存在するはずの異星人が地球に来ない理由 フェルミのパラドックス

文=川口友万

宇宙のどこかに知的生命体がいる

1901年生まれのエンリコ・フェルミは、放射性同位体の発見で有名なノーベル賞を受賞した物理学者だ。1950年、友人たちと昼食をとっていたフェルミは、「宇宙人がいるなら、なぜ彼らは地球へやってこないんだ?」といったとされている。

Enrico_Fermi1なぜ来ないのか? 銀河系には約1000億個の恒星があり、そんな星雲が宇宙には1000億以上あるのだ。生命の生まれる確率が1兆分の1としても、可能性のある恒星は100億個もある。宇宙のどこかで人間以外の知的生命体が文明を築いていてもおかしくない。となれば、フェルミのいう通り、なぜ彼らは地球に来ないのか?

2009年3月6日に打ち上げられたNASAのケプラー宇宙望遠鏡のミッションは、太陽系のように恒星の周りを惑星が回る恒星系を発見することである。2012年のミッション終了までに15万個の恒星を観察、4696個の惑星を発見した。

Kepler452b_NASA1-2 ケプラー望遠鏡の打ち上げ前まで、別の恒星系はほぼ確認されていなかった。1995年に初めて他恒星系の惑星ペガサス座51番星bが発見されたが、それは木星のようなガス惑星で、公転周期はわずか4日、表面温度は1000度という生命にはまったく適さない星だった。そのため、一部の天文学者は、宇宙には生命が生存可能な惑星は太陽系以外には存在しないかもしれない、と悲観的になっていたほどだ。そうした人たちは、映画『スター・トレック』シリーズのように他の恒星系を訪問し、異星人と出会うことはありえないと考えていた。

しかし、ケプラー望遠鏡は、恒星系の中に「ハビタブルゾーン」(生命居住可能領域)にある惑星をいくつも発見した。これらは地球のように、生命が生まれる確率の高い惑星であり、もしかしたら人間のような知的生命体が住んでいるかもしれない。

その可能性がもっとも高いのが、白鳥座の方向へ地球から1400光年離れたケプラー452という恒星系にある惑星ケプラー452bである。地球の約1.6倍の大きさで、公転周期は約385日。ガス惑星ではなく、地球と同じ岩石惑星で大気もあるらしい。

 

異星人は地球の存在を知らない?

また、ケプラー望遠鏡は意外なものも発見した。1480光年先にある恒星KIC8462852が不自然に暗くなっていることがわかったのだ。2009年の観測時から2012年まで、3年かけてゆるやかに光量が1パーセント程度落ち、2012年に急に4パーセント減少したのち、半年後から再び明るくなりはじめた。

当初は、宇宙塵の塊が光をさえぎっているのではないかと考えられたが、それだと急に明るくなる理由がわからない。新たな天体現象なのか、あるいは「ダイソン球ではないか」という学者まで現れた。

Dyson_rings1

ダイソン球とは、物理学者のフリーマン・ダイソンが提唱した異星人の構造物の名前だ。「文明が十分に進むと、異星人は恒星のエネルギーを無駄なく使うために恒星の周りを覆ってしまうかもしれない」とダイソンはいう。ケプラー望遠鏡がたまたま観測したのが工事中のダイソン球で、ダイソン球が恒星の周りを覆い尽くしていなかったことが、恒星の光量が減るという奇妙な現象の正体ではないか? というのだ。

一方、宇宙人がまだ私たちを発見していないから、彼らは地球に来ないのかもしれない、と考える人もいる。電波は光速で伝播するが、それでも銀河系の半分に至るまで1580年もかかるという。地球では、テレビやラジオの放送が始まって80年ほどしか経っていない。電波をキャッチすれば、彼らも私たちがいることに気づくだろうが、宇宙人の住む恒星系まで、私たちの電波はまだ達していないのだ。

フェルミのパラドックスが解決されるまでには、まだ当分かかりそうだ。

 

(「ムー」2017年2月号「最新科学の10大パラドックス」より抜粋)

文=川口友万

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