当選番号が浮かぶ!? タイの「宝くじの木」現地レポート

文=伊藤拓馬

精霊ナーンマイが告げた数字で当選!

神秘的な事象が今なお息づくタイ王国では、宝くじの当たりを教えてくれる木が存在する。祈りを捧げて木を擦ると、不思議なことに当選番号が幹の表面に浮かび上がってくるというのだ。このような神木は各地にあり、色鮮やかな布が注連縄のように巻かれているので、目にする機会も多い。

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タイでは、古い巨木や不思議な形をした木には、ナーンマイという美しい女性のピー(精霊)が棲むと信じられている。ナーンマイのナーンは既婚女性、マイは木の意味を表しており、ピーではあるが、天上の神・ルークテワダーの一種ともいわれている。このナーンマイが、人々に宝くじの当選番号を教えてくれるというのだ。

ナーンマイにはいくつか種類があり、巨木のタキアンに棲むものはナーンタキアン、バナナの一種であるターニーに棲むものはナーンターニーと呼ばれている。これらの木にはナーンマイが棲むと信じられているので、伐採する際にはサーン・パームンという霊媒師を呼び、別の木に移ってもらうように交渉するそうだ。

ナーンマイは人々に幸せをもたらす精霊だが、機嫌を損ねると恐ろしい祟りを招くといわれている。しかし、誠意をもって接すれば望みが叶うこともあるので、ナーンマイが棲んでいそうな木は祈願の対象となっている。

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タイでフワイと呼ばれる宝くじは、200年近くの歴史があり、多くの庶民に愛好されている国民的な娯楽だ。

毎月2回の当選発表日があり、最高賞金は200万バーツ(約700万円)となっている。日本より最高額が低いが、同じ番号を何枚でも買えるので、低い配当でも高額当選を狙うことができる。当選番号は6桁の数字を当てるのが最高配当だが、末尾2~3桁を当てる方法もあるなど、さまざまな組合せがある。

ナーンマイに祈願して木を擦り、当選番号を見出す行為は、コーフワイ(宝くじ祈願)と呼ばれており、各地に有名な神木が存在する。

その中で、近年話題になっているのが、タイ中部ナコンナヨック県のボッガローン寺にあるナーンタキアンだ。このタキアンは、長さ12.46メートル、太さ3.52メートルの樹齢100年を越える巨木で、2010年1月14日に寺の前にあるナコンナヨック川の古い地層から引き上げられた。

この木は、メータキアン(母なるタキアン)と呼ばれており、昨年の半ばから現在まで20回以上も宝くじの高額配当を当てている。今年の5月2日にも、寺の近所に住む男性が、木の表面に浮かび上がった「459」という数字により、1000万バーツを獲得した。また、今年の7月1日にも別の男性が高額当選を果たし、匿名で雑誌に取り上げられるなど注目を集めている。

現在では、朝から晩までコーフワイをする人が溢れ、遥か遠くのチェンマイからもわざわざ参拝者が訪れるほどになっている。

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メータキアンは女性なので、綺麗な服を好むとされており、ボンと呼ばれる御礼参りには、チュッタイという女性の伝統衣装が奉納されるのが定番だ。タキアンの前には、当選者によって300着以上のチュッタイが奉納されているが、倉庫に仕舞われている総数を合わせると、合計で1500着以上あるという。

当選率の高さから、番号を求める参拝客が途絶えないので、境内には宝くじの販売業者がたくさん集まってくる。タキアンから告げられた番号は、一般的な宝くじより高額で販売されるが、不満の声は聞かれず、むしろ飛ぶように売れるのだという。

タイの宝くじは、店頭販売される合法なもののほか、胴元を決めて仲間内で行う非合法のものがあり、実際は非合法のほうが盛んである。しかし、ボッガローン寺の番号を知っている人の間では、あまりの的中率から胴元になりたがる人が少ないそうだ。

 

幽霊寺にあるタキアンの古木

日本人が多く訪れる首都バンコクにも、コーフワイで有名なタキアンの古木がある。プラカノン地区のマハープット寺には、川の中から引き上げられたタキアンの古木が祀られており、宝くじの発表前には多くの人が詰めかけている。

この寺院は、150年ほど前に存在したメーナークという女性の幽霊を祀る有名な廟があることでも知られている。メーナーク廟の前には、ジャオメー・タキアンと呼ばれる古木の他に、タキアンで作られた古い船が祀られている。どちらも宝くじの当選番号を教えてくれるので、抽選日近くなると多くの人が廟の前に集まってくる。

当選発表日は、毎月1日と16日にあり、夕方の抽選直前まで宝くじを買うことができるのだが、コーフワイは、なぜか抽選日の前日の夜に当たりやすいといわれている。そこで、マハーブット寺では月末の日と15日に限って門限を設けず、24時間参拝が可能となっている。

 

「コーフワイ」のやり方

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有名な宝くじの当たる木を紹介してきたが、最後にコーフワイの具体的な手順を紹介しよう。

まずは、ロウソクと線香を供えてナーンマイに祈りを捧げるところから始まる。

また、ナーンマイは女性なので、ボンにはパーサームシー(三色布)やマライ(花飾り)、チュッタイ(民族衣装)、化粧品、装飾品を奉納するのがよいとされている。

祈りを捧げる際に、自分の願い事と成就した後にするボン(お礼参り)の条件を告げなければならない。もし宝くじが当たったとしても、ボンを怠るとよくない結果を招くといわれているので、注意が必要だ。

祈願が済んだら、粉を幹に振りかけて表面を擦りつづけ、あとは数字が浮かび上がってくるのを待つのみである。

一攫千金を夢見て真剣に祈願している人達には数字が見えているようで、スマートフォンで浮かび上がった数字を撮影する姿を多く目にした。

参拝者を調査したところ、メータキアンから授かった番号で最も多かったものは、ボッガローン寺が「30・32・33・35・38」「41・42・43・45・47」、ドンソン寺が「41・42・44・46・47」「70・71・72・74・75」であった。

日本にもタイと同じく末尾2~3桁を当てるナンバーズ3があるので、このお告げを利用して当選を狙うことも可能だと思われる。ただし、これらの番号で当選したとしたら、それはナーンマイのおかげなので、必ずボンをして感謝を伝えよう。

筆者も参拝者を真似て木の表面を擦ってみたが、残念ながら具体的な数字は浮かんでこなかった。意思が足りなかったのか、信仰心がないことを見透かされたのか。

タイの木の中には美しい女性の精霊が棲んでおり、常に人々の幸せを願っている。だがその神秘的な事象には、現地に深く根づいた敬虔な信仰心が重要となるようだ。

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(ムー2016年10月号より抜粋)

文=伊藤拓馬

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「タイの宝くじの木」レポート掲載

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