大事にされた愛車から最後のメッセージ/読者投稿

最後のあがき

投稿者:クプー さん/心霊・怪奇体験

画像はイメージ。

10年ほど前のことです。当時私の家には白い普通乗用車がありました(トヨタのスプリンター)。父親が商売をしていたため、我が家のマイカーは長いこと商売用の軽貨物車だったのですが、父親が免許を取ってから30年近くたってようやく新車で買った乗用車がその白い自動車でした。もともと休日もろくに無い父親がたまの空き時間にドライブするぐらいだったのと、やはりはじめての乗用車だったからだと思いますが、とても大事に乗っていたのでトラブルも無く、いつもピカピカときれいでした。

 

購入してから30年経ち、そんな父親も年をとってしまい、この先何年も乗られないかもしれないと、目の前に迫った車検は通さず手放すことになりました。

そして明日にはディーラーが引き取りに来るという日、私がせめてもの労いのつもりで洗車をし、我が家にやってきた日のようにピカピカに磨き、その後ドアの鍵をかけたのです。しかし翌日にドアを開けようとキーのボタンを押しても反応が無く、鍵を回そうとしたところ内部で何かが引っかかってしまったのか回りませんでした。

30年間ノントラブルだった我が家の車が、ドナドナされるまさにその日の朝にドアのキーが壊れてしまいました。

ベタですが、30年佇んでいたこの駐車場から一歩も動きたくないと、車の中には入れまいと、小さな抵抗をしているようにしか思えませんでした。

 

結局他のドアから中に入り、中から運転席のロックをはずしてドアを開けたのですが、今度はドアが閉まらなくなってしまいました。

で、ドアが開かないようにガムテープでベタベタ貼り、昨日の洗車後とはうってかわってちょっとみっともない姿に……。そして無事に引き取られていきました。

 

そのディーラーは私の通勤途中にあるので、毎朝車で通り過ぎる時に眺めては心の中で「おはよう、今日は元気?」と声をかけていました。

横っ腹にガムテープを貼られたちょっとみっともない姿で、なんとなく居心地悪そうに佇んでいる姿をみては寂しい気持ちになったものです。

ある日の朝、そこにもいなくなってしまいました。

乗用車で30年、大切に扱われてきたのでしたら、なんらか、宿ります。おそらく悪気なく、ちょっとだだをこねたくなった車がかわいいですね。次の愛車も大切になさってください。

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