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国東半島ストーンサークル”猪群山巨石群”の謎/古銀剛

大分県国東(くにさき)半島の山中に謎の巨石群がある。いつ、何のために、誰が築いたものなのか――。現地を調査してみると、古代人の巨石崇拝の実態が浮かび上がってきた。

文=古銀 剛 写真=豊国勝彦

巨大なメンヒルを中心とした猪群山の巨石群

 海岸線が弧を描く九州大分県・国東(くにさき)半島の北西部に猪群山(いのむれさん)という山がある。
 標高は458メートルほどでそれほど大きい山ではないが、まるで猪がうずくまっているかのようにみえる台形の山容はよく目立ち、海側には広い裾野をもっている。ちなみにイノムレのムレは、古代朝鮮語では「山」とか「村」の意にあたるという。
 そしてその山頂は北峰と南峰に分かれているが、北峰の草の生い茂る台地上の山頂は「ストーンサークル(環状列石)」とも称される巨石群があることで知られている。

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大分県・国東(くにさき)半島の北西部にそびえる猪群山[いのむれさん](標高458メートル)。北峰の山頂にストーンサークル(巨石群)がある。

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猪群山の北麓にある飯牟礼(いいむれ)神社。猪群山への登山口にあたり、また猪群山山頂は飯牟礼神社の元宮に位置づけられている。

 このストーンサークル(猪群山巨石群)の概要をざっと説明してみると、台地のほぼ中央には、高さ約4.4メートルの棒状の巨石(神体石/しんたいせき)がそびえている。巨石の下部は地中のかなりの深さまで達していると思われ、いわゆるメンヒルを彷彿させる。

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猪群山巨石群(ストーンサークル)の中心である神体石(しんたいせき)。高さは約4.4メートルある巨石である。注連縄が現在も信仰の対象となっていることをよく表している。

 この巨石をほぼ中心とした東西約33メートル、南北約42メートルの楕円状の円周に沿うように、10個以上の巨石が配置されている。さらにその楕円の外側にも石が並び、直径70メートルほどの円を大まかに形成している。なかでも目に付くのは、山道へ登って来た際には巨石群の入口にあたる場所に並べ置かれた「陰陽石(いんようせき)」と呼ばれる2つの巨石で、まるで訪れる者を迎え入れる鳥居のようである。

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巨石群への入り口付近に配置されている陰陽石。聖地への門のようにも映る。

 そして、これらの巨石が置かれた台地の外縁は高さ1〜2メートルの土坡(堤)になっている。

 つまり神体石を中心に大小2つのストーンサークルが形成されているわけだが、ただしきれいに円状に石が配置されているわけではなく、「ストーンサークル」というよりは「巨石群」と呼んだほうがしっくりくる。また、並んでいる石に関しては、元からそこに存在した自然石が含まれている可能性を否定できないが、外縁の土坡は明らかに人為的なものである。

 中央の神体石のてっぺんには水がたまるくぼみがあるが、地元では、海の干満にあわせて水が満ち引きすると伝えられている。山幸彦(やまさちひこ)が龍宮から持ち帰った「潮盈珠(しおみつたま)」と「潮乾珠(しおひるたま)」を置いたところなのだ、という伝承もある。また、水の中には金魚が住み着いていて、これを見た者は神罰を受けて盲目になるとも言い伝えられ、実例があったともいう。

 そして土坡の内側は古来、神域とされていて、女人禁制の地とされてきたのである。

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猪群山巨石群から望む周防灘上の姫島。

 ちなみに、山上からの眺望はすばらしく、晴れていれば、北東方向の周防灘(すおうなだ)に浮かぶ姫島(ひめじま)をよく望むことができる。

松本清張が見出した「磐境」

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