見舞いで訪れた病院での恐怖体験/読者投稿

病院から憑いてきたのか……

投稿者:千明 さん/心霊・怪奇体験

20171108
画像はイメージ

これは今から5年前、知人が病で入院していたときの話です。その日、私は主人と子供と一緒に、容体が急変した知人のお見舞いに来ていました。天候もあまりよいとはいえず、まだ昼なのに薄暗く感じていました。

なのでその方の病室に入った時も、天候のせいで部屋の中が薄暗いのかと思っていました。特に部屋の四隅が暗く、陰りが闇のように感じていました。

 

「寒いねぇ……寒いねぇ」

 

背後でおばあちゃんらしき声がしました。左側のすぐ耳の近くで声がした気がしたのに、そこには誰もいませんでした。部屋は個室だったけど、その時、個室の扉を開けっ放しにしていたので、外部からの声かもしれないと思い直しました。

 

「うん…………うん……」

「寒いねぇ……寒いねぇ」

 

だれかと何か会話をしながら頷く声と、またおばあちゃんの声がしたので、私は再度振り返りました。だけどやはりだれもいません。

部屋の扉から顔を覗かせると、周りには他の入院患者や看護師さん、またお見舞いに来ている人たちの声もしていたので、おばあちゃんの声もその中の声のひとつだろうと、また思い直しました。

それからも声は定期的に聴こえてはいたけれど、私はずっと聞き流していました。それよりも、私は部屋の中に舞い降りるようにかかっている白くキラキラした幾重にも重なったカーテンのような物が、気になって気になって仕方ありませんでしたが、悪いものの気は感じませんでした。

だけどその一方で、部屋の四隅には黒い影も蠢いていました。あの影はきっと良くないモノだ。そう感じ取った私は、居てもたってもいられないほどの妙な不安と胸騒ぎを覚えていました。部屋の四隅にあった影の一部が動き、人のような形になったかと思えば、私の前をさっと歩いていって消えました。そんな不思議な現象が目の前で繰り返され、とうとう面会時間終了の時刻になりました。

 

この病院まで高速を使って車で一時間半という距離でした。途中で休憩を入れようと私たちはサービスエリアに入りました。トイレに行っておこうと車から降りて、自動販売機の前を通った時です。

 

「寒いねぇ……」

 

とまたあのおばあちゃんの声がしたのです。

もしかしたら生きているひとじゃないのかもしれない。そのとき初めて気がつきました。

 

トイレから出て、飲み物を買いに行った主人を車内で待っていると、車の左側を和装のおばあちゃんが通り過ぎました。その時スマホゲームをしていたのもあり、単に私たちの車の近くに車を止めているだれかだと思っていました。

 

それから、一時間半。家につくともう22時を過ぎていました。朝からずっと病院にいたのもあり、私たちは疲れていたので、お風呂に入ると早々に床に着きました。今すぐにでも寝れそう。そう思った矢先でした。

 

私の左側の枕元にだれかの気配がしたのです。目は閉じていたし、見えてもいないはずなのに、頭の中では和装のおばあちゃんが浮かび上がりました。と思った瞬間には体がガッチリと固まって金縛りになっていたのです。前ぶりなく急に体が動かなくなるなど、こんな事は初めてでした。実は金縛りに合うのは初めてではなく、これまでに幾度も合っているのです。

大抵の金縛りは『くる直前』というのがわかるので、金縛りになる前に気を張り詰め弾く事が可能でした。しかし、今回のは『来る直前』というのを全く感じさせませんでした。

 

——ああ、これはきっとヤバイやつだ。

 

第六感というべきか、私の感がそう悟っていました。そして、私の左腕はグイグイと物凄い力で引っ張られはじめたのです。

 

「寒いねぇ……ここは本当に寒いねぇ……」

 

病院で聴こえていたおばあちゃんの声でした。その間も私の左手はグイグイと持ち上げられています。

 

「ここは寒いから、一緒に行こうか〜……」

 

そういわれた直後でした。なんと私の体は宙に浮いたかと思えば持ち上がり、足元の方角に向けて一気に浮遊したのです。このままでは連れていかれてしまう……。本当に身の危険を感じてしまいました。

 

——やめて!

 

心の中で必死に叫びました。動かない体で、元の場所に戻ろうと暴れるイメージを頭の中で作りました。ハッと目が覚めると、私はありえない量の寝汗をかいていて、心臓もドキドキと大きな鼓動を打ち鳴らしていました。浮いていたと思った体も実際には浮いておらず、私は元の位置に戻っていたのです。

 

ですが、あの浮遊感は目が覚めてからもずっと残っていました。

 

ガサッ。暗闇の中で何かが動く音がしました。豆球を付けて寝ていたので、視界は真っ暗ではありません。音のした方に視線を向けると、和装でお団子頭にしているおばあちゃんの白い影がキッチンで動いていました。

気がつくと、外はとても明るくなっていました。あのおばあちゃんは一体なんだったのでしょう。いまだによくわかっていません。

病院から、なにかを連れてきてしまったのでしょうか。面会終了までお見舞いしていた優しさに、頼られたのかもしれませんね。

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