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UFOの町レイチェルとエリア51リサーチセンターへ!/保江邦夫・エリア51探検記(4)

湯川秀樹博士の最後の弟子にして武道家、そして伯家神道の祝之神事(はふりのしんじ)を授かったという異能の物理学者・保江邦夫氏は、もうひとつ「UFO研究家」の顔を持つ。20余年前に材質に関する研究報告の専門誌「バウンダリー」(コンパス社)に連載されていた「UFO調査」がここに復活!

文=保江邦夫

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「バウンダリー」1997年10月号。

前回までのあらすじ

 1994年4月アリゾナ州セドナで開かれた量子重力と量子宇宙論に関する国際会議に出席した私と助手のマリーは、そこで知り合ったカナダ人のスコットと共にセドナ・ヴォルテックスやブルー・ダイヤモンド・ヴォルテックスを訪れました。そのブルー・ダイヤモンドの山向こうで、正体不明の巨大な2つのトンネルを発見した私たち一行は、独自調査のためにアラモへ向かったのです。
 アラモのモーテルからトンネルのある山へ向かう途中、山々の尾根のすぐ上の辺りにオレンジ色に光る飛行物体を目撃。気味悪さに追い立てられるようにしてアラモのモーテルに戻りかけたところ、謎の車に追いかけられ、1時間に及ぶ深夜の砂漠のカーチェイスをすることに! プロの手口で追ってくるのは、3台の軍隊のジープのようでした。

連載第1回 第2回 第3回

砂漠の逃亡者

 人間は通常の状況では持てる潜在能力の3割も使っていないと言いますが、私は明らかにプロの集団が操るジープに追跡されながら、ヘッドライトに照らし出されて目まぐるしく変わっていく舗装道路のセンターラインの曲率を見極め、その遥か先に延びる道路のうねりも頭に入れ、前面のメーター類が指し示す数値や、フェンダーミラー越しに見え隠れするジープのヘッドライト、それにバックミラーに映ったマリーの怯えた表情をも同時に眺めながら、頭の中ではかなりクールに安全脱出のための最適解を求めようと、残り7割の能力の一部をも動員しようとしていました。
 ひょっとすると、アッシュスプリングスに着く前に、別のジープが前方に現れて我々の行く手を遮るかもしれない。そうなると、このリンカーン・タウンカーでは砂地の路肩に逃げるわけにもいかず、完全に袋の鼠。それが意味するところは、3人もろともこの正体不明の連中に捉えられてしまい、いったいこの先どうなるのかさえ見当もつかない、ということです。
 まさか命までもどうこうするとは思えませんが、何の停止勧告も出さず、緊急の点滅ライトをつけることもせず、ただひたすらスピルバーグの『激突』に出てきた巨大トレーラーのように追跡してくるだけということは、相手はまっとうな警察でないことは明らかです。おとなしく捕まったら最後、何の保証もありません。私は、もし不意に前方を別のジープで塞がれた場合には、このリンカーンの巨体と重量に物を言わせて、体当たりしてでも走り続け、とにかくアッシュスプリングスのガス・ステーションまではたどり着かなければと、腹を括りました。そのとき、後ろに座っていたマリーがまた悲鳴をあげ、私とスコットが振り向くと、追跡チームに少し大きめの車が加わったところでした。バックミラー越しに凝視していると、我々を追ってきたジープの方は停止したようで、どんどんヘッドライトが見えなくなります。どうやら今度はトラック風の車に追跡命令が引き継がれたのでしょう。
「ハマーだ。今度は追いつかれるかもしれない。2人とも、よくつかまっているんだ。アッシュスプリングスまでフル・スロットルで逃げるからな。頼む、あと5マイルだけ、もってくれ!」
 新たに加わった大きめの車はヘッドライトの間隔の広さから、軍隊用の荒地踏破用輸送車ハマーであることがわかりました。あの巨大なタイヤを大トルクのエンジンで回していれば、そのうちこのリンカーンに追いつくことは火を見るより明らかですが、幸い後ろから現れてくれたおかげで、少なくとも追いつかれるまでにはある程度の時間を稼ぐことができそうです。それまでになんとかガス・ステーションまでたどり着くしかない。そう考えながら右足をさらに思いっきり踏みつけた私は、ぶっきらぼうな態度でスコットとマリーに声をかけたのです。
「マイ・ゴッド。あのハマーが前を塞いでいたらと思うと、ゾッとするよ。あいつに体当たりしたんじゃ、このタウンカーなんてひとたまりもないからな」
「何だって! それじゃあ、後ろから追突されても危ないってことじゃないか。こりゃあ、ますますヤバイぜ。クニオ、頼むぞ。逃げ切るんだ!」
 スコットがまたしても取り乱し始めたとき、遥か前方にアッシュスプリングスの集落の明かりが見えてきました。
「よし、村が見えてきたぞ。いいか、あのガス・ステーションのすぐ前に車を止めるから、2人ともすぐに店の中に入るんだ。もし、あの車も店に来るようなら、すぐに警察を呼んでもらおう」
 2人の手前、店が開いている前提でそう言ったものの、何しろ深夜ですからガス・ステーションがまだ営業している保証はありません。私はアクセルペダルを踏み込む力と同じくらい強く、ガス・ステーションが営業していることを天に祈りました。375号線が93号線に合流した地点からすぐのところに、ガス・ステーションの明かりが見えます。店のドアはまるで私達を受け止めるべく両腕を広げてくれているかのように開け放たれていました。車内の張り詰めた緊張が少しだけ弛み、私達は安堵の歓声を上げたのです。
「やったぜ、助かった!」
 予め決めていたとおり、私は店の入り口のすぐ際に車を止め、「ゴー!」と叫びながら3人一斉にドアを開けて店の中に駆け込んだのです。ラジオを鳴らしながらひとりで店番をしていた若い男は、不意に慌てふためいた3人が飛び込んできたのを見て、笑いながら「トイレは外にあるぜ」と声をかけました。「外!」3人は追跡してきていた車を見るため、窓に飛びつきました。不思議なことに、もうそこにはジープもハマーも見つけることはできず、93号線を走る深夜トラックのヘッドライトが行き交う普通の景色があるだけでした。一度に気が抜けて、まるで幽霊のような顔になっていたのでしょう。窓を離れた3人に向かって、店の若者は笑いやみ、心配そうに聞いてきました。
「あんた達、いったいどうしたっていうんだい? 何か問題でも?」
 まだ外を気にしているスコットとマリーにもう心配ないからと声をかけた私は、店のカウンターの中にいた男の方に近づいて、375号線のコヨーテサミットの手前からここまでずっと追跡されてきたことを、自分でも信じられないほどの早口で説明しました。突然の追跡劇で、私の頭は本当にフル回転をしていたようです。私の説明を聞いた若い男は、人差し指を唇に当て、私達にそのままでいるように指示しながら、何気ない様子で外に出てガソリン・ポンプの辺りまで行き、ポンプのノブを回しながら少し遠くを眺め、程なく店の中に戻ってきました。
「一応奴等の姿は見えないから、もう大丈夫だと思う。だけど普通、こんなところまでは追ってこないんだ。あんた等よっぽど奴等の気に障ったんだな。ま、そこのコーヒーでも飲んで、少し落ちついてから帰りなよ。それから、別に商売っ気を出して言うわけじゃないんだけど、万が一のことを考えてガスは満タンにしてった方がいいよ」
 そうだな、と頷いてから、私は若者に問いかけました。
「君はずいぶん慣れた様子だが、この辺じゃあ、こんな物騒なことがしょっちゅうあるのかい? それに、“奴等”はどう考えてもプロのようだったが、いったい何者なんだ? まさか警察じゃあないだろうし……」
 店の男は肩をすくめ、短く「ドント・ノウ」と言ったきり、それ以上のことは聞き出せそうにありません。やむなく私は男に礼を言い、用心深く外に出てタウンカーのガソリンタンクを開けポンプのノズルを差し込みました。ひょっとすると、この若者も連中の仲間かもしれない。そんなことまで考えながら、ガソリンタンクのメーターが回る様子をぼんやりと眺めていた私の視野の端に、不意にカーキ色の大きなバスが現れたかと思うと、耳をつんざくようないやなブレーキ音をたてながら、ガス・ステーションの手前の路肩に止まったのです。
「まさか!」
 反射的に店の中のスコットとマリーを見ると、やはり緊張した面持ちでこちらを見つめています。
 タンクはまだ満タンになっていませんでしたが、私はガソリンの補給を中止し、急いでタンクを閉めました。スコットが気を利かせて急ぎ支払いを済ませ、マリーと2人、足早に店を出てきました。ちょうどそのとき、バスのドアが開き、中から大勢の若者達が出てきました。車のステップに足を乗せた状態でそちらを盗み見ると、それが兵隊でもプロの集団でもなく、思い思いのカレッジTシャツを着た学生の集団であることに気づきました。スコットとマリーも気づいたようで脱力し笑い合いました。
「あー……、ははは、こいつはおかしいや。一度ビビってしまったら、何でもかんでも、そう思えてしまう。もう2時半だし、今度こそモーテルに戻ろう」
 首を振って車に乗り込むと、私はいつもよりずっと用心深くハイウェイの右左の安全を確認しながら、93号線をアラモの方角へと進みました。後をつけている車もいないことを確認しながら車を飛ばすうちに1台のタンクローリーに追いつきました。
 よし、このタンクローリーを追い越して、後はそのすぐ前をゆっくりとモーテルまで走っていけば、万が一また無灯火の車につけられていたとしても安全だ。それに、モーテルの前にはかなり広い路肩があったはずだから、手前で右のウィンカーを出して後ろのタンクローリーに右に外れることを知らしてから、こっちのヘッドライトを消して路肩を走って行きさえすれば、タンクローリーの後ろをつけてきた奴等がいたとしても、我々には気づかない。
 活劇物の映画で仕入れた知識がこんなところで役に立つなどとは思ってもみませんでしたが、私は右前方にモーテルが見える頃から右のウィンカーだけ点滅させ、後ろのタンクローリーのヘッドライトの明かりだけを頼りに、無灯火で走り始め、モーテルの前の広い平坦な路肩を確認してから、車を本線から外していったのです。
 後ろのタンクローリーは、これといって慌てた様子もなく、私のタウンカーは闇の中を微かな明かりだけを頼りに、モーテルの前の駐車場までほとんど惰性で進んで行きました。「ワオ、グッドアイディア!」無灯火走行の意味に気づいたスコットが歓声をあげ、走り去っていくタンクローリーの後ろを確認してくれました。幸い無灯火で尾行している車どころか、普通の車の姿もありません。

 これで、やっと冒険が終わる。モーテルに到着し、安心しきって車を降りようとするスコットとマリーを制止し、私はもう少しだけ車の中にいてハイウェイの様子を窺ってから部屋に入ろうと提案しました。慎重の上にも慎重に。私が見てきたアクション映画では、主人公が安心しきったところに再び追手が迫るのはお決まりのパターンです。本当に追跡されていないかどうか、もう少し確かめてから動いた方が安全には違いありません。私達3人は、他に客のいないモーテルの閑散とした駐車場に止めたタウンカーの中から93号線を行き交う深夜トラックのヘッドライトを頼りに、ハイウェイの路肩に不審な車が止まっていないか、さらに15分間無言で凝視し続けたのです。

100台のコンボイが空を飛ぶ!?

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