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”自由の砦”から秘密基地の全貌を目撃!/保江邦夫・エリア51探検記(5)

湯川秀樹博士の最後の弟子にして武道家、そして伯家神道の祝之神事(はふりのしんじ)を授かったという異能の物理学者・保江邦夫氏は、もうひとつ「UFO研究家」の顔を持つ。20余年前に材質に関する研究報告の専門誌「バウンダリー」(コンパス社)に連載されていた「UFO調査」がここに復活!

文=保江邦夫

前回までのあらすじ

 1994年4月アリゾナ州セドナで開かれた国際会議での出会いをきっかけに、筆者一行はネバダ州ラスベガスの近くにあるブルー・ダイヤモンド・ヴォルテックスを訪れ、山腹に正体不明の巨大な2つのトンネルを発見する。調査は断念したものの、現地の保安官からの情報を頼りにアラモという村へ向かった。そこでも謎の発光編隊を目撃し、謎の軍用車に追われたことで、筆者一行は、この場所とUFOや異星人とのかかわりを確信する。
 筆者一行は次にレイチェルの集落へ向かった。そこには、市民運動家グレン・キャンベルが、「エリア51リサーチセンター」なる看板を掲げ、連邦政府が秘密裏に行う計画を暴くべく活動していた。

第1回 第2回 第3回 第4回

UFOマニアを排除する予算

 招かれて入ったトレーラーハウスの中は、キャンベルさんが注意したとおり、バドワイザーの空き缶やら本やら紙切れやらが散らかり、お世辞にも綺麗とは言えない状態でした。キャンベルさんが自分の着替えや書類の山を隅に追いやり、我々3人が座れる空間をこしらえる間、私はトレーラーハウスの中に飾られたプラモデルや写真から、この人がかなりの飛行機マニアであることを見て取り、親近感を抱きました。というのも、私の父は昔、戦闘機のパイロットをしていて、その影響か、私も小さい頃から飛行機が好きだったのです。特にアメリカ空軍や海軍のジェット機なら、ほとんどのものの形と名前を言い当てることができる自信がありました。あれも知ってるこれも知ってると色々なジェット機のプラモデルを眺めているうち、ふと1機だけ私にもわからないものがあり、つい食い入るように眺めてしまっていました。

「そいつはまだ公表されていない空軍の新型偵察機マンタだ。少し前に新聞にすっぱ抜かれたオーロラ計画で作られた、ラムジェット推進の怪物さ。成層圏の上をマッハ8で飛行可能。まだ現役で働いているロッキードSR71の後継機として、あの山の向こうで試験飛行が続いている……一応、そういうことになっているんだ」

 私が興味深く見入っていたプラモデルを説明してくれたキャンベルさんは、彼が作った『エリア51ビューアーズ・ガイド』の表紙を指し示しながら、「ほら、こいつだ」と言って右下に描かれた幾分ずんぐりとした流線型の飛行機だと教えてくれたのです。

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エリア51ビューアーズ・ガイドの表紙。当時の新型偵察機マンタと、謎の飛行物体が描かれている。

 その左上には誰が見てもUFOとしか思えないようなものが山の上を飛んでいるイラストがあったため、話は自然とそちらに向いていきました。

「マンタという新型偵察機以外にも、あの山の向こうにはここに描かれているようなUFOと関連した何かがあるんですか?」
 スコットの質問に答える前に、私達の顔をゆっくりと眺め回したキャンベルさんは、「君達は宇宙人と秘密兵器と、どちらに興味があって、こんなところまでやってきたんだい?」と問いかけました。
 スコットはよくぞ聞いてくれたとばかりにまくしたてます。
「実は我々は3人の物理学者で、宇宙人や秘密兵器に興味があってわざわざやってきたのではなく、たまたまセドナ・ヴォルテックスのガイドから勧められた、あの山の反対側にあるブルー・ダイヤモンド・ヴォルテックスに寄ってみただけだったんだ。ところがそこから尋常ではない体験が続き、昨夜はコヨーテサミットの手前から無灯火のジープに尾行られたあげく、威嚇行為としか思えない追跡劇やUFOらしき物体の低空飛行、さらに今朝には激しい衝撃音まで聞かされるはめになったんだよ」
 真剣にスコットの話に耳を傾けていたキャンベルさんは、頷きながら笑みを浮かべはじめ、ついには笑いをこらえているように見えたため、私達はてっきり信じてもらえていないのかと、表情を曇らせました。それに気づいたキャンベルさんは、こう言って謝り始めたのです。

「いや、すまない。決して君達のことを笑っているわけじゃないんだ。ましてや、君等のストーリーを信じていないわけでもない。ただ、普通はUFOフリークや、ひと目でも宇宙人に会いたいというトンでもない奴等が物見遊山でやってくるのを監視するための連邦政府の闇の予算が、君等まっとうな3人の物理学者がたまたまこの時期にフラフラと迷い込んだおかげで、本来の目的から外れた方向に、いつも以上に浪費されてしまったのを知って、とても愉快になっただけさ。
 見て見ぬふりをしておけばよかったものを、保安官を使って君等を追い払おうとしたり、真夜中に砂漠のカーチェイスで楽しませてみたり、わざわざあの怪物マシンを君等のモーテルの上を飛行させてみたり、その上マンタの超音速飛行のソニックブームまでも体験させて警告した結果、何と君等善良な市民までもがあの山の向こうに疑いの眼を向け始めている。こりゃあ、連中にとっては、まさに最悪のシナリオさ。これを笑わずにはいられないよ」

 私達はまだ、キャンベルさんの話がどこに向かっているのか分かりませんでした。おかまいなしでキャンベルさんはさらに続けます。

「ハハハ、これでテレビ局の敵を討てたことになる。君等の一連の体験を、それこそハリウッドの映画会社に発注したら、いったい幾らかかると思うんだ? 深夜の砂漠のカーチェイスのシーンなんて、一番高くつくんじゃないかな。そのことがいい証拠だ。あの連中、テレビ局の事件で極度に神経質になって、まるで損得勘定なしに君等を楽しませてくれたんだ。ハハハ、奴等もドジを踏んだもんだ。こいつはいいや」

 私達は昨夜、本当に恐怖のどん底にいたのです。楽しんだなんてとんでもない! 私達はいつしかキャンベルさんを睨み付けていたようです。マリーなどはもう少しで腰を上げ、キャンベルさんに食ってかかるところでした。

「すまん、すまん。君等にとっては恐怖の体験だったことくらいはわかるよ。楽しませると言ったのは、……単なる言葉のあやさ。許してくれ。といっても、君等には何のことかさっぱりわからないだろうがね。ここはひとつ、僕の話を聞いてくれ。そうすれば、全てがわかるはずだから……」

 キャンベルさんはそう言って、私達にこんな話をしてくれたのです。

エリア51から排除されたニュースクルー

 1993年10月18日、アメリカ空軍は合衆国土地利用局(BLM)に対して、あの山の向こうを覗くことができる2つの丘を現在の公共の土地としての扱いからはずし、空軍の管理下において、もはや一般市民が誰もあの山の向こうを見ることができないようにするための訴訟を起こしました。
 それぞれホワイト・サイズ及びフリーダム・リッジと名付けられたこれらの丘に登れば、誰でもあの山向こうにあるエリア51と呼ばれるアメリカ空軍の基地を見下ろすことができるのです。空軍はこれを避けたかったに違いありません。この2つの丘に登る一般市民の安全を保障できないから、立入禁止区域に指定できるように訴訟を起こしたというのですが、これには大きな矛盾があるのです。

 というのは、ペンタゴン(アメリカ国防省)に問い合わせても、空軍に聞いてみても、あるいは最新の10万分の1の縮尺の地図をアメリカ国土地理院(USGS)から購入して調べても、そこには空軍の基地はないことになっているのです。一方ではそこに基地がないと主張しているにも関わらず、他方ではそこを誰でも自由に覗くことができないようにするために、わざわざ空軍の費用を使って、しかも合衆国土地利用局(BLM)を相手取ってまで裁判に訴えるというのは、どう考えてもまともな話ではありません。

 ワシントンポストやウォールストリートジャーナルなど大手の新聞がこの矛盾点を突き、ついには全米ネットワークのABCニュースまでもがキャンペーンを始めたのです。そして、つい3日前のこと、望遠のテレビカメラなどの機材をレイチェルに持ち込んだ20人ほどのABCニュースのクルーが、キャンベルさんの案内でフリーダム・リッジまで乗り込んできました。
 あの真っ直ぐに山の向こうに延びたダートロードを延々と走ると、何人もこれ以上侵入することはできないと記された無人のゲートがあり、その手前の道路脇の荒れ地に中継車を止めたクルーは、重い撮影機材を背負って、そこから1時間ほどキャンベルさんに続いて丘に登っていったのです。

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