります。これらを管理するのは「グランド・ロッジ」です。通常、各国にひとつしかないのですが、広いアメリカには、例外として各州にグランド・ロッジがあります。さらに、各グランド・ロッジの傘下に特殊なブルー・ロッジである「リサーチ・ロッジ」が存在し、会議や講演を行います。ただし、ここでは入会儀式は行いません。

なお、フリーメイソンリーに入会するときは、3つの試練が課せられます。これらの試練は「階級」といい、ヨーロッパ中世の徒弟制度の試練と同様に「エンタード・アプレンティス」「フェロークラフト」「マスターメイソン」と呼ばれます。ちなみに、組織全体の指導者は「グランド・マスター」といいますが、ブルー・ロッジの指導者も「マスター」と呼ばれるので、間違える人が多いようです。

「日本グランド・ロッジ」のグランド・マスターによる本書執筆許可状。
「日本グランド・ロッジ」のグランド・マスターによる本書執筆許可状。

 

私はどのようにしてこのテーマを選んだのか?

 

3年間、日本におけるグランド・ロッジの下のリサーチ・ロッジのマスター、後にグランド・ヒストリアン(歴史家)を務めた私は、その任期中、会員たちにフリーメイソンリーの歴史について、よく質問されました。

本書で紹介する内容は、そうした多くの質問に対する私の回答の要約です。それ以外の着想は『フリーメイソンリーの起源は中国か?』というフランス人ブラザーTの論文や、アメリカの歴史学者ダイアン・マレー博士の著書『天地会の起源』を読んだことから生まれました。これらが、本書に収められている7年におよぶ研究を始めるきっかけになったのです。

なお、本書は主にブルー・ロッジ(基本の3階級)に言及しているだけで「スコティッシュ・ライト」や「ヨーク・ライト」といった付随的な組織には、あまり言及していません。それらについて書くとすれば、優に1冊の本を占めてしまうだろうからです。

本書のテーマは、大きくは「フリーメイソンの儀式」という、あらゆる場面で演じられるブルー・ロッジの3つの教育的な戯曲を、イギリスの劇作家ウィリアム・シェークスピア風(円形劇場)に教えてくれる『モニター』という儀式が書かれている台本に基づいています。

なお、本書を書くにあたって、私はフリーメイソンリーの誓約に抵触しないように、しています。そうした意味から、本書には明確に特定することなく、さらなる洞察へと導いていく、隠された「手がかり」がいくつかちりばめられているのです。

次に述べたいのは、フリーメイソンリーの研究が、会員と非会員のどちらにとっても非常に難しい問題であることです。

実のところ、フリーメイソンリーの起源に関する資料はきわめて少なく、われわれがその歴史として理解していることの大半は、単なる憶測にすぎないからです。しかも1720年に、イギリスのグランド・ロッジによって多くの重要な文書が破棄されたので、私のような作家にとって、どこから始めていいのか見当がつかないのです。

ところで、フリーメイソンリーについては多くの誤解があるように感じます。というのも、わざわざその儀式のテキストを分析する人はいないし、その起源を疑うことなく憶測し、誰もがただいわれたことを信じているからです。マスターメイソンに昇進したほとんどの人すら、大方の儀式を覚えていないと思われるのです。

ただし、儀式の経験は決して忘れないでしょう。彼らはその儀式を前にしてすら何も教えられず、往々にして儀式の後ですらごくわずかなことしか教えてもらえません。とはいえ、たとえば次のような知識は、質問形式で教えてもらえるのですが……。

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「フリーメイソンのシンボルは“コンパスと直角定規”で成り立っていますが、このコンパスの先にはペンが付いていません。となると、実際にはそれは、航海の際に使われるディバイダーなのではないでしょうか?」

この答えは本書で確認してください。

 

フリーメイソンリーに魅了される

 

私にとって最も難しかったのは、フリーメイソンリーに関する著名な書物を読むことなく、自身のオリジナルな研究をすることでした。私は、他のさらに資格のある作家たちと同じ結論に至るのではないかと考えました。しかし実のところ、今に至るもよくわかりません。私は「クラフト(会員のあだ名)」の起源や、とりわけどのようにフリーメイソンリーの教義が年月を経て発展してきたかを示す、1700年代に書かれた暴露記事に目を向け、貴重な示唆を与えられました。ですが、本書は2014年に出版されたサミュエル・ブリチャードの『Three Distinct Knocks』のような暴露本ではありません。

なお、フリーメイソンリーのどこに魅了されるかは、人によって異なると思います。フリーメイソンリーには小劇場、討論クラブ、チャリティーが含まれ、会員は儀式、経営、教育、慈善活動などに、さまざまな方法で参加することができます。

イギリス、ロンドンのフリーメイソン・ホール。イングランド連合王国のグランド・ロッジを統轄するロッジでもある。
イギリス、ロンドンのフリーメイソン・ホール。イングランド連合王国のグランド・ロッジを統轄するロッジでもある。

本書は、順番通りには書かれていません。私はよく同時にふたつ以上の章を書くことがあり、それらがすぐに完成しなかったのは、さらに参考資料が必要だったからで、パズルの一片となるような書籍を待っていたからです。よって本書では、先述した暴露記事からの示唆によるフリーメイソンリーの錬金術に関連した「エジプト起源説」と、新たな「中国起源説」について、主に考察します。

なお、本書は日本におけるグランド・ロッジのグランド・マスターにより承認されています。会員は彼の承認なしにフリーメイソンリーについて書くことは許されていないので、この事実は重要です。それにともない、私が本書で開示できることには制約があります。

私はフリーメイソンリーの誓約を守りますし、フリーメイソンリーの目的は、会員に真実を発見させることだからです。つまり「Xの意味はYである」と告げてしまうのは、その結論に至るために通過しなくてはならない考察過程を、会員から奪ってしまうことになります。このためいくつかの章は、各テーマについて、もっと発見されるべきことがあると示唆する内容で終わっています。

というと、そこで疑問を抱く読者もいることでしょう。私は何かを明らかにしていないのでは? と……。その答えは「ノー」です。あなたもこの素晴らしい秘密を共有できます。

私は、本書がフリーメイソンリーのすべての会員、あるいは学者にとって魅力あるものではないことは十分承知しています。ですが、ドイツの神学者ハインリヒ・コルネリウス・アグリッパ(1486~1535年)が書いたオカルト哲学書の序文でも、「犬は自分のわからないものに対して吠える」とあるので、それについては意に介さないつもりです。

 

 

(「フリーメイソン 真実の歴史」序章より抜粋)

文=クリストファー・アーンショー

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2018/01/02

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