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廃墟に浮かんだ無数の目玉/あなたのミステリー体験

学校にまつわる都市伝説は少なくない。だがしかし、実際に怪奇現象を体験した人はどれほどいるだろう。恐怖。そんなひと言ではいいあらわせない体験者の話がここに。

イラストレーション=不二本蒼生


悪夢の中で

◆Nさん(25歳)/岐阜県

 今から2年ほど前に体験した出来事です。
 私は以前から眠っているときにしばしば奇妙な夢を見ることがありました。それも、どちらかといえば悪夢ともいえるようなものばかりを見るのです。
 母からはいつも、私の魂レベルが低いからそんな夢ばかり見るのだといわれていました。
 その日の夜も奇妙な悪夢を見ていました。
 私は全身を泥だらけにした30~40代の女性に追いかけられています。
どんなに必死に逃げても、いつまでもその女性が執拗に追いかけてきて、私を捕まえようと大きく右手を伸ばしています。
 そうして懸命に逃げているうちに、私は夢の中だというのにすっかり息が上がってしまい、とうとうその女性の伸ばした手に捕まってしまいそうになりました。
 そのときでした。突然、私の前に不動明王様の姿が浮かび、出現したのです。
 不動明王様は、私を捕まえようと手を伸ばしている泥だらけの女性を睨みつけています。そのためか、女性はまったく動けません。
 夢の中で私は、ああ、助かったと安堵していました。同時に、頭のどこかで、“でも、この不動明王様は本物なのだろうか?”
 と、疑ってもいました。
 それというのも、そのころ私の記憶の中にあった不動明王様の姿は、白や金色などの綺麗な色に包まれていたはずでした。なぜかそんなふうに思いこんでいたのです。
 ところが、目の前に現れた不動明王様は、青黒い肌で、背中の炎も赤々としています。それまで私の抱いていたイメージとは何となく違う姿に思えてなりません。
 私が、夢の中で、救われたことに安堵しながらも、ぼんやりとそんな疑問を感じているうちに、ふとあることに気づきました。
 不動明王様に睨みつけられて動けなくなっていた女性が、それまでの泥まみれの姿から、いつの間にか見違えるほどに綺麗な姿になり、今は不動明王様の横に浮かんで、何やらわれに返ったように恥ずかしそうにしているのです。
 私が思わず驚いてその女性の姿を見つめていると、女性は、そのまま静かにゆっくりと天へ昇っていきました。
 不動明王様は、そんな女性の姿をジーッと優しいまなざしで見つめています。やがて女性の姿が天に吸いこまれて消えてしまうと、その瞬間、ほんの少しだけ微笑まれたように私には見えました。
 その微笑みがあの女性に対してのものなのか、あるいは夢の中の私に向かってのものだったのかはわかりません。
 次の瞬間、不動明王様の姿は私の目の前から消えてしまいました。そして――ほとんど同時に、私は夢から目覚めたのです。
 私にとってそれは、それまで見たことのない、何とも強烈な内容の夢でした。その後、不動明王様について調べてみると、夢の中に現れた色合いの不動明王様が本当のお姿だったのだということがわかりました。 あれから2年がたちましたが、今でも私の脳裏には、あの尊いお姿がくっきりと焼きついています。

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現実的な父の体験

◆Nさん(48歳)/滋賀県

 数年前に父親が、今年1月に母親が相次いで亡くなりました。妻に手伝ってもらい、ようやく実家の片づけをしたのは最近のことです。
 実家に残るさまざまな遺品を手に取り、片づけているうちに、ふと生前の父から聞かされたいくつかの不思議な話を思いだしました。
 頑固で昔気質な人間であった父。そうした性格が関係しているのか、幽霊やオカルト的なことに対して、非常に現実的に捕らえる人だったといえるでしょう。
 そんな父だったため、私たち子供らには、自分の霊的な体験などを極めて冷静に話してくれたものです。
 しかし後になって思いおこせば、そのどれもがかなり不思議な話ばかり。それらの話の多くは、父がまだ子供のころに体験したものでした。
 たとえば、村の墓場で友人たち数人と遊んでいたとき、いきなり背後から、「コラーッ」と怒鳴られてびっくりして振りかえると、そのころそんな場所に絶対にいるはずのない見ずしらずの軍人さんが怒り顔で睨んでいた、というような話です。もちろん父たちは、「ワーッ」と叫んでわれ先にと逃げだしたそうです。
 また、ある日、父がひとりで家の2階で昼寝をしていたときのこと。ふと何かを感じて目を開けると、そこが2階にもかかわらず綺麗な着物を着たいとこのお姉さんが窓をまたいで入ってきたそうです。驚いて父が起きあがると、次の瞬間にはお姉さんの姿が消えてしまい、翌日、そのいとこのお姉さんの訃報が届いたということでした。
 これと少し似たような話も聞きました。ある日、急に母方の祖父が訪ねてきたそうです。嬉しくなった父が近寄ると、なぜかその瞬間、祖父がスーッと遠くに離れました。あわてて父が追いかけると、祖父はさらに遠くへと離れてしまい、父に向かって手を振りながらフッと消えてしまったのです。
 怪訝(けげん)に思った父が、やがて帰ってきた母親にそのことを話すと、「何をバカなことをといって」と、相手にされませんでした。ちょうどそのとき1通の電報が届けられ、それを見た母親が、突然、「ワーッ」と声を上げてその場に泣きふしてしまいました。祖父の訃報だったそうです。
 少ないながら、父が大人になってからの不思議体験もあります。
 父が30代のころに祖母が亡くなりました。これは、祖母の死後、数年がたったころの話です。
 いつごろからか、毎夜、父の枕元に祖母が現れて、シクシクと泣くようになったそうです。怖くなった父が頭から布団をかぶると、祖母はその布団をめくるようにしてまで何かを訴えようとします。
 あげくのはてには、トイレに行く父の後ろから、まるで歩調を合わせるかのようについてくるというのです。実際に、足下には、父自身の足だけでなく祖母の足もハッキリと見えていたので、これにはさすがにゾッとしたといっていました。
 そんな日々が続いて、気になった父が里帰りして祖母のお墓に行ってみると、何とお墓がひどく荒れています。驚いた父は、もちろんすぐに祖母のお墓を綺麗に整理してあげました。
 その後、お決まりのような結末ですが、亡き祖母が父の枕元に現れるようなことはなかった、とのことでした。
 そればかりでなく、それを境に父が霊体験をすることはいっさいなくなったそうです。これも私からすれば不思議な話といえるでしょう。

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廃墟に目玉

◆Tさん(41歳)/山口県

 私が10代後半の、ある夏の日の思い出です。
 幼なじみ4人で、当時、地元で有名な心霊スポットといわれていた市内の廃墟へと肝試しに行くことになりました。
 いいだしたのは、何事にも常に強気なA子です。私のほかに男子ふたりが彼女に引っぱられる感じでの参加となりました。
 廃墟までは電車とバスを乗りついで行きました。実際にその場に着いてみると、どうやら近くに住んでいる人でもめったに近寄ることがないようで、人の姿どころか車すら1台も通りかかる気配がまったくしない、何とも無気味な感じのする寂しい場所でした。
 それでも、自分が肝試しに行こうといいだした手前もあってか、A子が張りきって3人を先導するように先頭に立って廃墟の中に入っていきました。
 外からでも容易に予想できたとおり、内部は薄暗くジットリと湿っていて、どこにもまともな足の踏み場がないくらい古い廃材などが散らかっていました。
 そんな薄暗い中を、足元に気をつけながらどれほど進んだころだったでしょうか、突然、近くでだれかが「ギャッ」と、叫び声を上げました。
 驚いて足を止め、いったい何事が起きたのかと、あわてて周囲をよく見ると――何とA子のすぐ前の空間に、無数の目玉の集団が浮かんでいます。そして、ギロギロッと、彼女を睨みつけていたのです! !
 あまりに異様な光景に、その場にいた全員が飛びあがり、まさに無我夢中で一目散に来た道を引きかえしました。
 どうにか廃墟の入り口にたどりつき、外に飛びだした後、ふとわれにかえってまわりを見まわし、状況確認すると、A子が男子のひとりに手を取られて呆然と立っています。
 A子の青ざめた顔をよく見れば、白目を剥き、口元からは泡を吹いています。そればかりでなく、何やら完全に正気を失っているように見えました。
 驚いた私は、あわてて彼女の名前を呼びながら、手のひらで何度か頬をたたきました。
 しばらくした後、彼女はパチパチと目をしばたき、大きく身を震わせ
正気を取りもどしました。
 私たちは、彼女を両側から支えながら、来たときと逆ルートのバスと電車を乗りついで、自分たちの住む町へと戻りました。
 当然、みんなホッとして、口々に「怖かったねえ」などといいあっていたのですが、なぜかひとりの男子の顔が妙に強張っています。
 不審に思い、理由を聞くと、
「A子のジャケットの背中に大きな目玉がひとつついていて、さっきからこっちをギョロリ、ギョロリと睨みつけている」
 と、いうのです。驚き、あわててA子のジャケットの背中に目を向けましたが、それらしきものは見えません。しかし、なおもその男子は、「今まであったのに急に消えた」などといって怖がります。そこで念のためにと、彼女が着ていたジャケットを脱がせて手に持たせ、全員で彼女を自宅まで送り届けました。
 帰途、3人とも、どこからか突き刺さるような視線をずっと感じていましたが、きっと気のせいだと互いにいいきかせ、それぞれの自宅に帰りました。
 幸いその後、4人に異変はありません。しかしそれ以降、だれも肝試しをしていません。

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小林世征の心霊相談室

 西川さんのお父さんは、不思議な体験をたくさんされたようですね。ただしその多くは身内に関係するもの。よほど親しかった間柄でないかぎり、赤の他人のことでこの手の体験をすることは稀といえるでしょう。
 身内に関する体験は、西川さんのお父さんに限らずだれにでも起こりうるもの。「自分はそんな体験をしたことがない」という人であっても、時期がくれば似たような体験をします。そのときむやみに怖がる必要はありません。出来事をありのままに受けいれる。ただそれだけのことです。
 虫の知らせ。山本さんの体験談はまさにその典型といえるでしょう。
 人間には多かれ少なかれ危険を察知する能力が備わっています。ただし程度は人によって異なります。その差が日ごろの行いなのか運の強さなのかはわかりませんが。
 山本さんのように"何か変だな"と思ったとき、いつにも増してやけに寝覚めが悪いとき、普段は気にならないのにやたら気が進まないとき。こうしたときは無理したり頑張ったりしないことが大切です。直感に素直に従う。気のせいですませてしまった結果、後悔する羽目に陥る。こうした人たちを私はたくさん目にしてきました。かくいう私自身もそのひとりですが。
 動物的な感性に敏感でいられるか否か。これが、人生を上手に渡っていく際の鍵といえるでしょう。


すぐそこにある不思議

ゴーッという異音がした直後上空に謎の飛行物体が!!
◆Nさん(69歳)/新潟県
 あれは2007年、2月上旬のある日の午後2時半すぎのことでした。
 仕事が一段落して休憩となったので、会社の外に出た私は、エントランス近くで大きく伸びをした後、何気なく南の空を見あげました。そちらのほうから何やらゴーッというような妙な音が聞こえてきたからです。
 薄い雲の中を西から東へと移動する、まるで船のような形をしたひとつの飛行物体が見えました。変わった形の飛行機だなあ、と思いながら眺めていると、何といきなりそれが鳥のトビの姿に変わったのです。驚いて、私は思わず「オッ!」と声を上げてしまいました。
 しかしそれだけではありませんでした。そのトビが翼を広げて旋回しはじめたかと思うと、次の瞬間、それが銀色のお椀を伏せたような円盤へと変化したのです。お椀の上部には何やら幾何学模様があるのも見えました。
 啞然(あぜん)と見つめていると、それは突然、ひとつの雲の塊の中に突っこんで……それきりどこにも現れませんでした。


事故遭遇をキャッチし回避してくれたご先祖様
◆Yさん(70 歳)/三重県

 2年ほど前のことです。その日の午後、私はバスで町の大型スーパーへ買い物に行こうとしていました。玄関で靴を履き、玄関の戸を開けて外に出ようとすると、そのとき背後でガタンと音がしました。何だろうと思い、靴を脱ぎ、家の中に戻って見まわすうちに仏壇の花瓶が倒れていることに気づきました。
 簡単に倒れるような花瓶ではなく、地震があったわけでもありません。変だなと思いながら、急いで仏壇内にこぼれた水を拭きとり、花瓶に仏花を生けなおして水を入れ、改めて仏壇に供えて合掌しました。そして再び玄関に行き、時計を見るとすでに乗る予定だったバスの時間に間に合いません。田舎のバスですから、1時間に1本しかないのです。
 仕方なく次のバスの時間まで待ち、少し早めに家を出てバス停に向かうと、途中で知人から、1時間前のバスが事故を起こし、何人か重軽傷者が出たことを聞きました。その瞬間、私は倒れるはずなどない仏壇の花瓶が倒れた意味を知った気がしました。ご先祖様に、ただ感謝するばかりです。

(月刊ムー2020年9月号掲載)


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