青汁1日1杯だけで20年以上 「不食」の人・森美智代

文=文月ゆう

断食療法で難病を克服

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森美智代氏は、1日1杯、50キロカロリーの青汁を飲むだけの「不食」生活をすでに20年以上つづけている。

森氏を不食へと向かわせたきっかけは、21歳のとき、原因不明のめまいやふらつきに悩まされ、「脊髄小脳変性症」と診断されたことだ。小脳や脊髄が萎縮し、運動機能が失われていく難病で、進行を食いとめる方法はない。若い時期に発症すると、5〜10年で死に至るといわれている。

そんな森氏を診察し、「治るよ」と力づけたのは、断食や少食、生菜食などを組みあわせた「西式甲田療法」によって多くの難病患者を健康へと導いた故・甲田光雄医師だ。その指導のもと、森氏は治療を開始。断食をするたびに、めまいやふらつきが軽くなった。だが、やめるとふたたび悪化。2年ほど一進一退をくり返したのち、甲田医院に入院し、腰を据えて断食療法に取り組みはじめた。

そして、2回にわたる長期断食を行った後、1日900キロカロリーの玄米生菜食へと移行。その1か月半後には、甲田医院を退院できた。余命宣告を受けた体は、ほぼ発病前の健康な状態に戻っていた。

その玄米生菜食から質と量がさらに減っていき、とうとう青汁1杯になったのは、体重がどんどん増える、腹部が張るなどの変化が現れたからだ。森氏は、そのつど甲田医師に相談し、自分にとってベストの食事を模索した。その最終的な到達点が、青汁1杯だったのだ。

このようなプロセスの中で、森氏の心身にはさまざまな変化が起こった。まず、頭の中がクリアになった。ニキビが多かった肌はすべすべになり、慢性頭痛や冷え性もなくなった。睡眠時間も減り、今では3〜4時間も眠れば十分とのことだ。

 

エネルギーは「ケトン体」

森氏の体内では、何が起こっているのか。

2000年に、森氏の腸内細菌を調べた生物学者・辨野義己博士は、腸内環境が「牛のようだ」と、驚いたそうだ。たとえば、通常ならば腸内細菌のわずか0.1パーセント程度を占めるクロストリジウムという細菌が、森氏の腸には9.8パーセントもいた。一般人の100倍に近い数字だ。

クロストリジウムは、食物繊維を分解してエサにしながら、腸内のアンモニアからアミノ酸(タンパク質の構成要素)をつくる。牛をはじめとする草食動物の腸には多く存在する菌だ。

また、尿中に「ケトン体」が多いこともわかっている。ケトン体は、脂肪酸やアミノ酸が体内で分解されるときに生じ、エネルギー源として使われる。おそらく森氏の体内では、ブドウ糖ではなくケトン体がエネルギー源となっているのだ。

さらに、ウイルスやガンなどの腫瘍細胞を抑制するインターフェロンαの血中濃度が、平均の4倍以上だという。

一般常識では、炭水化物・タンパク質・脂質という3大栄養素に加えて、カルシウムや鉄分などをバランスよく取ることが健康につながるとされている。ところが、森氏のような生菜食・少食実践者は、3大栄養素をほとんど取らず、それ以外の栄養素も、推奨される基準値よりはるかに少ない。それでも貧血にならないし、骨量も十分であることが、研究によって明らかになっている。

いったいなぜ? 現代の科学では説明がつかないのだ。

 

(ムー2016年6月号より抜粋)

文=文月ゆう

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