連続怪奇事件をつなぐ「噂」の女たちと「流行り神」の怪

文=宇佐和通

現実と交錯する都市伝説の虚構力

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物語は、子供を引きずり殺す〝ヒキコさん″を思わせる事件から始まる。

 

都市伝説とは〝起承転結が見事に流れる、友達の友達が体験したという話〟――そう定義できるだろう。

90年代半ば、まだインターネットが今のように身近ではなく、〝口伝〟で噂が広がっていった時代に、さまざまな都市伝説が生み出された。語られた言葉は、次の人へ渡るときに少しだけ変わる。そして、次の人からその次の人に渡るときにも、さらに少しだけ変わる。この〝少しだけ変わる〟部分が増殖していって、一部の真実を含む虚実が生まれる。すべてが嘘だとはいわない。すべてが嘘なら、そもそも話が広がらない。

ゲームの「真 流行り神2」の作中でも取り上げられている〝ピアスの穴の白い糸を引っぱったら失明した〟という都市伝説は日本発の話だが、アメリカにはサーファーが主役(被害者)の西海岸バージョンとパンクロッカーが主役の東海岸バージョンがある。話のプロットとオチはまったく同じだ。日本では女子大生とか女子高生が主役の話が、主役を変え、まったく別の土地でも広がったものだ。

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作中では〝ベッドの下の殺人鬼″に基づいた事件が発生する。

 

逆に、ベッドの下の殺人鬼の原話はアメリカで生まれたものが日本に流入したもの。さまざまなバージョンで2000年あたりに流布のピークを迎えていた。実際にこの時期、ストーカーが家の中まで入ってきたとか、あるいはストーカーに自宅で待ち伏せされたという事件が頻発していたのだ。このため、ただの都市伝説が事実として認識されるに至った。〝本当にあった都市伝説〟は、文字通り実在するのだ。

 

伝言によって誕生した新しい怪人

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耳たぶを食いちぎられ、右目の視力を失った被害者。耳と視神経といえば〝ピアスの穴の白い糸″の都市伝説が思い浮かぶ。

 

「真 流行り神2」作中には〝ベッドの下の殺人鬼〟や〝ピアスの穴の糸〟など正統派都市伝説をはじめ、〝ヒキコさん〟や〝カシマさん〟など学校の怪談系の話も盛り込まれている。作中でそれらはすでに周知されており、都市伝説らしくまじりあい、虚実ないまぜのまま「トレンチコートの女」という新たな怪人像を生み出してしまう。

作中では、都市伝説的な事件が実際に発生し、それが「ムー」で紹介されていく。ゲームというフィクションの世界での展開ではあるが、現実の都市伝説を取り巻く状況を思わせる演出ではないか。さらに、都市伝説的な事件の一方で、別の重大事件を隠そうとする勢力の存在も描かれる。これこそ現実世界でも起きている陰謀であり、作中の展開を迫真のものにしている。

注目すべきは、都市伝説の内容そのままの事件が起きるメカニズムだ。コピーキャット犯罪という言葉で形容される事件があるが、都市伝説には現実に作用する力が宿っているといわれる。事実、アメリカではスレンダーマン(子供を誘拐する長身の怪人の噂)やクリーピー・クラウン(写真共有サイトなどを通じて気味の悪いピエロの画像が拡散する現象)など、噂話のレベルを出ないものが現実世界を侵食し、事件として具現化される事例も多い。

現実に働きかけ、現実を変質させてしまう虚構。「真 流行り神2」は、都市伝説そのもの以上に、その拡散――「流行り」の恐ろしさを知らしめるタイトルといえるだろう。だとすれば、「トレンチコートの女」がフィクションを踏み越え、現実社会を脅かすことも、ありえないわけではないのだ。

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「真 流行り神 2」

都市伝説を思わせる怪奇事件を追うホラーアドベンチャーゲーム。続発する怪奇現象に対し、科学的な調査をおこなうか、オカルト的な視点で怪異と対峙するかを選んで事件に立ち向かう。第一話「〇〇女」をはじめ、全5話のオムニバスエピソードを収録。
PS3/PS4版:6800円(ダウンロード版5714円)
PS Vita版:5800円(ダウンロード版4762円)
発売元:日本一ソフトウェア
© 2016 Nippon Ichi Software, Inc.

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文=宇佐和通

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