閲覧注意! G粉入りで上手に焼けました! 「G」食時代(3)/グルメの錬金術師

文=川口友万

極秘ミッション「G」パン調理

乾燥デュビアは手に入ったので、ゴキブリパンの製作を開始する。ブラジルの女学生たちの言うような、ゴキブリが入っているとは気づかないレベルのパンが焼けるのか?

 

仕事や学校でみなさんが家を出たタイミング、お昼時に向けてクッキング開始だ。

パン焼き機を使うのはこの時が初めてで、本当なら嫁に使い方を聞きたいところだが、焼くのがゴキブリパンではダメだ。たとえば店でパンを買い、かじった断面からゴキブリの足が突き出ていたらどうか? やった、ラッキー! と思うか? 思うわけがない。トイレに駆け込み、便器を抱えながら、訴えてやる! と涙目で思うのが普通である。であるのに、よりによってそんなゴキブリをわざわざ練り込み、家で月に数回は使っているパン焼き機で焼くのだ。

パン焼き機と私が、来月の粗大ごみに出されても文句は言えない。すべては極秘裏に進めなくてはいけない。

 

用意するのは乾燥ゴキブリ、小麦粉、スキムミルク、バター、塩、砂糖、イースト菌。パン焼き機についていたクッキングガイドを見ながら準備する。

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乾燥した「G」をガーッと粉末に。

乾燥ゴキブリを粉末にする。ミキサーに入れ、ブワーッと数回転で粉末になった。しかし外皮が粗く残っている。皮は網で漉して粉末だけにする。それを小麦粉に混ぜ、規定の材料と合わせてスイッチを入れれば、あとはやることはない。焼き上がるのは3時間後だ。

 

3時間後、焼き上がりを知らせる音楽が鳴った。なんて便利なんだ、パン焼き機。材料入れたら勝手にできてくれるのだ。

アツアツのパンを取り出す。……パンである。疑う余地のないほどパン。一体、誰がこのパンに20匹のゴキブリが混ぜられていると思うだろうか。

 

さっそく焼きたてを切ってみた。表面にプツプツと黒い点が散らばっている。網で漉せなかった外皮である。ちょっと嫌な感じ。パンは全体にべったりと蒸しパンみたいになってしまった。これは私のミスだろう。パン焼きのことをなめていた、材料の計量が雑だったに違いない。

 

食べてみる。ゴキブリの粉末入りパンを食べるのは生まれて初めて。ゴキブリを食べるのは生まれて3回目だ。

 

最初にゴキブリを食べたのはマダガスカルゴキブリという巨大なゴキブリで、蒸したゴキブリの内臓をすくって食べた。真っ白な内臓は、新聞紙でゴキブリを叩いた時にぐにゃっと腹が飛び出すアレで、アレだと思ったら軽く吐き気がこみ上げた。しかし周りの昆虫食愛好家は「カニみそみたいだ」「虫の中でこれが一番好き」「マダゴキはうまい」とほめまくる。極めてグルメな味らしい。

おいしいならいいか、と食べた。……食べてわかったが、この味はなにか独特。カニみそと言えばカニみそだが、磯の風味もなければレバー系のうま味もない。まずくはないが、虫臭い。私には虫の臭い、虫スメルがどうにもダメだ。羊肉やパクチーがダメという人と同じで、臭いの好悪ばかりはどうにもならない。体が拒否するのだ。

 

さて、今回のゴキブリパンを食べると全粒粉のパンのような風味がした。ゴキブリのタンパク質の味をそう錯覚しているのだと思った。なるほどブラジルの女の子たちが言うように、そこまで変わった味はしない。

これなら大丈夫……?

なんだ?

なんだ、この後から追いかけてくる変な味は?

薬? 粉の風邪薬を飲んだ後のようなケミカルな味がする。

それがどんどん口の中に広がる。

 

これは何の味なんだ? ああ、これがゴキブリの味なのか。大丈夫なのか、こんなの食べて。

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