アポロ10号飛行士が聞いた 月の裏側の「歌」

文=宇佐和通

月の裏側で口笛のような音色を聞く

アポロ計画の宇宙飛行士たちは、ほぼ例外なく奇妙な出来事を体験するようだ。

アポロ11号による人類初の月面着陸の2か月前。アポロ10号は、地球から見て月の裏側の上空を飛行中だった。このときの「地球からの電波が届かない状態の中で録音されたテープ」の存在が明らかになった。そのテープには「着陸船の無線機器がから聞こえてきた不思議な音楽」が録音されていたという。

Apollo10Crews
アポロ10号のクルー。左からサーナン、スタフォード、ヤング。

 

搭乗していた3人の宇宙飛行士、トーマス・スタッフォード、ジョン・ヤング、そしてユージン・サーナンの会話の内容も明らかになっている。

「宇宙の音楽みたいだ」「聞こえるか? あの口笛みたいな音」「変な響きだ」

奇妙な音楽はその後、1時間ほど続き、地球との交信が再び可能になる寸前に聞こえなくなった。3人は、飛行管制センターに報告するか迷ったようだ。

「信じられない! そうだろう?」「報告すべきだろうか?」「わからない。考えよう」

 

 

アポロ15号の乗組員アルフレッド・ウォーデンは次のように語る。

「アポロ10号の3人は、宇宙空間で聞こえてくる可能性のある雑音については、ある程度見当がついていたはずだ。それに、録音という形で残されているかぎり、彼らが知らなかった音が聞こえたことは疑いない。NASAは、明らかにすべきではないと判断した情報は決して洩らさない」

NASAは、以下のような声明を発表している。

1969年に録音されたという極秘テープの存在が取りざたされていますが、アポロ10号に関する交信記録は1973の時点ですべて公開されています。当時はインターネットが存在しなかったため、一般社会への浸透は望めませんでした。

問題のテープの内容をデジタル化してアップロードしたのは2012年で、国立公文書館に保管されている音声データは、1970年代初期のものが最古です。アポロ10号の操縦士ユージン・サーナンによれば、NASAが行った聞き取り調査の際、「重要な状態に関する記憶はない。おそらく無線妨害か何かだろう」と語っていました。

宇宙飛行士とNASAの見解は食い違うことが少なくない。これまでずっと続いてきた噛み合わない状態は、これから先もずっと続くのだろうか。

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