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月神=男神から読み解く 縄文の「造化三神」信仰/斎藤守弘・極孔神仮説

前衛科学評論家を自称し、UFOから超古代文明まで視野を広げていた故・斎藤守弘氏は、晩年に「縄文のビーナス」に着目し、古代「極孔神」信仰についての研究を重ねていた。遺稿をもとに、原始日本の精神文明を解き明かす。(前回はこちら

文=羽仁礼(一般社団法人潜在科学研究所主任研究員、ASIOS創設会員)
編集=高橋聖貴

月神は男性から女性に変化した

 前回では、故・斎藤守弘が唱えた「極孔神」仮説と、国宝に指定された縄文時代の土偶、通称「縄文のビーナス像」がそれを「極孔神」を具象化したものではないかという説を紹介した。
 しかし斎藤によれば、古代縄文時代の信仰体系で崇拝されていたのは、「極孔神」だけではない。他にもふたつの神がおり、計3つの最高神が崇拝されていたという。斎藤はそれを「縄文三大至高神」と名付けている。斎藤はどのようにしてこのような考えに至ったのであろうか。

4 写真№12 クレジット

 まず、「極孔神」は女性神である。そこで斎藤はまず、対になる男性神の存在を想定した。「極孔神」は夜空の中心に位置するから、男性神となるべき存在も夜の空に存在するはずだ。斎藤は、夜空でもっとも目立つ存在である月に注目し、パートナーとなるべき男性月神が第二の神格だと想定した。
 確かに、日本神話の月神(げっしん)は月読命月読命(ツクヨミノミコト)という男性神である。しかし、ギリシャ神話で月神とされるのは、女神であるアルテミスやセレネである。西洋占星術でも月は女性惑星となっている。
 そこでこの点に関し、筆者は、生前の斎藤に確認したことがある。その時、彼は、「古い時代には、月神は男性だった。それが後になって女性になったのだ」とはっきり言い切った。いわば月神の性転換が世界的規模で起きたのだという。

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エフェソスのアルテミス像(1世紀)。(写真=Zde/Wikipedia

 そこで今回あらためて世界の神話を調べてみた。すると、かなりの神話体系で月神は男性とされていることが判明した。もちろん月神を女性とする神話体系も多い。両者を比べるとほぼ半々くらいになる。しかし古代エジプトのトートやコンス、古代メソポタミアのシン、ヒンドゥー神話のチャンドラ、マヤのイシュバランケーと、歴史の古い文明はおしなべて月を男性神としているのだ。その意味で日本では、古い形の神話形態がそのままひき継がれているということになる。
 エジプトやメソポタミアと並ぶくらい古い文明が発祥した中国ではどうか。中国では、月の神は嫦娥(じょうが)という女性とされている。しかし嫦娥の神話では、もともと月というものが存在し、その上で、嫦娥という女性が仙薬を飲んで月に登ったという内容である。つまり嫦娥は、月本来の神ではなく、月に移り住んだ女仙ということであり、すでに道教思想に染まった神話の主人公なのである。
 そうした道教や陰陽思想の影響を受けない、中国で文明が発祥したばかりの頃の神話は、今や失われているようだ。
 さらに古代エジプトでは、月の神は当初男性神だったのだが、後代になるとハトホルという女神になっている。斎藤の言う通り、歴史の流れの中で月神が男性から女性に変化しているのだ。

 この男性月神から女性神への転換については、斎藤は社会が次第に男性中心社会となり、太陽崇拝が広まった結果であるとする独自の文明論を唱えている。
 古代、月が男性と考えられていたとすれば、女性神である極孔神と男性月神が天上で対になっているという構造はかなり納得できるものとなる。

造化三神の意味を読み解く

 では三番目の至高神とは何だろう。斎藤守弘はこれを、空飛ぶヘビと考えた。

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