未知なる天体ニビルと太陽の伴星ネメシスの謎

文=ToM

冥王星の彼方に存在する「ネメシス」

冥王星のかなたにもうひとつの惑星が存在する可能性が、天文学者らにより論議されてきたが、冥王星の外側には、小惑星だけでなく、もっと驚くべき天体が隠れているかもしれないといわれている。

この驚くべき天体とは、太陽の伴星、もうひとつの太陽で「ネメシス」と呼ばれる恒星である。太陽系は伴星をともなう連星系の可能性があるのだ。

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赤外線天文衛星IRASが捉えた、太陽系の外辺に存在する未知の天体。

最初にこの可能性を指摘したのは、ミネソタ大学のクリス・ダビッドソン教授で、この伴星はほぼ木星の質量を有する褐色矮星であり、主に赤外線領域の光を放射しているものと推定している。

教授によると、この天体は少なくとも地球と太陽間の700倍、あるいはそれ以上の距離に存在しているという。ダビッドソン教授はこの星に「ルシファー」という名前をつけた。

そして、1999年10月、アメリカのルイジアナ大学とイギリスのオープン大学の研究チームが長周期の彗星の軌道を分析し、数千年周期の彗星群による、ある一定の規則に従った軌道パターンは、太陽系を取り囲む球殻状の「オールトの雲」の近くに存在する巨大な天体の重力から影響を受けた結果による可能性がある、という推測を発表した。

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太陽と伴星ネメシスの軌道イメージ。主星の太陽と伴星のネメシスは、共通重心を中心に近接と隔離を繰り返す。また、下の図は太陽とネメシス、そして太陽系からもっとも近い恒星系プロキシス・ケンタウリの距離を示している。

 

上図は太陽系が二重連星系であった場合のネメシスの軌道である。この場合、太陽とネメシスはその共通重心を中心に、周期的に近接と離隔を繰り返していると考えられる。

オープン大のジョン・マレー教授率いるチームは、この天体の大きさを木星級とし、太陽から約3万2000AU(天文単位)の彼方を回っていると計算している。また、ルイジアナ大のジョン・マティス教授のチームでは、その大きさを木星の3倍以上、約2万5000AUの公転半径をもつ天体であると計算している。ちなみに、AU とは太陽と地球との平均距離を表し、1AUは1億4959万7870キロとなる。

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太陽と恒星、惑星のサイズ比較。奥から太陽、赤色矮星、褐色矮星、木星、地球の順で、伴星ネメシスはこの褐色矮星ではないかと考えられている(写真= NASA/JPL-Caltech/UCB)。

この天体は、上図に示すような大きさの恒星になり損ねた褐色矮星で、太陽系形成時に捕らえられた天体ではないかと考えられている。褐色矮星とは、その質量が木星型惑星より大きく、赤色矮星より小さな超低質量天体の分類に属する。つまり軽水素の核融合を起こすには質量が小さすぎるために、恒星になることができない天体のことだ。木星型惑星との違いは、形成初期に重水素による核融合反応が起きたときの余熱で赤外線を放射している点である。

1978年、アメリカのE・R・ハリントン博士は、パルサーの周期の観測結果に認められるアノマリー(法則や原則からは説明できない事象)から太陽系自身の加速方向を求め、そこから太陽系のそばに未知の巨大天体が存在する可能性を示している。彼は、この天体の明るさは太陽の10億分の1程度で、内部の核融合反応により発光するため、十分な質量を有していない赤色矮星あるいは褐色矮星ではないかと推測している。

また、この天体は数千万年という非常に長い公転周期を有すると考えられることから、過去に地球で起こっている数千年ごとの大絶滅になんらかの関係があると推定している、カリフォルニア大学のリチャード・ミュラーのような学者も存在する。

彼は、太陽の伴星が太陽系外縁にあるオールトの雲の彗星の軌道を変化させ、軌道の変化した彗星の一部が太陽系の惑星域に入り込み、さらにその一部が地球に衝突することで、地球環境に影響を及ぼすと主張している。

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(ムー2018年7月号 「最新 太陽の伴星ネメシスの謎」より抜粋)

文=ToM

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