江戸の人面亀「和尚魚」の正体はスナメリか?/「ムー民広場」出張版

和尚魚の正体について考察

不思議といえば、江戸時代の百科事典『和漢三才図絵』(平凡社)に「和尚魚」という不思議な生き物が記されている。添えられているさし絵を見れば、頭は人間、胴体は亀という奇怪な姿をしている。ひと昔ふうにいえば“人面亀”だ。

『和漢三才図絵』の解説によれば、和尚魚はウミガメの一種ではないかと囁かれている。しかし『和漢三才図絵』では、カメ類はウミガメ、タイマイ、スッポン……と細かく分類されている。これでは「和尚魚=ウミガメ」説は入り込む余地がないではないか。どうやら和尚魚はウミガメ類ではなさそうだ。ならば、いったい何者なのか。

名前に「和尚」と付いているくらいだから、和尚魚はかなり宗教家じみた面構えをしていたに違いない。

宗教家といえば、かつてヨーロッパで、僧帽を被り僧衣をまとった「海の修道士」と呼ばれる生物が捕らえられたことがあった。その正体は、巨大なイカだといわれている。それならば、和尚魚も巨大なイカなのか……否、「和尚」という言葉にツンとしたトンガリ頭は似合わない。「和尚」ならばイカよりタコのほうがふさわしいーーように思われる。

だが、和尚魚は「魚」というくらいだから、見た目は魚の姿をしているのだろう。頭は和尚、身体は魚、そうなるとまさに“人面魚”だ。

実は、和尚魚の正体はイルカである。しかし、くちばしのあるドルフィンではない。和尚魚はくちばしの無いポーパスである。くちばしの無いイルカは頭部はずんぐりしており、和尚の頭のように見えなくはない。

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小生は和尚魚の正体はポーパスのスナメリと推測している。スナメリは東シナ海からアフリカの喜望峰までの沿岸部に分布している。日本でも伊勢湾から瀬戸内海、九州沿岸に棲息している。

ちなみに和尚魚は西海の大洋にいると、大坂の医師・寺島良安の編纂した『和漢三才図絵』は記している。スナメリの体長は1.5~1.8メートルほど。そういえば和尚魚も5~6尺という同じような大きさだった。これはただの偶然か?

また、スナメリの体色は灰白色からクリーム色で人間っぽい。さらに背びれが無いのも一層、人間っぽい。その知的で温和な表情は、まさに海の宗教家と呼ぶにふさわしい。

イルカを含むクジラ類は、水中で直立し頭を水面から出す「スパイホッピング」と呼ばれる行動をすることが知られている。これは周囲の地形を見て、現在一を確認するための行動だといわれているが、もし坊主頭の生物が水面から顔を出していたら……さぞや驚くにちがいない。「海から和尚が出てきた!!」といって……。

(千葉県松戸市〈47歳〉正尚♠)

 

★ーージュゴン=人魚誤認という話もあり、十分に考えられそうな説ですね。

 

(月刊「ムー」2016年12月号より転載)

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