オーラ・メンタリスト美樹がはたした朱雀との約束

夢に現れた朱雀の感触と金粉

突然の出来事だった。車を運転中、それまで騒がしいほど聞こえていた虫の声が消えた。あたかも時間が止まったかのように、景色が凍りついた。恐怖のあまり、体が震える。車を停車させ、すぐさま外に出ると、両手で頭を抱えながら、地面に座り込んだ。

と、そのときだ。目の前に、ほのかな光が浮かんでいることに気づいた。見ると、光の中に鳥がいる。真っ赤な色をした大きな鳥である。朱雀だ。伝説の瑞鳥が現れたのだ――。

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飛鳥歴史公園のキトラ古墳にて。2016年9月、美樹は朱雀との約束をはたすべく、ここを訪れた。

 

これは今からちょうど10年ほど前、オーラ・メンタリストとして知られる美樹と朱雀との最初の遭遇だった。

美樹によれば、朱雀は金粉に覆われており、非常に荘厳な姿をしていたが、よく見ると、どこか深く傷を負っているようだったという。少し体を震わせながら近づいてくると、朱雀は静かに美樹の左手に触れた。

その瞬間、あたかも一時停止状態だったビデオの再生ボタンを押したかのように、喧騒が響き渡り、景色が動きだした。もはや、朱雀の姿はなかったが、美樹の手には、やわらかな羽の感触がはっきりと残っていた。

数日後、あの朱雀は美樹の夢の中に出てきた。真っ白な空間の中で、美樹は話しかけるが、朱雀は目を見据えたまま何も答えない。が、代わりに美樹の心の中にはっきりと言葉が入ってきた。

「われを助けよ。飛鳥に来い」

そこで夢が途切れ、目が覚めた。あまりのことに気を落ち着かせようと、部屋の明かりをつけると、驚いたことにベッドの周囲が金粉だらけだった。

朱雀の金粉か?

不思議なことに、朱雀と出会ってから、美樹の体からは時折、金粉が出現するようになったという。美樹は確信した。メッセージ通り、自分は飛鳥に行かねばならない。調べてみると、奈良の古墳には四神のひとつとして、壁画に朱雀を描いたものがある。

なかでも当時、話題となっていたのは内部が調査中だったキトラ古墳だった。奇しくも、南側の壁面は盗掘によって破壊されており、そこに描かれていた朱雀像は無残な姿となっていた。ひょっとして、美樹の前に現れた朱雀はキトラ古墳の守護神だったのか。

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夢で朱雀と出会った美樹の手のひらには、金粉が残されていた。

 

10年前の約束を飛鳥ではたす

かくして、美樹は導かれるようにして飛鳥へと向かうこととなる。問題のキトラ古墳は修復中で内部に入ることはできなかったが、その場に立つと、朱雀の悲しみが心に広がってくる。間違いない。あの朱雀は、ここにいる。

そう確信した刹那、あの感覚が再び襲ってきた。周囲の音が消え、さっきまでいた多くの観光客の姿が消えた。昼間なのに空は夕焼けのような色となり、美樹と同行した家族と知人たちを包んだ。

どこからか伽羅のようなお香の臭いが漂ってくると、目の前にあった樹がゆっくりと揺れはじめ、葉っぱが一枚、落ちてきた。思わず、木の葉を拾った瞬間、奇跡が起きた。手の中の葉っぱが真っ赤な石に変わったのだ。そこには、はっきりと朱雀の姿が刻まれている。

「われを10年間、封印せよ」

美樹の心に、あの声が響いてきた。これが自分の使命なのか。美樹は赤い石を握りしめると、キトラ古墳を後にした。以後、朱雀との約束通り、だれにも見せることなく、自宅の神棚に祀ってある。これまで何度も死にかけ、波乱万丈の人生を送ってきた美樹は朱雀との出会いをきっかけに、多くの人が幸せになれるように、悩み事の相談に応えてきた。

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飛鳥の地で美樹が手にした木の葉が、赤い石に変化した。その中には朱雀が見える。

 

2016年9月、キトラ古墳の修復が終わり、内部の壁画が公開された。奇しくも、美樹が朱雀と出会い、メッセージを受けてから、ちょうど10年目に当たる。すべては神業なのだろう。

某日、美樹は朱雀との約束通り、赤い石を手に飛鳥へと再び向かった。これまでの思いと神聖なる祈りを朱雀の石に込めて、美樹は儀式を執り行い、ある場所に奉納した。はたして、復活した朱雀及び美樹との神縁がいったい何をもたらすのか。期待したいところである。

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オーラ・メンタリストの美樹。

 

(ムー2016年11月号より掲載)

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