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首曲がりトンネルと幽霊地蔵ーー高輪・怪談ゲートウェイ/吉田悠軌・怪談解題

大規模な再開発や新駅の開業で、近ごろなにかと話題のスポット、高輪。高級住宅地として知られるが、かつては江戸の境界であり、「水」にも縁深い土地だ。そんな場所にある奇妙な「トンネル」では、必然的に怪異が発生してしまう……。古くからのゲートウェイとネット怪談をつなぐものとは?

文・写真=吉田悠軌

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吉田悠軌(よしだゆうき)/怪談サークル「とうもろこしの会」会長、『怪処』編集長。『うわさの怪談』三笠書房より発売中。ほか『日めくり怪談』(集英社)、『禁足地巡礼』(扶桑社)、『一行怪談漢字ドリル4年生』(幻冬舎)、選定・監修した『ムー実話怪談「恐」選集』(学研)、『禁足地帯の歩き方』(学研)など著書多数。今月の一枚は「首曲がりトンネル」にて。

心霊スポット 高輪橋架道橋

 山手線の新駅「高輪ゲートウェイ駅」が、2020年3月に暫定開業される。あまり評判のよくない駅名だが、江戸時代にあった「高輪大木戸」を直訳したのだろう。東海道から来たとき、当地の大木戸こそが江戸の玄関口=ゲートウェイだったのである。
 明治5年には、この東海道ルートに日本初の鉄道(横浜~新橋)が加わる。しかし軍事上の理由で、高輪付近の線路だけは海上に敷設せざるをえなかった。だから当時の地元漁師は、海に出るため線路下の水路をくぐっていたのである。

 大正時代に周辺が埋め立てられた後も、水路はそのまま残され、通り道として利用される。自動車の通行を想定していなかった、おそろしく低いガード下として。それが「首曲がり」「提灯殺し」トンネルと称される「高輪橋架道橋」下の区道なのだ。今や街歩き好き・鉄道好きからは「珍スポット」として扱われがちな場所だが、地元では昔から「心霊スポット」として見られていたようだ。
 今回紹介するのは、地元民であるZOY氏がネットに書き込んだ、高輪橋架道橋での体験談だ。初出は2000年7月1日、(私の怪談界の先輩である)いたこ28号氏が運営する「あっちの世界ゾーン」掲示板。その後、2ちゃんねるオカルト板の複数スレッドにて、2001~06年にわたり、ZOY氏本人によって2度の加筆修正がなされた。特に06年の文章は多くのまとめサイトにコピペされている。それら3つの投稿を、私が整理しリライトさせてもらった。

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怪談 首曲がりトンネルの女

 1996年、5月頃のある夜。場所は東京都港区の湾岸付近。
 ZOY氏は翌日の走行会に向け、実家前にて愛車の車高調整にいそしんでいた。その後、慣らし運転と洗車の水を飛ばすため、少しだけ近所を走っておくことにする。
 大田区の実家から旧海岸通りを6キロほど、八千代橋までの軽いドライブだ。そこから札の辻(ふだのつじ)交差点へと折れ、第一京浜を品川方面に引き返す。そのまま直進してもいいのだが、なんとなく泉岳寺の手前で左折。JRのガード下をくぐり、海の方へ抜けようとしたのだ。
 そのガード下は全長が230メートルもあるため、もはや「トンネル」に近い。さらに、高さ1.6メートルという異様に低い天井でも有名だ。歩行者が頭をかがめて通るから「首曲がりトンネル」とも、タクシーが車上の表示灯(提灯)をぶつけて壊すから「提灯殺しトンネル」とも名付けられている。

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