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未解決の死体遺棄事件と「手」と「髪」……日原バラバラ怪談/吉田悠軌・怪談解題

20年ほど前に、東京西部・奥多摩の山中で発生したバラバラ死体遺棄事件。その調査をはじめた筆者は、現場周辺が事件と怪談の頻発スポットであることを探り当てた。それは単なる偶然の一致なのか、それとも……?

文=吉田悠軌

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吉田悠軌(よしだゆうき) 怪談サークル「とうもろこしの会」会長、「怪処」編集長。怪奇スポットや都市伝説現場へのリサーチを各種メディアで発表する“オカルト探偵”。写真は今回の現場、蜂谷橋前にて。

一 夜のキャンプ場に響きわたる怪音

 2003年、まだ肌寒い初春のこと。
 その夜、寺田さんは仲よしの先輩とふたりで東京近郊のキャンプ場を訪れた。先輩が小学生のころに合宿をした場所で、急に懐かしくなったというのだ。
 ふたりは23時に地元の埼玉県を出発。ファミレスで夜食をとったり、近くにある鍾乳洞の入り口だけ見たりなどして、3時間後の深夜2時、目的地に到着した。
 山々に囲まれた湖のほとりにある、小さなキャンプ場だ。やけに明るい街路灯が設置されていて、深夜にもかかわらず周辺をぐるりと見渡せる。まだ3月の寒い時期だからだろう、利用客はひとりもいない。

「ああ思い出した……。あそこでキャンプファイヤーとかやったんだよなあ」

 しみじみと感傷にひたる先輩をよそに、寺田さんはトイレに行きたくなってきた。すぐ近くの大きな橋のたもとに、駐車場と公衆トイレがあったので、そこまで移動。用を足した後、ふたりでタバコをすいながら休憩していた。そのときである。

 ヴオオオン……ヴオオオン……。

 なにやら低く重い音が、あたりに響きわたった。しかもそれが、何分たっても鳴りやまない。

「……なんだろう、寺の鐘ですかね」
「でも深夜2時だぜ……? こんなにずーっと鐘なんて打ちつづけるか?」

 さらに気味悪いことに、それ音がどこから聞こえるか、まったくわからない。まるでこの奇怪な音に、自分たちが取り囲まれているようだ。

 ヴオオオン……ヴオオオン……。

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