魔女が行うクリスマス=ユールの魔術が日本で行われた!

魔女・叶ここの魔術儀式

キリスト教以前の古代宗教の祝祭だった冬至の日。それがクリスマスの起源とされる。古式に則った魔女の祭礼に参加した。

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胸元が大きく開いた深紅のドレスを着た魔女がいうのだ。
「儀式の時、魔女は裸か、裸にローブやガウンを羽織ります。下着は身につけません。より自然な状態でいるためです」
12月某日、クリスマスを祝う魔女の儀式が青山の高級レストランの地下室で執り行われた。主催の魔女は叶ここ。スペイン人の魔術師の祖父とフィリピン人の白魔術師の祖母の血を引く魔女である(筆者、川口友万とは「科学実験酒場」でもご一緒している)。
魔女と聞いて思い浮かぶのは、ホウキにまたがり、空を飛ぶ姿。魔女の儀式と聞いて思い浮かぶのは、グツグツと煮え立つ鍋に薬草や赤ん坊を放り込んで笑う老婆だろうか。魔女は超常の力を使う悪しき者であり、一般社会の敵だという刷り込みがどこかでされている。

だから本来のクリスマスのしきたりに則って、古式の儀式を魔女を執り行うと聞いて、とても怪しげないかがわしいものを想像した。それに日本で魔女というのは、それだけでおかしい。日本の魔女……それって山姥?

魔女が伝える儀式は、キリスト教以前の自然崇拝をルーツに持つ。キリスト教に迫害される過程で悪魔崇拝の邪教とされ、信徒の女性たちは悪魔を召喚する魔女とされた。悪魔教の主神がヤギの頭を持つのは、古代の宗教が豊穣の象徴として多産のヤギを崇拝していたことに由来するらしい。

魔女は社会の敵ではない。技術的な違いはともかくとして(魔女は薬草を扱うため、薬剤師や医者としての役目も兼ねている)、本来の魔女は日本における山姥ではなく、神道の巫女に近い。神と人間、自然と人間の橋渡しをする聖なる存在が本来の魔女なのだ。

精霊を呼び出し、豊穣を感謝する儀式

クリスマスも元々は北欧で行われていたユールの祭りが起源だという。

「スウェーデンでは今もクリスマスのことをユールと呼びます。冬至という意味で、夜が一番長くなる日です。魔女のお祭りはサバトと言い、大サバトと小サバトが年に8回あります。ユールの祭りは小サバトになります」

冬至を境に、昼は長く夜は短くなっていく。つまり太陽の復活だ。冬が終わり、春へと生命が回帰する。太陽の復活をキリストの復活になぞらえ、キリスト教はクリスマスを制定したといわれる(諸説あり)。

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祭壇には、聖杯、水晶、短剣、ほうき、杖、香炉や香草が置かれ、世界を構成する元素を象徴している。

「これは、作ったんですよ」

と魔女が手にしたのは中をくりぬかれた雄牛の角。

「角がどんどん伸びちゃうと傷つけて危ないので、牛が童貞のうちに切っちゃうんです。童貞の牛の角」

童貞を強調するなあ。魔術的に大事なんですね。わかりますけどね。

「今回は冬の豊穣をお祝いするので、お肉を食べるんですよ。そのとき、牛の角を盃にして、自家製のホットワインやミードを飲むんです」

なるほど。

儀式は参加者を4つのグループに分けることから始まる。水、火、風、大地のいずれかの精霊が象徴されたカードを引き、組み分けされる。そして大きな輪になると儀式が始まる。

「時計回りにサークルを作ります。私の場合、精霊や神様の名前は使いません。火、水、風、土そのもののエネルギーを感じ取って欲しいんです。」

儀式は4方向にそれぞれの精霊のエレメント=元素を想定し、魔術によってエレメントを呼び出す。その力を自分のうちに感じるのだ。

「大地のエレメントを召喚しているときは、地面に足が付いていること、体をしっかりと感じて、火のエレメントを召喚しているときは、みぞおちから湧き上がってくるようなエネルギー、火の創造性を感じてください」

静かに作られた輪の内を魔女が回り、手にしたろうそくに火を点していく。4つの方角のそれぞれに呪文を唱え、精霊を呼び出す。

薄暗い中にろうそくの炎がゆらぐ光景は荘厳な空気を漂わせ、自然と背筋が伸びる。

呪文を唱え終えた魔女が再びサークルを巡り、火を順番に消していく。最後に鈴を鳴らした。清廉な響きが空気を清めて儀式が終わった。

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儀式の最中、いく人かがしゃがみ込んだ。非日常の緊張に耐えられなかったのだ。

果たしてエレメントは呼び起こされたのか?

私が配されたのは火のエレメント、湧き出る活力の象徴である。来年はエネルギッシュな年になるだろうか?

心の内に作用するのが魔術であるなら、きっとそれは私に影響するだろう。魔女の儀式はそう確信させるほど強い印象を私に残した。

 

今後も定期的に魔術の文化を広める催しを行いたいという叶ここさん。占い師としても活躍する彼女には、池袋占い館バランガンで会うことができる。

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