現代縄文魔女術実践グループ「ウフィカ」と魔法の道の駅「銀孔雀」

文=高橋御山人

日本の土着信仰×現代魔女術

先日バフォメット召喚儀式が行われた場所「呪術と魔法の銀孔雀」を営む魔女・谷崎榴美(るみ)氏は、現代縄文魔女術実践グループ「ウフィカ」を主宰している。

「縄文」と付くだけあって、通常の西洋魔女術とは、一線を画している。

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卜占を行う谷崎榴美氏。

西洋における魔女は、非常に多くの概念を含み、その流れも複雑であるが、ひとつの大きな源流として、キリスト教以前の多神教における巫女、シャーマンがある。それらはキリスト教の布教と共に、異教とされ、邪悪なものの烙印を押されていった。巫女は、魔女に堕ちたのだ。中世から近世にかけては、いわゆる「魔女狩り」もあった。

そうした古代の巫女や、中世の魔女と、どの程度連続性があるかは難しいところだが、ともかく、近代以降、キリスト教以前の多神教の、復興運動が起こり、中世のように否定的な意味でなく、肯定的に魔女をとらえる動きも現れる。そして今日、日本でも魔女として活動する人々が見られるようになった。

通常、日本で活動する日本人の魔女であっても、西洋的な流れの中にあるのだが、谷崎氏は、現代西洋魔女術を成り立ちから根本的に捉え直し、日本人として、土着の古き信仰の復興を主軸とした、新たな魔女術を興す。その実践の場が、「ウフィカ」というわけだ。

日本は古代から今に至るまで多神教が主体ではあるが、その内実はさまざまな変遷を経てきた。はるか太古には、卑弥呼に見られるように、巫女主導の社会であったことはよく知られているし、縄文時代の土偶は、女性のものばかりである。

そのわれわれの祖先が太古に営んだ巫術を、現代魔女術として再構築しようというのだ。

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卜占に使われる「はざまの女神紋様」。4体の「みづち」が描かれる。

 

「ウフィカ」のシンボリズム

「ウフィカ」は魔女術実践グループであるため、女性のみの活動が多いが、中には男性が参加できるものもある。筆者は、「ウフィカ」の活動のひとつ、「はざまの女神講」に参加し、瞑想や、占い、呪術的意味を持った身体動作など、さまざまなワークショップを体験した。

参加していると、日本の土着の古き信仰という主軸が、随所に見え隠れする。

たとえば、「ウフィカ」のシンボルともいえる「はざまの女神紋様」。この紋様は、身体動作のモデルや、占いの読み解きに用いられたりするのだが、そこには、諏訪地方の一部の縄文土器に見られる、龍のような不可思議な水棲動物「みづち」があしらわれる、といった具合だ。

そもそも「ウフィカ」の名も、縄文の末裔ともいうべきアイヌ民族の「燃やす」を意味する言葉で、また遠い縄文の源流ともされる、ポリネシアの火山の女神「マフィカ」からも取られている。

火焔土器のような火の神性と、みづちのような水の神性、そのせめぎ合いが、「ウフィカ」の魔術の重要なテーマになっている。

 

迷彩神棚から海蛇まで

この「ウフィカ」を主宰する谷崎氏と、その弟子の魔女であるB・カシワギ氏が、大阪・アメリカ村で営むのが、「呪術と魔法の銀孔雀」である。

この店は「現代日本に生きるすべてのシャーマン・魔女・魔術師・呪術師のためのセレクトショップ」であるが、根底に「ウフィカ」と同じ精神が生きる、独自色の強い店である。

この店で売られているアイテムのほとんどは、店主らが入手した素材を加工したものだが、その素材は極力国内産を用いている。そのように自らが暮らす土地に産したものを使うというのは、土着信仰の復興というテーマと、通底するものだ。

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「呪術と魔法の銀孔雀」で売られている迷彩神棚。

迷彩柄に塗られた神棚や、鳥居の中に当店のシンボル・一つ目の七芒星が描かれたキャップ、出雲に八百万の神々が集う「神在月」の先触れを告げる海蛇など、日本の土着信仰を目に見える形で志向しているアイテムもある。

拙著「鬼女紅葉伝説紀行 鬼無里編」も置かせてもらっている。これなども、元々土着の古き信仰、巫術の復興という主旨に賛同して、それに沿って書いたものである。

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出雲に「神在月」を告げる海蛇。

 

魔法の道の駅

こうして、国産品の素材を使って、手作りで作られたアイテムの数々は、購入しやすい、安価な価格帯のものも多い。

そうしたラインナップを見ていると、「道の駅」を思い起こさせる。その点をB・カシワギ氏に聞いてみたところ、実際に各地の「道の駅」で入手した素材を用いて作られたものもあるという。

「道の駅」は、地元の人々が、地元の素材を用いて作った品々を売る、この上もなく土着性の高い店だが、土着信仰の復興を主軸とする店が、「道の駅」の雰囲気を持つというのは、必然かもしれない。

B・カシワギ氏は、生活の中にオカルトを取り込むということも重視しているが、魔術というものは元来、非日常的なものであり、生活に魔術を持ち込むということは、日常と非日常、現世と異界を繋ぐことでもある。

振り返って「道の駅」というものを考えてみると、旅という非日常と、地元の生活という日常次元、あるいは外来者と地元民の接合点でもある。「呪術と魔法の銀孔雀」は、「魔法の道の駅」といえるかもしれない。

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銀孔雀常勤魔女のネクロ氏が手掛ける仮面も。

なお、当店では、前回掲載したバフォメット召喚儀式のような、さまざまな魔術、呪術に関するイベントも開催している。

今回の取材を通じ、改めて店の主旨に心動かされた筆者(神職でもある)は、当店に祀られる神棚を前に、神事を行うことに決めた。

古き土着信仰の復興を目指す魔女達とともに、神事を行うことで、神仏習合ならぬ「神魔習合」という新たな形を創造したいと思っている。開催は、2018年の春分の日を予定している。

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谷崎榴美氏とB・カシワギ氏。春分の日、頭上の黒い神棚の前で、神事を行う予定。

文=高橋御山人

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