富と豊かさをもたらす神具「ダウカ・ストゥ・モスカ

文=村主みのり

水神を召喚する108歳の高僧

 

ベトナムの首都ハノイから北へ約30 キロ離れたバクニン省トァンタイン県タイクォン村。この村には、ベトナム最古にして、ベトナム仏教のルーツとして知られるザウ寺がある。

ザウ寺には、神通力が強いことで有名な、108歳の高僧がいる。草木や水の声が聞こえ、目の前の人の誕生から死の瞬間までを映像として見ることができ、人生の分岐点が明確にわかるというコウド師だ。

コウド師のもとへは、人生に迷った人々が相談に訪れる。そのときに同師は、「ダウカ・ストゥ・モスカ(神々の恩寵)」、通称「ダウカ」と呼ばれる神具を授けることがあるという。

20181012_duka3
コウド師が謹製する「ダウカ・ストゥ・モスカ(神々の恩寵)」。

 

コウド師はいう。

「ダウカには、水神ラクロンファン(洛龍皇)の恩寵が込められているのです」

ラクロンファンとは、かつてトァンタイン県に存在したキア湖の水神だ。伝説によれば、この湖は古来、ソドム村という小村の人々によって守られ、村人たちはラクロンファンを篤く崇敬していた。その見返りとしてラクロンファンは村を守り、砂金や珍しい鉱物を与えた。また、驚くことに村人たちは、全員が神通力の持ち主であった。

だが、ソドム村の砂金や鉱物に目をつける人々が現れた。彼らは、キア湖周辺を掘削すれば富が得られると考え、それを実行に移すことにしたのだ。

いよいよ掘削が10 日後に迫った日の明け方、湖からまばゆい光が立ちのぼり、ラクロンファンから54 人の村人全員にメッセージが送られた。それは、キア湖が消失しても、54 人の村人とその直系の子孫には、ラクロンファンを召喚する力が与えられるという内容だった。

じつは、コウド師はソドム村の人々の子孫なのである。

108歳のコウド師。水神ラクロンファン(洛龍皇)の加護を得ていたソドム村の人々の子孫である。
108歳のコウド師。水神ラクロンファン(洛龍皇)の加護を得ていたソドム村の人々の子孫である。

 

 

800年に一度のチャンスが到来!

 

2018年5月、コウド師が今も修行をつづけるザウ寺で、800年に一度だけ斎行される「テトカムダーラ」という儀式が行われた。テトカムダーラとは、神界と人間界とをつなぐ秘儀で、ラクロンファンに新たな力を注ぐために行われる。

伝承によると、チャン王朝第3代のチャン・アィン・トン王は、ソドム村出身で、14 世紀にこの儀式を通じて水神ラクロンファンと契約を交わしたという。王の死後、神界で神々に尽くす代わりに、人々に富と豊かさを与えてほしいと願ったのだ。

儀式の当日、人々はラクロンファンに捧げる食事を用意し、詩や歌や絵画を献上してラクロンファンを称え、熱心に祈る。それがラクロンファンの力となるのである。

つまり今年は、ラクロンファンの力が最大になっているのだ。この時期にダウカを入手できた人は、大きな富や幸運に恵まれることだろう。

 

800年に1度の儀式、テトカムダーラに向けて、水神ラクロンファンに捧げる食事などが用意される。
800年に1度の儀式、テトカムダーラに向けて、水神ラクロンファンに捧げる食事などが用意される。

 

 

(「ムー」2018年11月号より抜粋)

文=村主みのり

  • 1

関連商品

ムー2018年11月号

ムー2018年11月号

定価:890円
発行:学研プラス
発売日:2018/10/09

この記事と同じトピックを探す

関連記事

編集部おすすめ

アクセスランキング

  • デイリー
  • ウィークリー
  • トータル