特別インタビュー! 古代復権漫画「ハニワット」作者・武富健治が語る「ムー」とUFO体験

構成=高野勝久 写真=土橋位広

――今後の物語の展開については…?

古代史モノというと、僕もすべての作品を読んでいるわけではないのですが、これは絶対に押さえなければというものをみたときに、たとえば諸星先生の「暗黒神話」や「孔子暗黒伝」、星野先生の「ヤマタイカ」、あるいは安彦先生の古事記連作などですね、こういうすごい作品がすでにある。ここに続くものを手がけるときにどうしようかと考えて、もう作中でも名前を出していますが、朝鮮半島との関係、伽耶などですね、これはまだ本格的にはいじられていなさそうだと思ったんです。

「ハニワット」も入り口としては縄文vs弥生という感じになっていますが、現在は学術的にも、縄文と弥生はそれほどはっきり分けられるわけではないという考えが潮流になっている。「ハニワット」でも読者さんの意識がそうなっていけばいいなという思いがあるんです。

どうしてもイメージとしてハニワは外来、縄文は日本古来のもの、というのがありますよね。でもそこはやはり、太古から行き来があったんじゃないかと思うわけです。これは「鈴木先生」のときにも意識したことなんですが、僕はなんでも二項対立で説明することはないんじゃないか、という思いがある。縄文vs弥生、日本vs外来のようにみせて、実際はそんな単純なものじゃないよと展開できればと考えています。

 

いま興味をもって見ているのが、大陸からきた男の人が女性を追いかけて来日するというパターンの神話です。この場合日本が母親や恋人の実家になったりするわけですが、と言うことは、その母親や恋人は日本「から」半島や大陸へ渡っている過去があるということです。そんな交流が古代にはあり、私たちの歴史はこうしたシャッフルがあったあとに始まっているのだとも考えられる。縄文の一万年のあいだにすでに大陸との行き来はあり、混ざり合っていたんじゃないかと。それに、たとえ縄文人が《先住民》だとしても、それは言葉通り先に住んでいたか後から来たかというだけの違いじゃないかとも思う。弥生が縄文を征服したという説はもうずいぶん古くなっていて、むしろ日本にいたある縄文グループと、ある弥生グループが組んで、そうしてできたいくつかのグループの間で戦いが行われたということなんだろう、と考えているんです。

 

そのうち青銅器も出てくるかもしれませんよ。外来の青銅器集団。僕は古代中国の殷王朝とか周王朝とか、そんな時代から大陸と日本列島にはやりとりがあったんじゃないかと思っているんです。だから、土偶にだって外来の要素は入り込んでいるだろうと思うんです。

 

自作のフィギュア。

 

――ドグーンの正式名称も「蚩尤(古代中国の異形の神)」ですもんね。でもお話を伺っているとますます長期化の予感がします。

全容が見えるまでだけで10巻くらいかかってしまうかもしれないですね(笑)。

果たしてこのスケールが自分の手に負えるのか不安にも思っていますが、どうにか打ち切られないように完結させたい(笑)。なにしろ、古代史モノの漫画はもう80~90年代に先ほど挙げたようないくつもの決定版がでているわけですから、その功績は揺るがせられない。僕らの世代はそれ以降の世代として最新の情報を得て勝負するしかないわけです。ニッチとまではいいませんが、新しい分野を開拓していくという気持ちですね。

 

――こうした作風の作品を「漫画アクション」で連載というのも面白いですね。

僕は、今の青年漫画は少年漫画っぽすぎると思っているんです。僕は週刊少年サンデーに池上遼一作品が載っていた頃の世代なので、むしろ大人っぽい漫画を子供が読むという憧れがあった。あの背伸び感をもう一度大人に味わってほしい、という気持ちです。

たとえばゲッターロボの原作版なんていうハードな作品があって、それを間違って小学一年生のときに読んでしまったのが僕なんですが、あの衝撃に近いものを今の大人に与えたいという狙いもあります。

そう、ゲッターロボもハニワットにはかなり影響を与えていますよ。仁は永井豪テイストを意識しているかもしれませんね。ぜひ分析してみてください。ただ、そっと仕込んでいるネタも多いので気づかれるのに時間がかかるかも。

今作はサブカルっぽいマイナーチューンの漫画にはしないぞという気持ちでやっているので、そういうオマージュは読者さんがじわじわと気づくくらいのところでそっと練りこんでいます。

今後はもう少し内容を積み重ねて、古代SFってどうなんだろう? と抵抗を感じて迷っている方にも、手にとって買ってもらえるようにしていきたいですね。そうやって間口を広げておいて結果的にこっそりと、コアなムー民をパンデミックに増殖させたいという願望もあったりするんですよ(笑)。

 

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