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存在しないはずの「1000円玉」の謎を追う! パラレルワールド・コインは複数存在する!?/山内貴範

造幣局にも自治体にもいっさいの発行記録がなく、年号も刻まれていない奇妙な「1000円玉」が発見され、インターネット上で大きな騒動になっている。すぐ真相は明らかになるだろうと思われていたが、発見から約6か月以上たった今も、謎に包まれたままだ。
この世界線では鋳造されなかった幻のコインは、パラレルワールドの産物ななのだろうか!?

文=山内貴範

ある男性が入手した謎の1000円玉

「ムー」2018年5月号で、実在しない“昭和65年”という年号が刻まれた、奇妙な1万円玉を紹介した。インターネット上でまことしやかに、「パラレルワールドから持ち込まれた」とささやかれたこのコインはいったい何なのか。正体に迫るべく、筆者はコイン商や収集家に取材を行ったが、残念ながら謎の解明には至らなかった。
 さて、令和元年(2019)10月14日、それとは異なる謎の「1000円玉」がツイッター上で話題になった。ツイートの主は東京都内在住の男性、ハリジャンぴらの氏である。

 ネット上にアップされた画像を見ると、片面には白鳥と思しき鳥と青森県の全景が描かれ、“日本国”や“千円”の文字がある。もう片面に描かれているのは石油コンビナートの全景で、それを囲むように“むつ小川原国家石油備蓄基地開発事業記念”と刻まれている。年号が記されていないため、発行描かれているのは石油コンビナートの全景で、それを囲むように“むつ小川原国家石油備蓄基地開発事業記念”と刻まれている。年号が記されていないため、発行年は不明だが、青森県のむつ地方で石油備蓄基地の開発が始まったことを記念して発行されたらしい。

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ハリジャンぴらの氏が所有する謎の1000円玉。直径は約40ミリ。表面には金メッキが施され、文字や額面、絵柄などの刻印も鮮明だ。

 筆者は、この1000円玉の所有者であるハリジャンぴらの氏に接触し、詳しい話を聞いた。同氏は入手に至る経緯をこう話す。
「手に入れたのは平成19年(2007)ころです。当時、私は福祉関係のNPOで仕事をしていたのですが、高齢者の家財整理をした際に出てきた古銭の中に混じっていました。古銭は依頼人の許可を得て、NPOが一括でコイン商に売却しています。ところが、このコインだけが買い取ってもらえなかったのです。処分されるのはもったいないと思い、私が譲り受けて現在に至っています」

関係機関にも発行記録がない!

 ハリジャンぴらの氏によると、コイン商は「これは記念コインではありません」といって、返却したのだという。
「私は不審に思って、ネットで検索してみました。ところが、造幣局のサイトには発行記録がありませんでしたし、コイン商などあらゆるサイトを調べましたが、似たようなコインは見つかりませんでした。結局、何ひとつ情報をつかめなかったのです。10年以上も忘れ去っていたのですが、ふと思い出してツイッターに書き込んだというのが、大まかな流れです」
 書き込まれると話題が沸騰。ハフポスト、J-castニュース、ねとらぼなど、数々のメディアが記事にした。それらのメディアでは1000円玉の発行元と推測できたり、何らかの縁がありそうな組織に取材を行っている。ところが、財務省でも、造幣局でも、青森県でも、発行された記録は見つからなかったという。
 筆者も同様に問い合わせてみたが、結果は同じであった。また、コイン商にも写真を見てもらったが、「記念コインではないですね。メダルか、おもちゃのようなものでしょう」と一蹴されてしまった。
 発行記録がないということは間違いないようだ。それならば、だれが何のために造ったのだろうか。

関係者の証言も見つからない

 むつ小川原国家石油備蓄基地は、青森県六ヶ所村に実在する施設だ。建設が決まった背景には、昭和48年(1973)に起こったオイルショックがある。世界的な原油高が狂乱物価といわれる物価上昇を招き、トイレットペーパーの買い占めが深刻な問題になるなど、社会は大混乱に陥った。オイルショックは、日本の高度経済成長が終焉を迎えた出来事といわれる。
 これを機に、緊急時を想定した石油の備蓄が国家課題となった。そこで、昭和54年(1979)に石油備蓄の第1号基地が六ヶ所村に建設されることが決定。翌年に着工され、昭和60年(1985)に完成した。現在の基地はむつ小川原石油備蓄株式会社が管理している。
 すでに述べたように、同社にこの1000円玉を発行した記録は残っていないという。ハリジャンぴらの氏はこう話す。
「現職の関係者が仮に忘れていたとしても、これほど発達したネットの情報網を駆使すれば、退職者の証言が寄せられるなどして、真相に到達できそうに思えます。しかし、奇妙なことにいっさいの証言が出てきません。
 ニュースサイト経由で別の所有者が名乗り出たこともありましたが、今年に入ってから新しい情報はほぼ報じられていないのです。私のもとにも、数々の返信やダイレクトメールが寄せられました。しかし、現状ではヤフーオークションや店頭などの二次流通で手にしたものしか、見つかっていません」
 ハリジャンぴらの氏が指摘するように、証言がないのは奇妙だ。発行に関わった人はまだ存命であるはずだからである。もしかすると、この1000円玉もパラレルワールドで発行されたコインなのではないだろうか。

ネットを騒がせた1万円玉の詐欺事件

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