必ず不幸になる祟りの妖怪現場/黒史郎の妖怪補遺々々

文・絵=黒史郎

妖怪補遺々々(ようかいほいほい)

ホラー小説家にして屈指の妖怪研究家・黒史郎が、記録には残されながらも人々から“忘れ去られた妖怪”を発掘する、それが「妖怪補遺々々」! 連載第45回は、死んだ者が祟る恐ろしい地を補遺々々します。

 

あなたの家は大丈夫ですか?

事故物件の情報提供サイトや事故物件に住む芸人さんが話題になっておりますが、自分の住んでいる家は大丈夫だろうかと不安になったことはありませんか?

人は必ずどこかで死ぬのです。これまでも、たくさんの人たちがどこかで亡くなっています。もし、自分の住んでいる土地で過去にだれかが死んでいるとしても、それは何も不思議なことではなく、どこでも起きていることなのです。過剰に敏感にならずともよいでしょう。

 

もちろんそれは、なにごとも起きなければの話ですが……。

昔から、ありました。関わる人を不幸にするといわれる、忌まわしい土地が。住む者に病と死を呼ぶといわれる、おそろしい家が。

そのような場所では決まって、過去に非業の死を遂げた人がいました。無残な死に方をした動物がいました。その怨霊が祟りを起こしているため、災いが起こると信じられていました。そのような危険な場所は、日本の各地に多数、記録されています。

 

死にたくなければ関わるな

宮城県T郡の某所には、【所有者が必ず死ぬ土地】がありました。

とても昔のことです。心無い人が旅の六部を家に泊め、殺害して所持金を奪ってしまいました。その六部の怨霊が祟り、その土地を所有した人を必ず殺すようになり、植物も育たなくなってしまいました。

村人たちは六部の霊を鎮めようと墓を作って祀りましたが、その後もこの土地をもとめる者は皆死に、柳を植えても間もなく枯れ、畑地は荒れ果てていたそうです。

 

同県N市の某所には【S屋敷】と呼ばれるお屋敷がありました。

昔、このあたりの土地を領有していたS家で、ひとりの女中が非業の死を遂げました。その祟りでS家は滅び、屋敷はだれが住んでも不幸が起きるようになりました。

その後、S屋敷は畑となったそうですが、黍(きび)や菊などは育たなかったといいます。

たとえ草木でさえも一切の命を許さないという凄まじい怒りが伝わってきます。

 

同県K郡S市の某所の畑地は【難地(なんち)】といわれていました。ここは、天保飢饉のころに死人を集めて埋められた場所であるといい、この地を所有する人の家では病気や死といった不幸が絶えず、家産が傾いたといいます。また、白石市には藩政時代、罪人の仕置き場だった【難地】もあります。

 

神奈川県H区の某所には、【死っ田(しにった)】という物騒な名前の田がありました。この土地を買っても田植えをしても、必ずその人は死の運命を迎えることになったそうです。このような「不幸になる田」は大変多いので、また別の回に改めてご紹介いたします。

 

同県F市の某所は、ネジ工場の近くに【ツカ田】という地があります。刑場跡だといわれている場所ですが、ここは「お化けを埋めた」ところだともいわれています。

お化けを埋めるとはどういうことなのか、どんなお化けだったのか、こちらは調査中です。

 

死者の怨念が蛇になる

群馬県S郡の某所には、【蛇屋敷】と呼ばれた家がありました。

そこには老婆と孫のふたりが住んでいましたが、ある日、老婆は家の後ろに生える松の木に孫を縛りつけると行方をくらましてしまいました。

孫は死んでしまい、その後に白蛇と化して、この屋敷に住む人たちを祟ったといいます。

同郡にはこれとは別の【蛇屋敷】もあります。その屋敷は殺した蛇に祟られてしまい、床の間には十数匹の蛇がとぐろを巻いていたそうです。

蛇は執念深い生き物です。一度命に絡みついたら、そう簡単には離れないでしょう。

 

そこで、あなたがもし、「蛇と化した怨霊のいる家に住んでしまった場合」の対処法をご紹介いたします。『貞操帯秘聞』という本に「死霊蛇を除く」方法があります。

まず、竹の皮を蛇の長さに切り、これをふたつに割ります。その1枚に光明真言を11辺書き、もう1枚のほうには10辺書きます。そして、右の皮に蛇を包み、3か所を左縄(左縒りの縄。祭事に用いる縄に多く見られる縒り方)で括ります。その後、光明真言を21辺唱え、阿利帝(ありてい)の真言を21辺唱えて埋めると、死霊の蛇は二度と来なくなるのだといいます。

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文・絵=黒史郎

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