映画『知らない町』が本物の幽霊を映してしまった!

文=山口直樹

監督の霊体験が霊を招いたのか?

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東京のシアター・イメージフォーラムで、6月11日から7月1日、1本のインディーズ映画がレイトショー公開される(連日午後9時15分開映)。新鋭・大内伸悟監督が、幼少期に幽霊を見た実体験に着想を得て撮ったという『知らない町』だ。

地図の調査員をしている優二が住むアパートの部屋を享子という女性が訪ねてくる。以前この部屋で恋人と暮らしていたそうで、忘れ物を捜しにきたというが、優二に心当たりはなかった。その後、優二の友人の西田が、部屋で幽霊を見たと騒ぐ。

映画は、この騒ぎを発端に現実と過去、夢想が入り交じっていくが、幽霊の姿は一度も映されない。監督は意図して映さなかったのだが、その幻想的な物語に引き寄せられたのか、終盤の夜の橋のシーンに、偶然幽霊が映ってしまったという。

「東京と埼玉を結ぶ国道122号線の新荒川大橋で、優二と恋人が部屋に遊びにきた後輩カップルを駅まで送るシーンの撮影を行ったんです。連日深夜の撮影が続き、スタッフ、キャストともに疲労困憊でしたが、ようやく撮り終えました。ところが、後で映像を見ると、撮影時には見覚えのない人影が橋の上に立っていた。でも、数秒後に忽然と消えてしまう。カメラマンも覚えがないというのです」

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橋の上の歩道に謎の人影が見える。
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直後の場面、歩道が再び映ると人影は消えていた。

 

監督はどちらかといえば、幽霊は人間の心理状態が作りだす幻覚と思っているそうだ。しかし、恐怖心などなかった3、4歳のころ、祖母の家で白い服を着た女性の幽霊を確かに見た。この解消し得ない矛盾が映画のヒントとなったと監督は語る。

「描きたかったのは、幽霊エピソードの先にある、ある町、ある場所で人が生きていた時間は消え去らずに残ったりするのだろうか? それは今を生きる人にとって関係のないことなのだろうか? ということです。だから幽霊を直接描かないと決めたのですが、呼んでしまった……」

映ってしまった何かを含め、映画全編の不思議な感覚を、ぜひ劇場で体験してほしい。

文=山口直樹

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