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ヒトラー生存説を主張したソ連の迷走など/南山宏・ちょっと不思議な話

「ムー」誌上で最長の連載「ちょっと不思議な話」をウェブでもご紹介。今回は2019年3月号、第419回目の内容です。

文=南山宏

ヒトラー生存伝説

 ナチスドイツの総統アドルフ・ヒトラーの生存伝説は、当人が死んだその瞬間から始まった。
『ベルリンの没落』の著者アントニー・ビーヴァーによれば、疑い深いソ連の独裁者スターリンは宿敵の死の知らせを容易に信じようとしなかったが、同時にこの貴重な情報を同盟国だった英米両国からさえひた隠しにしようとした。それどころか、ソ連共産党機関紙「プラウダ」は「ヒトラーの遺体発見という風聞はファシストの挑発的な作り話だ」と強く否定。ソ連政府も「ヒトラーは密かに生き永らえ、裏切り者の米軍に占領地内に匿まわれている」というガセネタを何食わぬ顔で広めた。
 スターリンは同志の参謀総長ゲオルギー・ジューコフ元帥に対してすら、「なぜヒトラーの遺骸の発見が遅れている?」と叱責して真相究明をはぐらかそうとした。
 大戦終結後の1946年、イギリス空軍の将官級の一団がヒトラーの自殺現場を訪れると、錠の掛かった地下掩蔽壕(えんぺいごう)を警備するソ連秘密警察NKVD(のちKGB)所属の下士官がこう打ち明けた。
「実はヒトラーはここから脱出して大西洋を渡り、今は南米のアルゼンチンに身を潜めています」
 真偽はともかくそれを裏づけるような〝生存目撃談〟が、タブロイド紙に報じられたともある。
 大西洋上で1945年、浮上したUボートから出てくるヒトラーと愛人エヴァ・ブラウンの姿が、漁師に目撃されたというのだ。
 1950年代には、南米コロンビアでナチスの残党たちに護られた総統の姿が見られたともいう。
 さらに1980年代には、老境に達した90代のヒトラーが、若いブラジル人女性と仲睦まじげに話をしていたという目撃談もある。
 しかし、権威ある「ヨーロッパ内科医学ジャーナル」2018年5月号によれば、秘密警察FSB(ロシア連邦保安庁)のアーカイブが保管するヒトラーの頭蓋骨の下顎部分を調べたフランスのフィリップ・シャリエ教授のグループは、自殺前年に撮られた歯科のX線写真と完全合致するとして、ヒトラーが1945年4月30日に地下掩蔽壕内で、愛人のエヴァとともにピストル自殺を遂げたのは、疑問の余地なき真実と断定した。
 教授らの調査研究によれば、56歳の若さで死んだヒトラーの歯はすでに老人のようにボロボロで、自前の歯はたった5本しかなく、残りはすべて義歯だったそうだ。
「ヒトラーの身元確認は、その異常極まる歯並びから始めた。わずかに残る本物の歯の電子顕微鏡分析から、生前の噂どおりヒトラーは徹底した菜食主義者と判明。歯の表面にはピストル自殺の直前に服用した青酸化合物以外、肉の成分はいっさい発見されなかった。
 いずれにせよわれわれの最新調査によって、ネオナチストが期待するようなヒトラー生存伝説は完全に否定されたことになる!」
 もっとも、仮にヒトラーが生きのびていたとしたところで、今やもう129歳。存命の可能性は万にひとつもなさそうだが――


名はアルカ?

 2018年6月9日付「クィーンズランド・クーリエメール」紙によると、西オーストラリア州のシャークベイに棲息する17頭のハンドウイルカのオスたちは、どうやらお互いの〝名前〟を呼び合いながら海中を泳いでいるらしい。
 ウエスタンオーストラリア大学の海洋生物学チームが発表した調査結果では、ハンドウイルカのオスたちは異なる相手それぞれごとに、それぞれ異なる音程と発声の鳴き方で呼びかけていた。
 個体ごとに異なる〝名前〟で呼び合う生物は、これまでに判明した限りでは、人類のほかにはイルカを含むクジラ類だけのようだ。


毒サソリの正体

 イギリスはリンカンシャー州グランタムで、2018年の3月下旬、見るからに〝猛毒〟そうな大きなサソリが目撃された。
 万一の場合を心配した目撃者の住民は、サソリの周りに間に合わせの警戒線を張り巡らした。
 2018年3月29日付「ザ・サン」紙によれば、通報を受けた当地の動物虐待防止協会の職員がただちに現場にかけつけたが、そこに転がっていたのは、ただの子供用玩具のゴム製サソリ人形だった。


自炎自消

 2018年5月18日付「NJドットコム」によると、米ニュージャージー州ハケッツタウンのボヤ騒ぎは、ラファイアット通りにある養魚水槽の循環モーターから出た火花が、すぐそばの板塀に引火したのが原因だが、消防車が到着したころにはもう火は消えていた。
 高熱を受けて水槽にヒビ割れが生じ、漏れ出た水が燃えさかる炎を奇跡的にも消し止めたのだ。


世界最長の虫歯

 2017年7月14日付「デイリーメール」紙によれば、インドはヴァドダーラ市の学生ウルヴィル・パーテル君(18歳)は、自分が世界一長い歯の持ち主であることを発見して驚いた。
 歯科医師に抜いてもらった虫歯の長さが、なんと3.6センチもあり、ギネスブック級の新記録だと知らされたのである。


インカンデンドロン・エッセライ

 南米大陸の太平洋沿岸、とりわけエクアドルからペルーにかけたアンデス山脈の麓一帯の各地に、高さが30メートルにも達する新種の巨木たちが繁茂している。
 新種とはいえ、現実には先住民たちが有史前から毎日目にし、16世紀の大航海時代以降には、彼らの土地を植民地化したヨーロッパ人征コンキスタドール服者たちもまた、それ以来親しく目にしてきた植物でありながら、だれひとり気に留める者もなかった。このため、ごく最近まで自然科学界から無視され、植物学的な分類もされず、学名すらもないままにされてきた不運な巨木たちだ。
 だが、2017年9月7日付「科学技術ニュース」オンライン版によると、米スミソニアン博物館とウェイクフォレスト大(ノースカロライナ州)の植物学者たちは、とりわけ古代のインカ道沿いによく発見されるこの高木群に対し、このほどようやく〝インカンデンドロン・エッセライ〟なる正式学名を登録した。


(ムー2020年5月号掲載)


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