特別インタビュー! 古代復権漫画「ハニワット」作者・武富健治が語る「ムー」とUFO体験

構成=高野勝久 写真=土橋位広

――作品のおおまかなテーマとしては「縄文の復活」というようなところがあるんでしょうか?

そうですね、今さらネタバレにもならないと思うのでいってしまいますが、背景としては、土偶(ドグーン)は現代の人間に恨みをもって出てきた、ということです。

そして、それが出てきたときに浄化するための儀式というようなものが昔から継承されている、と。

作中では「ドグーンは放っておくのが本来だ」というようなセリフも入れていますが、歩く、壊すという行為そのものがドグーンにとっての気持ちの浄化になるということもある。でありながら、ドグーンは戦うことを望んでいる部分もあり、人間はそれにも応えていかないといけない。

 

――ドグーンは戦いも望んでいる?

そうです、戦いたいという望みも持っているんです、彼らは。

 

――ドグーンが井戸から出現しているのも、子どもが井戸にツバを垂らした、穢したことへの怒りがきっかけということでしょうか。

一応、そう読めるようにはしています。ただ、出現のトリガーとなるのはドグーンの怒りを招く人間たちの行いなのか、それともそんなことは関係なく自然災害のように現れるものなのか……。ここは作者としても、今後の作品で掘り下げていきたいと思います。ストーリーを進めながら探っていきたいところなので、今はどっちともいえないんですよ。

 

――なるほど。そこは「仮面ライダー響鬼」の魔化魍(敵キャラクター、いわゆる妖怪)を思わせるところがありますね。

いやあ…「響鬼」にはもう……かなりのことをやられてしまっているので困り果てているところですが(笑)。いかにそこを外すかということを考えていますが、なかなか外しきれるものでもないですから。敵と戦う秘密の組織があって、というようなところも。でも同じ系統の作品ですから、あとに続く者として腹をくくって、カブっているようにみえるところは諦めました。

密かに組織されていた集団という点では、これはムー的にいうとヤタガラスや「山の民」などにも重なりますよね。

実はこの辺りは「ネオパラダイムASKA」を大いにイメージしています。祭祀を受け継いできた人たちという部分ですね。いま作品中で戦っているのは戸隠神宮の割と普通っぽい人たちですが、あの集団もムー的につながっていて、彼らの裏には「戸籍のない人たち」が……つまりヤタガラスですね、そんな人がいてサポートしているという設定です。

 

――戸隠神宮チームのような集団が各地にいるんですか?

そうですね……まだはっきりは決めずに、描きながら精密なディテールを作っていっているところですが。「京都に裏天皇が」というとこれもまた飛鳥昭雄先生のシリーズに近づいてしまうので、そこもかわしながら。河合神社や伊雑宮、籠神社なども触れたくてウズウズしていますが、いつかうまく消化して自分なりのものをつくっていこうと思っています。

 

ハニワットを支える神事集団も見どころ。

 

――パイロット版(同人誌)の「古代戦士ハニワット」を読ませていただいたのですが、ここでは遮光器土偶がアラハバキとして登場していますね。

それは若い頃の、習作とでもいう扱いになる作品ですが、今回の「ハニワット」はそこは踏まえつつも別の話になっていきます。

パイロット版を描いたときにはあまり何も考えていなかったんです。漫画描く人って古代史好きじゃないですか、だいたい。だからそういう人がよく描くような「あるある」っぽい内容になっています。

80~90年代というと、「女神転生」とか、あるいは安彦良和先生の古代モノとか、すでに名著として確立していた諸星大二郎先生の作品群のようなジャンルがもうあるわけです。

あの頃の僕は、アマテラスとかスサノオとか、アリモノのネタを組み合わせて描いていました。また母の実家が鹿児島県で、隣の宮崎県にもよく行っていたので、じゃあそのあたりを舞台にして、ということで描いたわけです。

今の自分だったら「宮崎でどうして遮光器土偶がでてくるんだよ」というようなツッコミを入れちゃうんですが、当時はさして気にもせず描いてしまった。今回はそのあたりもきっちりと、なぜ宮崎に遮光器土偶が出現するのかというところも意味付けて描いていこうと思っています。

 

パイロット版にあたる「古代戦士ハニワット 月読伝説」。

 

土偶といえば、長野編では長野県茅野市出土の縄文土偶(仮面の女神)をドグーンのモデルにしていますが、本来は長野県も北と南でずいぶん違う文化圏です。長野市にあの土偶がでてくるというのも、宮崎県に遮光器土偶がでるのと同じくらい不自然ではあるんですよ。ですから、その意味についても理由は考えていますよ。

創作では、世界観によってそのリアリズムの度合いをどの程度にするのか決めないといけない。僕もムー民なのでリアリズムの選択には幅があるわけなんですが、この作品で異星人まで登場させるのか、それとも? というようなさじ加減ですね。

今回は「漫画アクション」連載ということもあり、敢えてムー的なものが好きな人をメインターゲットにしてはいない漫画を描こう、一般向けにも広く届くものにしようというのが目標のひとつなので、あまりやりすぎると読んでもらえなくなっちゃうということがある。そこは考えながら、リアリズムの幅を絞っていこうと思っています。

たとえば星野之宣先生のような作品ならば重厚な世界観を貫くわけですが、ハニワットは変身モノですからその点では間口が広い。だけどその分、むしろリアリティは引き上げないといけないという駆け引きがあります。どこまでやろうかなっていうところですね。

 

――そもそも「アクション」の読者さんはハニワや土偶をどう受け止めているのか気になります。

すごく食いついてくれる方がいる反面、当然ぽかーんという感じの方もいる印象ですね。一応演出としては、何が起こっているかわからないけどとにかく引き込まれて読んでしまう、という読み方もできるように、それでいて分かっている方にはニヤニヤしてもらえるようにと考えてはやっていますが。深読みすると止まらないという風になればいいなと。なので、土偶といえば遮光器土偶しかしらない人もいるけれども、せっかくならばと最初のドグーンは茅野の「仮面の女神」をもってきたわけなんです。

また「ハニワット」は久しぶりのオリジナル作品なので、勝負作としてどうにか「鈴木先生」を超えるものを作りたい、ここらでもうひと勝負仕掛けるのだという気持ちを込めて、力を入れています。

 

――とすると、完結はずっと先、20巻くらいになります?

 なりかねないですね(笑)。とはいえ最初のエピソードはじっくりやろうという配分で展開しているので、さすがに今のペースで続いていくことはないですよ。これからは早いペースで進むところもあったり、ミニエピソードを挟んだりしながらやっていきたいなと思っています。ドグーンの剣技型、相撲技型とはなにか、といった謎解きもこれからやっていきます。

 

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