閲覧注意! 焼くぞゴキブリパン! 「G」食時代(2)/グルメの錬金術師

文=川口友万

G界の神戸牛・デュビアを入手

ゴキブリパンを作るのはいいが、ゴキブリをどうするか? 当たり前だが、そこらをチョロチョロするゴキブリなんて食べられない。雑菌の塊なのだ。

 

幸いなことに私の友人は某メーカーのエンジニアにしてゴキブリ養殖会社『ヒールリッチ』の経営者である。話せば長くなるが、いろいろと事情があり、彼はゴキブリの養殖を副業にしている。

ゴキブリを養殖してどうするかと言えば、魚や爬虫類のエサにする。一番のマーケットはアロワナ。デュビアという小型のゴキブリがアロワナのエサに適しているのだ。

 

アロワナは中国の金持ちに大変人気が高い。龍魚と呼ばれ、富と幸運をもたらす魚とされている。当然、個体の価格も高い。そうであるならエサにもこだわるだろう、生き餌を与えるだろう、生き餌で一番人気はデュビア。そこでデュビアでひと儲けをたくらみ、会社を作ったわけだ。

彼はエンジニアとしての知識と人脈をフルに使い、世界最高品質のデュビアを作ってしまった。通常のデュビアに比べて脂質が3倍、タンパク質が1.4倍である。いわばアメリカ牛に対する神戸牛。さらに、その品質保証にNASAによる栄養分析表をつけている。三ツ星レストランが採用みたいなものと思えばいい。アロワナのエサとしては文字通りに世界唯一かつ最高品質である。

 

そういう雅な育ちのゴキブリ様なので、生育環境も清潔。清潔だが、部屋の中に置かれた数十のコンテナの中がすべてゴキブリで、全部で推定10万匹と聞き、足がすくんだのは内緒だ。生理的にダメ。私は極めて普通の日本人なので、ゴキブリがお金に見えたり食べ物に見えたりはしない。

彼にかくかくしかじかと内容を伝え、ゴキブリパンを作るためのゴキブリ粉末を作れるか、相談する。

 

「デュビアの体重の60%を急速乾燥すればアンモニア臭を抑えた良粉が得られると思います。凍結乾燥の検討が必要でしょうか。何グラム必要ですか?」

 

素晴らしいレスポンス。50グラムあれば余裕です、と伝える。凍結乾燥、ようするにフリーズドライにすれば、あとはフードプロセッサーで簡単に粉末にできる。しかしそんな設備ある? 食品加工会社でもないのに。

「大丈夫ですよ、会社の使うから」

会社の? 本業の方の?

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液体窒素で冷却され、真空チェンバーに格納されるデュビア。

 

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