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山に轟く音霊と「なまはげ」の雄叫び/和嶋慎治・神々の椅子

人間椅子・和嶋慎治氏による、楽曲解説連載、題して「神々の椅子」! 読めば楽曲世界の背景がくっきりと、またはさらに複雑に体験できるだろう。今回は「なまはげ」! 聞いた話、身にしみた話。ふたつの実話怪談をどうぞ。

文=和嶋慎治(人間椅子)

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山中の青鬼

 僕は、キャンプすることが趣味だったりします。といって、キャンプ系ユーチューバーの皆さんのように料理に凝るでもなく、用具にこだわるでもなく、いたって簡素な、ただ缶詰を食って酒を飲んで焚き火をするだけの一人キャンプです。つまり、静かな山の中で存分に孤独を味わう、が主眼のキャンプなのでした。ムー的にいうならば、プチ修験道? 瞑想? チャネリング? を自分はそこに求めているのかもしれません。

 趣味がキャンプなんですよ、と人にいうと、僕のオカルト性向をおもんぱかってか、たまに自身の恐怖体験を語ってくれる方がいます。ある東海地方在住の方から聞いた話。

ーー奥さんとキャンプに出掛けたそうです。たまたまその日は他の宿泊者がおらず、広い山のキャンプ場内には二人っきり。
 静かだねえなどといいながら夜半焚き火をしていると、ふと視線を感じたそうです。視線は谷を隔てた、向こう側の山から。
 あれっと顔を向けると、夜、真っ暗なのに、山の斜面に男と女がいるのがはっきりと見えたそうです。青い服を着ていて、妙に立体感がなく、薄っぺらい。比率も何か変で、人間にしてはいやに大きい。
 うわっ、人じゃない、と思ううちに、彼らは薄ら笑いをする風で、ご夫婦に向かっておいでおいでと手招きをし始めました。
 あまりの恐ろしさに、慌ててご夫婦はテント内に避難したといいます。

 お話を初めて聞いた時の、鳥肌が立つほどのあの恐怖感を、ここに再現できないのがもどかしいです。実話怪談を書くのって難しいですね。立体感のない青い人影はただの看板じゃないのか…疑おうと思えばいくらでも疑えるわけですが、事象を信じている人が真に迫って語る、その行為を行なっている時点で、すでに怪談としては合格ではないでしょうか。
 また、このお話のいいところは腑に落ちないところ。作話はつい曰く因縁で現象に説明をつけがちですが、実話怪談の妙味は因果関係が判然としない点にあります。あれは何だったのか、なぜ出て来たのか、何をいいたかったのか。さっぱり意味が分からない、かえってそのことがリアリティーを生んだりするわけです。我々の存在の危うさ、現実世界の不確かさに直面させられるとでもいいましょうか。

怪奇体験・幻の豪風

 ──拙いながらも、僕自身が経験した山での怪異譚をひとつ──。

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